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カンアオイ、シラネアオイ(寒葵、白根葵)/『ノートル=ダム・ド・パリ』(ユゴー)

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このあいだ山を散策してたら、カンアオイ(寒葵)が咲いてた。
ジャコウアゲハの食草であるウマノスズクサ科の仲間だから、全体の雰囲気はなんとなく似ている。とはいえ、とても地味な花すぎて、開花に気づくのは難しいかもしれない。刺繍のような葉脈の走るハート型の葉の方が目立つから、葉を目印に探す感じかな。

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カンアオイの仲間って、山野草のお店や植物園なんかでもよく見かけて、よくわからないがファンの多い植物という印象。「こんな地味な花が持て囃されるとは、山野草、奥深いな……」という妙な感想しかなかった。

それで今回調べてみたら、【日本の植物多様性】というキーワードで取り上げられるのが、このカンアオイ類ということらしい。なるほど。日本の外ではほぼ見かけない日本固有種なのに、日本の中には49種ものバリエーションを展開していると。
それなら人気の理由も分かる気がする。山野草ガーデナーたちのコレクター心をくすぐるって感じなのかもな。

【国立科学博物館】
日本の植物多様性を代表するカンアオイ類ほぼ全種の進化の道筋を解明

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000083.000047048.html

日本列島には約7,000種の維管束植物が自生していますが、およそ3分の1は日本以外では見ることのできない「日本固有種」です。この多様性、固有性の高い日本列島の植物相にあって、特に多様性が際立っている植物の一群がカンアオイ類(狭義:ウマノスズクサ科カンアオイ属カンアオイ節)で、日本に分布する全種のうち1種を除く49種が日本固有です。
一方でこれらの植物は国外においては台湾に10種、中国に2種が知られているのみであることから、日本列島がその多様化の舞台となっていると考えられます。
また、カンアオイ類は種ごとにそれぞれ著しく異なる花の色、形、香りを有していることも特筆に値します。

* * * * *

ちなみに同じアオイの名がつく山野草でも、こっちが人気なのはよく分かる気がする、シラネアオイ(白根葵)。キンポウゲ科らしい見栄えのする花だし、その上、やっぱりこちらも日本固有種だし。

ぽかっと大きな花を山中で見かけたら、見惚れて・心弾む気持ちは想像がつく気がするが。しかし何故そもそも人間てお花が好きなんだろうな。別に食べられるものばかりでもないだろうに、不思議だ。
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(中文日志)见到花的心情,与见到美人的心情是一样的。
Jiàn dào huā de xīnqíng, yǔ jiàn dào měirén de xīnqíng shì yīyàng de.


* * * * *


図書館で雨宿り中に読んだ『ノートルダムドパリ』(ユゴー)が思ってたよりごちゃごちゃした群像劇っぽくて面白かったんで、帰宅してから映画もみた。古臭いかもなと思って観たのに、画面が賑やかで絵画的で楽しい。狂言回しの詩人グランゴワールとかも、なんか剽軽でそこはかとなく可笑しくて面白かったな。

『ノートルダムの傴僂男』


真っ赤なドレスの映画版エスメラルダも活き活きしてて可愛かった。
しかしそれ以上に、小説版の方のG.ブリオンの挿絵のエスメラルダがよりティーンの娘っぽい優美さが出ていてイメージぴったりだった。
若い子特有の、一途な良い子さってある。そら偏屈だったり孤独だったりのフロロやカジモドの夢の女性にもなるだろう。なのに、世慣れたフェビュスやマイペースなグランゴワールに対してはそこまでの魔力はなくって、綺麗で素敵な子くらいな感じなのもとても分かる。

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綺麗で優しい花のような若い娘、エスメラルダ。可愛い山羊の相棒ジャリを引き連れてふざけたり、生き別れのお母さんを恋しがってたりしていて、まだまだ子どもな感じもある。なのに、周囲に消費されるようなこんな運命は納得いかない……ディズニー版とかで、彼女のためのハッピーエンドの世界を作り出したくなるのが物凄くよく分かる(アニメ版、観てないけど)。

本の帯が「報われぬ愛に心えぐられる』だけど、それって主にエスメラルダの乙女心に関してだろ……こんなの巻き込まれ事故じゃん!みんな勝手に騒ぎやがって!と悲しくなる気持ちはアガサ・クリスティの『杉の柩』のメアリイにも感じたんだった。

メアリイも綺麗で優しい「花のような娘」って言われてたが、貴族のお坊ちゃんに一目惚れされて運命が狂っちゃう。ストーリー上はすぐに消えちゃう被害者で、何の主張もない単に綺麗なおとなしい娘って描かれ方なんだけど、それがまた物言わぬ花っぽくて悲しい。結局、困難を乗り越えて生き延びて幸せになるのは、芯のあるタフな登場人物たちなのだった。消費される花の哀しさ。

でも美しくはないがフロロのとち狂いも分かる。早くに親も亡く小さい弟やカジモドを育て上げ、もともとの性質も相まって孤独に堅く過ごして気がつけば中年(とは言えそこまで年でもない)、自分のことも花のように優しい誰かに知って欲しい、愛して欲しいって切望がつい芽生えたものの、これまでそういう経験もなく状況は絶望的で、しかも花が心奪われるのは、若く美しいだけの軽薄なチャラ男となれば。ルサンチマン爆発だ。
そしてカジモドもよく考えたら子どもと大人の間の年頃だしな、ずっと異形の傴僂男として他人との交流なく過ごしてたら、限られた特定の人たちだけが自分にとっての全世界になるだろう。

そういう中で、グランゴワールなんかは自分の知り合いにもいそうな普通の俗なヤツで、しかもエスメラルダに命を救って貰った癖に・彼女より大人なのに、ジャリを気にかけて助けるくらいで全然役に立っていないという……そうそう、普通多くの人たちは愛にとち狂わないし誰かに身を捧げたりもしないよと思い出させられて、そうではないエスメラルダ、フロロ、カジモドの物語が一層浮かび上がって見えるという。



Commented by ymomen at 2024-06-05 04:19
カンアオイ、こんな花があるのですか。
茄子のヘタみたいな花ですね。
茎も紫色でゴシックというか。。。
不思議に美しい姿に見入りました。

わたしたち、どうして花が好きかっていうと、月並みですけど、やはりその色、薫り、美しさではないでしょうか。
哀しい時も喜びの時にも、酒屋は繁盛するそうですが、花もまたどちらの場合にも慰められ、また祝福してくれるものです。
子孫(果実)を残すとき、生きるものは一生のうちに一番美しい姿になるという華とそのはかなさの虜になるのではないでしょうか。
果実を生さない生き物の、老いる姿もまた風情があると思いますが。
野にひっそりと咲く小さな花もまた可憐ですね。
Commented by macchi73 at 2024-06-05 21:18
もめんさん、
花の香りや佇まい、ほんとにウットリしちゃいますよね。
割と私たち皆がそうみたいだから、これって生物的な本能なのかな、それとも社会的な学習なのかな、なんて考えてしまいました。

そしてもめんさんのコメントを見て、花の後ろに詩情や風情、喩えを感じるのは人間らしい経験や学習からかもしれないなーと思いました。
その一方で、なるほど、花が咲き乱れる場所って子孫(果実)が得られる可能性が高い場所ってことでもあるのか!と気付かされ、生物全般にとっても、豊穣とか平安みたいな、桃源郷的な好ましさが本能的に感じられるのかもなーとも思ったりしました。

カンアオイは不思議な姿ですよね……
蘭の中には根を鑑賞するものもあったりするし、趣味の道ってハマればハマるほど、マニアックな細部や網羅的な蒐集に価値が出てくるところがあるのかもしれないですね。自分にもそういうところがあるんですが。
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by macchi73 | 2024-06-04 06:33 | 【自然】雑草、野草 | Comments(2)

東京の住宅地で試みる素敵ガーデン・ブログのはずだった。なのに昆虫の記事がダントツで多い。虫 & 植物 & 子供の記録。本は殆どブログのアフィリエイトポイントで買わせてもらってます。感謝!/【※】画面最下部の「表示モード」でPCレイアウト選択後、もう1回リロードすると広告無しにできます。


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