嗅ぎ比べ:ヒヤシンス、沈丁花(紅白)
2024年 03月 10日

花瓶の沈丁花の枝が水中で発根しているのを見つけ、庭に持って出た。庭隅の半日陰の石の陰にそっと挿しておいたから、上手くいけば来年には根付くだろう。しゃがみこんで挿木する作業の間にも、頭上には白木蓮、パラパラと音をたてて銀色の毛皮のついた蕾の殻を降らしてる。春の明るい日。庭が良い匂い。
挿木が済んで、沈丁花の茂みの横の小径を通る戻り道、また新しい一枝を切り取って持ち帰る。前回は赤花の沈丁花だったから今度は白花の方にしてみよう。
紅白の花に鼻をつけてクンクン嗅ぎ比べてみたら、色は違っても香りは一緒のようだった。はー、ホント良い匂いだなあ。


今の時期、庭の向こうの地面ではヒヤシンスも点々と咲いてるのが見える。
沈丁花も良い香りだけど、あれらとの香りの違いはどうだっけな?沈丁花の咲く木陰から日向で光るヒヤシンスを眺めつつ、ふとそんなこと思ったら、すぐに香りの違いが思い浮かばなかった……。あれっ、そんなバカな。どっちもよく知った好きな香りのはずなのに。
それで沈丁花の一枝を手に持ったまま、ガーデンシンクの上で咲いてるヒヤシンスの方へ向かう。冬に庭土の天地返しした時に出てきた球根を鉢に植えてたら咲き始めたんだ。嗅ぎ比べだ。
そしたら、ヒヤシンスに鼻先をくっつけた途端に「あ、これヒヤシンス!」とすぐに閃いて、次に沈丁花を嗅いだら「そうそう、これが沈丁花」と腑に落ちた。ヒヤシンスの方がツンと甘い香りが最初にあって、沈丁花の方は少し酸っぱいようなさっぱりした香りだな。嗅ぎ比べると、やはりそれぞれ特徴があるものだ。ヒヤシンスの香りの特徴はフェニルアセトアルデヒド由来、沈丁花の香り主成分はリナロールらしい。ただ、どっちも胸いっぱいに吸い込んだ後、草っぽい青臭い感触が残るのが共通してて、それで似てるって思っちゃったかも。
生花らしいこの青臭い匂い、癖になる感じで、何度もスーハーしちゃう。これはもはや匂いを通り越して味じゃないか?空気の中の匂い成分が美味しい。

でももしかしたら、匂いを思い出す行為が不得意なタイプかもしれない、自分は。
(2021年に引っ越ししてきてすぐに植えたときは小ぢんまりしていたのが順調に成長して、いまでは寝室の窓の下が沈丁花で埋まってる。ベッドの中まで良い匂い。紅白で植えて、良かったな)