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2021年 11月 20日
『火曜日の手紙』(エレーヌ・グレミヨン)、『月曜日のユカ』(加賀まりこ)
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休日、朝から夫が歯医者さんのため不在。子供も学校。

家に私一人だけのことって本当に珍しくて、年に数回あるかな?いや無いよなって程度なので、物凄く貴重な感じがする。シーンと静かなこの感じ、何もかもがキラキラして見える。一人暮らしのときはずっとそうだったし、家にみんながいて外で私一人ってことはいっぱいあるのにな。家で一人って、全然違う。不思議な多幸感。

窓開けて風を通してたっぷりのコーヒー飲みながら知らない作者の本を読んだら、物語にどっぷり没頭してしまった。読書って潜水に似てる。読み終わって、浮き上がって、戻って来たら、目と喉の奥が怠くなって、しばらくぼんやりした。

久々のこの感じ、面白かった……。本が良かったのか、一人で集中しての潜水が良かったのか。音もなく窓辺で休む猫たちの毛皮が午前の光を反射してるのを眺めてるだけで、なんか泣きたいような気分になって、窓辺に座る獣さへ・ひかり光りて堪へがたし−−なんて朔太郎風の気分になった。一人の家って、何もかもが全部、静かでキラキラすぎる。





『火曜日の手紙』(エレーヌ・グレミヨン)


内容についての前知識もなく、単に先日『月曜日のユカ』を観て面白かったから、図書館棚で見かけて「おっ、火曜日モノも読んどくか?」と借りただけ。それでアタリだとツイてたなー!と嬉しい。
家族の中で最後まで生きた人間は、絶対に弔意の手紙の対象にはならない
主人公はフランスの編集者、母を亡くしたばかりで片付け中、毎週届く謎の手紙、手紙に登場するのは
ハイソなカップルと美しい村娘、背景にはナチスの侵攻……と、なんかありがちな道具立ての物語にも思えるが、でも最初から最後まで、ぐいぐい引っ張られて一息で読んじゃった。

次々展開する謎で引っ張り、視点も次々バトンタッチし、各視点からの種明かしのカタルシスが、寄せては返す波のよう。読後しばらくしてから筋立てを思い返すと、隅々までクリアに謎の解を出し過ぎだろ、現実って大半のことは謎のまま終わるだろとかも思っちゃうが、それで白けることもなく。

読んだ後は抜け殻状態。ほんと、読書でこれは久しぶり。どっぷり疲れて、面白かった。ちなみに、物語はキラキラした話ではない。どっちかというと逆かも。キラキラ期待で読むには注意。スッキリしたのかドンヨリしたのか、まだ判別つかない。



* * * * *


おまけ。こっちは不意打ちで面白かったとかじゃなく、「可愛い加賀まりこ観ようっと」と思って観て、期待通りだったという。

麻雀放浪記はじめ、若い頃の加賀まりこの可愛さが脳裏に焼き付き過ぎてて、今でも娘顔にしか見えないんだよなー。年上なのに。キュートすぎる。

ストーリーには、戦後のおっさんドリーム臭を感じる。坂口安吾テイストの白痴+聖女が大好きっていう。でも、実写の女優の魅力を楽しむんだったらそこまで極端に単純化しない方が面白いのになーとか思ったり。青鬼の褌(>青空文庫)の可愛い女のモデルとも言われる三千代夫人だって、ご本人の書かれた色々混ぜこぜの『クラクラ日記』の姿の方がイキイキしてるしな(まあ、本として面白いのは青鬼の方なんだけど)。

っつうことで、ストーリーは無視して、加賀まりこのキュートな動きを楽むぜ!とか思いつつ、実は坂口安吾も好きなのだった。自分が男だったら、そういうドリームは持ってしまうタイプかもと思う。ってか、あれこれ説明してこない分、女子供の方がミステリアス度高いから誰にとっても勝手なドリーム対象になりやすいってのもあるかもな(つまり、誰かのドリーム対象から外れたければ語るべし)。途中の独白シーンとかは、いきなり演劇風でちょっと面白い。寺山修司テイストも入ってんのか?そういう時代か。

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by macchi73 | 2021-11-20 22:33 | 面白かった本など | Comments(0)
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