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2020年 11月 09日
ワキグロサツマノミダマシ(脇黒薩摩の実騙し)、『いちばん美しいクモの巣』(ル=グウィン)
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8月に見かけた、緑色でまん丸の腹部のクモ。腹部が薩摩の実(ハゼの木の果実)に似ているから、サツマノミダマシ(薩摩の実だまし)と名付けられた。

ハゼの木の実の別名が「薩摩の実」なのは、薩摩藩の特産物である木蝋の原料だったかららしい。

この実のように全体が緑一色の蜘蛛ならサツマノミダマシで、腹の側面だけが褐色なのがワキグロサツマノミダマシ(脇黒サツマノミダマシ)。なので、今回見たのはワキグロの方。

真夏の蜘蛛だからかな、昼間は葉裏などに潜んでいることが多く、夕方になってからその日の捕獲網を張ることが多いようだ。私が見かけた時も、空中で円を描くようにクルクルと回っているものがあると思って近づいたら、この蜘蛛だった。体に似て、網も真ん丸。
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Wikipediaには、ル=グウィンの絵本『いちばん美しいクモの巣』の蜘蛛がサツマノミダマシだと紹介されていた。


Wikipediaだけでなく、色んなサイトがこの蜘蛛はサツマノミダマシだと書いているんだけど、どこでそう分かるんだろう?種名なんか載ってたっけな?

挿絵にある蜘蛛の姿や巣の張り方も、サツマノミダマシ特有という訳でもない気がするし……。夜に巣を張るっていう習性から、「オニグモの仲間だろ」とかいうことなのかな。でもそれだけじゃ弱いな。原語で読めばヒントがあるのか、それとも絵本の外で言ってたのか、単に書かれていたのに読み逃したのか。気になる。

子供の頃、同著者の『ゲド戦記』を読んだ時は、他の童話ファンタジーと違った感じの個性が印象深くて、うわっ、面白いの見つけた!って思った。なんつうのかな、ちょっと大人な感じがするんだよな
ただし大人になってから軽く読み返した時には、物語の背後に確固たる思想を持った作者の存在を感じて、絵的というよりは言語的な世界だなと思った。

ということで、「けっこう主張を前面に出すな」という印象だったル=グウィンだが、この絵本はそうでもなかった。教訓がいかにも漂って来そうでいつつも、つかみどころがない。なんとなく散漫っていうか、物語上の山場が分散している。意志と偶然によって流れゆくクモの半生……「こういう蜘蛛がおりました」という、一匹の蜘蛛についてのミニ叙事詩って感じかな?

最終的に外の風や朝露に触れて、のびのび巣を張るクモ、快適そうで可愛い。叙事詩って悲劇ベースのことが多いけど、この話は幸福の話。


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ついでに、ル=グウィンでもう一冊。


「老人である」ということを前面に押し出したエッセイ(←ちょっと嘘。乱暴な要約)。

モノ申す系のハキハキしたお婆さんで、主張が強くて歯切れが良い。「はは、そうだよな」と思う話と「えーそうか?」と思う話が入り混じり面白かった。

『弱虫に老人は務まらない』というプロパガンダ・ポスターは正しくない、正しくは『若者に老人は務まらない』と言うべきだろうという主張は、確かに!と笑っちゃった。そうだよな、若者には耐え難いだろう。だからって、ただ年をとっただけで、べつに老人が偉い訳じゃないんだけど。でもでも自分たちに務まらないことをしている、そこはリスペクトはすべきだな。納得の論理。

あと、ル=グウィンの言葉として誤ってよく引用されている『クリエイティブな大人は生き延びた子どもです』という文章の嫌さ加減を語っている節も面白かった。とにかく物凄く嫌そうで。クリエイティビティに関係なく、どんな大人だって生き延びた子供だろ!という憤慨。
成長して大人になることに価値はないとする見方には、フィクションで、そして「内なる子ども(ジ・インナー・チャイルド)」なるカルトでしょっちゅう出くわす。(略)

自己憐憫好きの感受性豊かな犠牲者づらの子どもには、内なる子どもと共通する点があるように思われる。どちらも怠惰なのだ。自分が大人になるよりは、大人を責めるほうがはるかにたやすい。(略)

私たちは皆、一生を通じて子どもたちから学ぶ。しかし「小さな子どものようになれ」というのは、霊的な助言であって、知的助言でも、実際的助言でも、倫理的助言でもない。
この辺も、読みながら笑っちゃった。迫力の老人語り。

私も、小さい我が子たちと一緒に過ごした中で、子ども時代って本当に大人とは違う、特別な魔術的な期間なんだと強烈に感じたことは何度もあった。子どもを通して見たら、それまでと全然違うように世界が見えた。その感じは、その後もずっと続いてる。でもそれと一緒に、じゃあ自分は大人にならないとなあってことも、全く同時に、とても強く感じたんだった。
子ども時代をリスペクトして大事にするのと、子どもの性質そのものをゴールに置くのとは、全然違う二つのことだよな、という話。とても納得。

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そこで、レッツ・脱・子供!の歌。



今の女の子による90年代男性デュオのカバー曲。
「すぐスマイルするべきだ、子どもじゃないならね」って歌詞が、男性から女性への形で歌われてたオリジナル曲の時には「本人のタイミングで良いだろー」感もちょっとあったが、スマイル大実施中の少女本人に歌われてると、「うんうん、そうだよね、それ大事かもね!」といきなり全然違うトライ成長ソングに聴こえるという……笑顔にグッと来た。




by macchi73 | 2020-11-09 23:00 | 【生物】昆虫・その他の生物 | Comments(4)
Commented by africaj at 2020-11-15 01:26
今回の記事ったら!老若男女クモ全域カバー!macchiさん幅広いw
本日、90歳過ぎた偉大なる建築家とご縁があったのですが、迫力の老人であり、洗練された大人の感性なんだけど、子供のように遊び好きであったw
Commented by macchi73 at 2020-11-15 19:31
africajさん、
脈絡なく、あっちこっち飛んじゃう記事で恥ずかしい。
自分の中だけの思いつきで、あんま考えないでずらずら書いてるから、なんか分裂的だな?と、たまに後から自分でも連想の流れを見失います。

遊び好きなご老人って、面白いですよね。長年の自信にも裏付けされてるから迫力が違う。
エネルギッシュだからそこまで遊び心を保存できるのか、遊び好きだからいつまでもエネルギッシュなのか、、、。
Commented by africaj at 2020-11-20 12:45
いやいや、macchiさんともしリアルに話すことがあったら、きっと話が転がりまくって面白いんだろうなとw
若者の流行りもカバーしてる、その好奇心の幅に敬意持ってますよー。
Commented by macchi73 at 2020-11-29 22:48
africaさん、
あー、コロナで馬鹿話を転がせる機会が減ってて寂しいですねー。
友達(っていっても結構年齢幅広くて、そう呼んでいいか迷うけど)と集まって飲んだりする時、それぞれの興味のある分野でどんどん話が転がっていくあの感じ、凄く好きです。
コロナ直前の飲み会では、遺跡の話から始まって、歴史、SF、物理、アイドル、、、、と各自、自分の強い分野をてんでバラバラに語りつつ、最後に違う切り口で遺跡の話に戻ってきた時に、面白すぎて「この話を全部保存したい!」と感動したのを思い出しました。
みんな強い分野が違うから、面白いんですよね。
africajさんなんか、変わった引き出しいっぱいあるから、きっと話したら楽しいでしょうね!
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