肉団子を作るクロスズメバチ(それとオオカマキリ、ジョロウグモ)
2018年 11月 03日
庭の藪の葉が不審な揺れ方をしていると思ったら、裏側でクロスズメバチが毛虫を捕まえて肉団子にしている最中だった。前にウィンナーを肉団子化しているのは見たことがあるが、狩りでの様子は初めて見る。クロスズメバチには獲物を肉団子にしている間は周囲に興味を示さなくなるという習性があるらしいので、遠慮なく葉っぱを裏返して、すぐそばで観察させてもらう。
最初は毛虫の形をとどめていた獲物が、ガッチリ抱きかかえられて噛み砕かれて、だんだんと何だかわからない丸っこい肉団子になっていく様子に感心した。飛び出た毛も綺麗にカットして、なめらかな仕上がりにする丁寧さ。
むむ。昆虫の世界は弱肉強食だなあ……としみじみしてたら、その藪の下に、そろりそろりと慎重に移動するカマキリの姿を発見。うわっ、大きい!この大きさはオオカマキリのメスか。晩秋に産卵を控えて、今はいっぱい食べて栄養を溜めようとしてる時期だろう。
さてスズメバチとカマキリ、どちらも昆虫界の両雄と並び称されるハンターだが(雌だけど)、この二つが対決したら一体どっちが勝つのか!?などと不謹慎な期待で胸高まったりして。しかしその興奮が息遣いで伝わってしまったのか、クロスズメバチは綺麗に仕上がった肉団子を抱えてすぐに飛び立ってしまったのであった。
そういや、カマキリもジョロウグモも、オスに対してメスの方が体が大きく、交尾の際にはメスがオスを食べちゃうことがあることで有名だ。食べられたオスは栄養となって、我が子たちの成長に役立つ……のかもしれないけど、やっぱ食べられるのは嫌だろうなあ。
産卵を控えたメスがオスを食べちゃおうとするのも本能なら、危険を冒してでも繁殖したいオスの行動も本能で、だけどできれば食べられないで逃げ延びたい個としての自己保存の本能もあるだろうし、種と個の本能がぶつかった場合には、やっぱ虫でも個の本能の方が勝つんではないかなと想像する。