いろいろ毟り日
2017年 03月 10日
……っていうか、寧ろ1年にその1日しかバラの世話ってしないんだけど。今年の薔薇は冬じゅう花を付けてたんで、いつ剪定・誘引したら良いかもわからない状態で冬が終わってしまった。よって、年に一度の世話もまだしてない。
茎からぶら下がって、生きてるような死んでるような花を見る。
いつもは白っぽく咲くバラも、冬季だと赤くなる不思議。これはバラだけじゃなく白菊なんかもそう。寒さの中で萎れてくると赤くなる白い花って多い。寒くなって植物が末端を徐々に切りはなそうとするとき、花にも紅葉と似た仕組みが働いたりするのだと思う。
萎れているように見える花でも無理やり毟れば中心部にはバラの香りが残っているのが分かり、なんとなく無体を働いている気分になる。辛うじてくっついてるだけだった古い葉たちは、柄を引っ張れば簡単に茎から離れて、その下にはもう次の新しい芽が伸びている。
無体ついでに、庭を覆う枯れた蔓草たちもガッシとつかんで毟りとる。
しかし蔓草ってしぶとくて、枯れていてもそう簡単には引きちぎれない。むきになって全プライドと全体重(重い)をかけてぐいぐい引っ張ると、絡みつかれた木の方が先に折れちゃいそうなくらい強くしなって、頭の上にいろんなものが降ってくる。
格闘してたら、庭で遊んでた子が一人やってきて、じっと見ている。
なんだろなと思ってたら、ねえ何やってんの?と落ち着いた声で聞いてくる。えー、庭整理とか、とまだドタバタしながら答えたら、ふーんと言ってまだ立ってる。君は一体誰なんだ。
力いっぱいブッシュを引っ張って地面ごとゴソッと毟ったら、えぐれた地面の穴の中に小さなカナヘビが数頭いたのでちょっと驚いた。それぞれ四方に散らばって、土の隙間にチョロチョロっと入っていく。へえ、カナヘビの冬眠ってこんな感じなのか!
子供たちが寄ってきて、一匹捕まえた。
うわーかわいー!と娘。うへー!と一人、無言の一人。それからそっと穴に戻す。
つまみ上げてみたらどれか一匹が残して逃げた尻尾だった。尻尾まで毟っちゃった。悪いことしたな。
なんで動くの?と子供たちに聞かれたので、たぶん脳みその子分みたいな神経の塊が尻尾にもあって、残ったエネルギーを振り絞ってしばらく動くように命令を出してんだよと話す。古代の巨大恐竜とかもそうだったらしいよ、頭の脳みそは小さくてそんなに複雑な命令だせないけど、その代わり体の何箇所かに分室があって、そっからそれぞれ体を制御してたらしい。昆虫とかも頭部がなくなってからも動くじゃない、あれも同じ仕組みだと思う……とか話してたら、なにそれ気色わるい、とまたクールなお答え。そう?面白いと思うけどな、と私。
背も伸び、様子も大人びてきて、大人に対してもうそんなに笑わない。なのに外で子供らしく遊び、なにか唐突な感じで話しかけてはくる。基本的にセリフは単語か短文。社交的な会話はまだしない。昔は可愛かった、と思うが、今もまだ可愛いのかもしれない。小学高学年たち、なかなか謎めいたお年頃だ。