青ばら、白菊
2016年 11月 30日
秋の青バラが本格的に咲き出して綺麗だ。朝、家を出る時に眺めるのが楽しい。
青バラはレモン菓子のような強い芳香があるんだけど、その隣に本物のレモンが実っているので、なんだかおかしな感じがする。
−−なんて毎朝、花と香りにうっとりしていたら、いきなりの雪。
せっかくの秋バラが根本から倒れて雪の下敷きになってしまった。ショック。11月の積雪ってありか。なんと54年ぶりか。
がっくりして項垂れて門を出たら、門柱の周りに白菊が咲いているのに気づいた。白い雪の中に白い菊が流れる雲のような形に咲いていて、眼球が冷んやりする。冷たく湿った冬の朝の感覚。
途端に日本画のような白菊の一場面が思い浮かんで、あれ、こういうの詠んだ和歌があったな……と思ったが、伊勢物語の白玉の歌ばかりが頭の中でぐるぐる回って、白菊の歌が思い出せない。最近、記憶力が壊れ始めてるのを感じる。加齢現象、つらい。
で、職場に着いてしばらくして、花のことなんて忘れてコーヒー飲んでたら、いきなり思い出してスッキリする。置き惑わせる。
別日の白菊。
雪の日は、写真を撮るのも思いつかずに見とれていたが。
心あてに 折らばや折らむ 初霜の
おきまどはせる 白菊の花
古今集だった。
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むかし男、面白すぎ。白玉の女は鬼に喰われて消えてしまう。
ばらばらの短編が連なって一人の男の姿を浮かばせる構成も面白く、古代の人たちも娯楽小説読んで楽しんでたんだろうなーと想像できて、昔と今って、装置は変わっても地続きなんだよなあ……と感慨深い。