ジューンベリー(6年目の結実)、バルガス・リョサ『子犬たち』
2014年 06月 20日
6月。英語で言えばJune。そんな今月。
2008年に植えたジューンベリーが、6年目にしてやっと、ある程度の量の実をつけた。
じつは全然実をつけないのに痺れを切らし、2011年頃に薄暗い庭隅に移動してそのまま忘れていたのだったが、今年は鮮やかな赤い色が遠目からも目立っていて「そう言えばあれはジューンベリー!」と思い出した次第。
ジューンベリーは、赤い実が黒く熟したら食べ頃らしい。
で、我慢して待っていた。まだ赤いな、まだもう少しだな、黒くなったら何作ろうかなーとウキウキして待っていた。
そしたらそのうち、手術やらサッカーやら何やらで、しばらくの間だけジューンベリーのことを忘れた。
再び気づいた頃には、なんと実は熟しきって全て地面に落ちてしまっていた。ガーン。
ちょっとの間、目を離していただけなのに。
という訳で、今年も収穫できなかったジューンベリーだが、緑の中の赤がとっても綺麗だったので記念に写真だけアップしておく。
来年こそはきっと。
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地面に落ちて痛んでしまった果実たちを見て思い出すのは、リョサの『子犬たち』。
手術とサッカーと遺失の物語(←なにか間違った要約)。
『ラテンアメリカ五人集』
バルガス=リョサ、オカンポ、アストリアス、パチェーコ、オクタビオ パスの5人の中短編集。
リョサの『子犬たち』が躍動感のあるテキストで面白い。子犬のようにじゃれ合う少年たちの底抜けに明るい日々と友情。でもその中の一人がある日、犬に<ちんこ>を噛み切られてしまう。みんながどんどん子ども時代を卒業していく中、彼一人だけ、絶対に次の段階に進めない……。
どんな瞬間にも忘れられない気がかりっていうのは、人の行動を制限して、ついにはすっかり元々の形質まで変えてしまう。どんなところにもついてくるこの気がかり、何をやっても最後はこの気がかりにぶつかってしまう……ってのは、程度の差こそあれコンプレックス持ちなら分かる気持ちかも。
でも輝くような子犬の日々を失ったのは、本当に彼一人だけだったか?とか考えると、まあ、そうでもないかなとも思う。誰でもみんな子どもだったし、誰でもみんなずっと子どもでいられない。順調に成長しても、しなくてもそう。
(クリャエルは)いい奴だけどガリガリ亡者さ、勉強ばっかりしていて、スポーツにはちっとも身を入れない、とチョート、するとラロが、あいつのせいじゃないさ、おやじさんがわからず屋なのにきまってるよ、チンゴロも、そうさ、あいつはぼくたちと一緒に来たくてうずうずしているのに、マニューコが、チームへ入れるのは難しいだろうな、身体もないし、キックも耐久力もなくて、すぐにへたばってしまうしさ、いいとこなしだよ。でもヘディングは上手いよ、とチョート、それにぼくたちのチームのファンだから、どうしても入れてやらなくちゃ、とラロ、チンゴロが、みんなで一緒にいられるようにね、うん、あいつを入れよう、どんなに難しくてもな、とマニューコ。
しかし、物事を諦めない性で、何としてでもチームに入りたい一心のクリャエルは、その夏猛練習し、翌年にはクラスチームのセンターフォワードのポジションを獲得した。(中略) ここに、ふくらはぎに触ってごらんよ、締まってるだろ! はい、ほんとうに、とても進歩しました、チョートがブラザー・ルシオにいう、身のこなしが素早くて、よく動くフォワードです、攻撃の組立もうまいし、それに何より、どんなときにもファイトがあって、とチンゴロがいえば、マニューコも、敵が攻勢のときはゴール下まで球を追って行くのを見られたでしょう、ブラザー・ルシオ? あいつをチームに入れるべきです。クリャエルはうれしそうに笑い、爪に息を吹きかけて、袖が青くて身頃の白い四年A組のアンダーシャツにこすりつけている、これでよし、君をチームに入れてやったぞ、でもいい気になって天狗になったりするなよ。
つくづく日本と異質な文化だよなー、その感覚よく分からないかもなーって感じさせるラテンアメリカ作家の中で、リョサは日本人にも理解しやすくて読みやすいと思う。有名な『緑の家』も、構成の読みにくさにも関わらず面白い。ただ、『継母礼讃』なんかまで行くとスイスイ読み易過ぎて、面白かったとは思うけど、逆に小品っぽくて印象に残らなかった感もあり。
寧ろ早く採らないと、ヒヨドリ他鳥のごちそうになってしまいます。
追熟するとは!!知らなかったー。
来年は沢山食べられそうです。期待。
satoruさん、
フサスグリは一旦調子が良くなると大量収穫できるんですけどねー。ウチだと日向ではイマイチで、コンクリート塀のすぐ前の日陰だと調子が良かったです。暗くても涼しい所が好きなのかな?って感じました。
あとスグリ(グーズベリー)の方は、ウチもいつまで経っても収穫ができない……。もっと寒い所じゃないと無理なのかもなー。