カテゴリ:面白かった本など( 74 )

2013年 06月 21日
安らぎの香り、『魔法の庭ものがたり』
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このところ毎日夜遅くてクタクタで、体調を崩す。
帰宅してぐったりしてると、お風呂の良い匂いをさせた子供が眠そうにおやすみを言いに隣に寄り添って来たりして、なんだか安らぐ。
こんなことで心安らぐようになってしまうとは。なんとなく複雑な気分だ。

子供が寝床に去る前に、その日のことをちょっとだけ話したりする。
末っ子はいまポプリが作りたいらしく、自分で庭のバラやラベンダーでドライフラワーを作ったりしていてマメマメしい。
で、「エッセンシャルオイルって何?うちにあるもの?」とか聞いてくる。

うーん、そんなお洒落なものは無いな、そもそもなんでポプリなんて作りたいのさ?と聞いたら、「こういうの作りたいの」と最近熱心に読んでいる本を開いて見せてくれた。
『魔法の庭ものがたり』というシリーズもので、ポプリやらハーブティーやらのレシピが色々載っているようだ。


『ハーブ魔女のふしぎなレシピ―魔法の庭ものがたり〈1〉』(あんびるやすこ)


どうも友達の間で流行っているらしく、最近、何冊か連続で借りてきては読んでいる。娘は登場人物のやることの真似をしたくて仕方ない模様。

子供たちがこんなに熱中して何冊も読むんだからきっと読むと面白いんだろうなーとか思いつつ、イラストが少女チックで、私は未だ食指が動かず……。



娘に手渡されて「ふーん」とぱらぱらページをめくってみたら、お母さんも読んでみて、面白いから!とシリーズで何冊か勧められた。
うん分かった、ピノコが寝てから読むよ、と言いつつ、全然読めないまま数日が経ってしまった。
そんなこんなで気づいたら、本は返却されてしまって家には無い。

でも娘のたいへん熱心な様子が面白かったので、そんじゃあ仕方ないなと、お土産にローズエッセンシャルオイルを買って来た。
「はいどうぞ」と渡したら、それで手作りポプリが完成したらしく、満足気な娘。
ヌハ〜!ポプリって良い匂いだね〜!安らぐ〜!とか、何度もお皿の蓋をあけてはうっとりしている。

うーん、それ、単にエッセンシャルオイルの匂いじゃないの?
お母さんはピノコの石けんの香りの方が安らぐよ……とか思って可笑しく見ていたら、本、面白かったでしょ!?とキラキラした目をむけられて、つい、「うん、良い本だね」とか答えてしまった。

どうしよう。まだ読んでない。
娘も気に入ってる本だし、この週末に大人買いする、か?
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by macchi73 | 2013-06-21 23:59 | 書籍など | Comments(2)
2013年 06月 20日
カナヘビの脱皮
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カナヘビのカナちゃんを太らせるために、窓辺の棲家に虫をどんどん放り込んだら、夜ごとにコオロギの綺麗な鳴き声が部屋に響くようになってしなった。風流なり。
「そのうちコオロギとか鈴虫の飼育がメインになったりして」と笑う夫。

で、なんだか肌がガサガサだなー、弱ってるんだったら困るなーって思って見てたある日、スルッと表皮を脱ぎ捨てた。出てきた肌は、なんと、きめ細かくなってる。

そんなにジロジロ見ないでくださんし、とでも言いた気に物憂い流し目で振り向く姿は見返り美人って感じだ。色っぽいかも!

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でも私だけじゃなく、リビングの窓辺の水槽、気がつけばみんなが覗き込んでいる。
カナヘビって、思っていたより表情豊かで見ていて飽きないんだ。

脱皮前には、割れた鉢のアーチの上で、日向ぼっこしてはウトウトしたりしてた。
目をつぶった時の顔、かわいい。
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かと思えば、餌の虫を入れると、挑発的な表情でグングンこっちに寄って来たりもする。
そして獲物をパクッパクッと飲み込んで行く。ワイルド。
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脱皮して脱ぎ捨てた皮には、小さい指先まで綺麗に形が残っている。ミニチュアみたいで面白い。
蛇の抜け殻って幸運を招くっていうけど、カナヘビの抜け殻はどうなんだろう。

ちょっと記念にとっておく。カナコの初脱皮。
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カナコのピカピカした目、しなやかな身のこなし、容赦なく獲物に襲いかかる姿は、ネコ科の猛獣を思わせる。一緒にボートで世界の涯まで旅したいかも。したくないかも。

『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』

物語にはオチもあってストーリーへの満足感もあるんだけど、それより何より風景が綺麗!!

大海原の漂流と比べるのはスケール的におこがましいけど、似た風景を知ってるって場面が幾つかあって、お腹の底がシーンとするようなソワソワするような懐かしい気分になった。多分、一人ぼっちで怖くてテンパりながら自然の中に放り出されたことがある人なら誰でもそんな既視感覚えるんじゃないかなって思う。凄い怖いと凄い綺麗って似てる時がある。凄い混乱と凄い静かも似てる時がある。

そういう感覚、子供たちにも体験してみて欲しいと思いつつ、でも心配。結果、映像とか本だけ与えて、自分の子供は身近に置いて育ててる。怖いくらいのものを見て欲しい、でも怖い目にあって欲しくない。

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→映画が面白かったので原作も読んでみたら、ちょっと違った感じに面白かった。

映画は子供時代のパイの印象が強かったけど、本は大人のパイの印象が強く、もっととぼけた感触が残った。オチも映画よりはっきり示されてたかな。


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by macchi73 | 2013-06-20 22:48 | 面白かった本など | Comments(3)
2013年 04月 06日
ルビー蝋虫、『ママは決心したよ!』
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夫と庭でぶらぶらしていたら、あらあ!久しぶり!と声をあげる人あり。我が園芸仲間のご近所さんだ。
早速パワフルに門を開けてやって来て、なになに、何か植えてるの?この花綺麗じゃない!なんて、賑やかに庭の巡回が始まった。
そのうち、「あれえ!これは切らなきゃダメだよう!」と指された方向を見たら、庭の月桂樹の枝にカイガラムシが大発生していた。あらまあ。

脚立に上がってよく見ると、ルビーのような赤い蝋状物質に身を固めた、ルビーロウカイガラムシだ。
カイガラムシの駆除ってヘラなんかで一々こそげ取るしか無いんだけど、月桂樹は5mくらいもあるのでちょっと難しいかな……。

ご近所さんは、切っちゃいな!全部切っちゃいな!すぐに伸びるんだから!今大きいノコギリ持って来てあげるから!と強く推奨している。対する夫は、「いやあ、切るのはちょっと……」と弱々しい抵抗を試みているが、親世代には逆らえないタイプ。私はわざと少し離れた場所で庭仕事をしている。
結局最後は、ノコギリを手にしてすごく不本意そうに剪定を行うこととなった夫。うはは。

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この月桂樹は、小さな切株から伸びて来てここまで育ったもの。

実は私も前々から枝を間引いて小さくしようと主張していたんだけど、夫の強い反対で切らずにいたのだった。

夫は剪定という行為を何故かとても嫌っており、私が庭仕事してても「えー切るの?なんで?」と隣でイヤーな声を上げることが多い。どうも剪定は植物が可哀相という気持ちがあるらしい。


剪定後の庭はスッキリ明るく、風通しが良くなった感じ。
うちの庭の広さには、やっぱりこれくらいが丁度良いよ。月桂樹は伸びるの早いしね。もう一本、金木犀の大木もあるしね。

しかし無慈悲な(?)剪定という行為に我が手を染めてしまった夫は、見るからにどんよりとしている。目を伏せて、おばさんの顔を見ない。そうして、「そう暗くならないで元気出しな!木はすぐに伸びる!伸びなかったらウチの一本あげる!」と豪快に笑われて、「はあ…」と答える声がとてもか細い。

すごい笑った。声小さ過ぎ。弱り過ぎ。

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おばさんはいつも気ままに豪快に歩き回っては公園やら色んな場所で土をいじり、色んな人に元気に声をかけている。

以下、我が道を行くご年配の婦人つながりで。
(ただし近所のおばさんは変人ではない。念のため)

『ママは決心したよ!』(ベイリー ホワイト)

変てこでマイペースな老ママと、主人公である次女と、それを取り巻く人々の物語。

どうしても現実だと、普通の枠をはみ出してしまう家族には複雑な感情を持ちがちだけど。こんな風に誰もが誰もをそのまま受け入れられたら、私の知らない優しい世界が開けるかもって思う。アメリカの家族ものって、なんかこういう雰囲気があることが多い。それぞれユニークで、笑えて、でも何故かちょっと切なくなる感じ。多分色んな人が混ざって暮らしてるから、変人や、分かり合えないってことに対してベテランなのかも。

すごく短いエピソード短編がいっぱい集まって一冊になってる形式なので、時間があるときにサッと読めて、何となく元気回復する。

「ガーデニング」というタイトルのエピソードも一遍、入っていた。庭にハマって行く経過が、共感できすぎて、笑った。私も同んなじ。


けれどロマンチックな人間につける薬はない。わたしは計画を立てた。半エーカーほどの地面を用意して、野生の花の種を何列もまこう。…(中略)…植えた草花が咲き広がって、やがて列のあいだの隙間も埋めてくれる。そうしたら、白いドレスを取り出して、のんびりと散歩を楽しめる。

…(中略)…

最初の年の夏、一年生の花が開いた。…(中略)…膝が痛んだけれど、地面の近くでは湿った土と踏みつけられたヨモギの香りが心地よかった。わたしもいつの間にか、ガーデニングをやる人や園芸家に特有の猫背とやぶにらみになっていた。

…(中略)…

五年目の夏、医者に行って膝を診てもらわなければならなくなった。「もう、しゃがむのはやめにしないと」と言われた。
「そうはいきません」と私は言った。「花畑の手入れがありますから」。先生はため息をつくと、伸縮自在のサポーターを一組くれた。

…(中略)…

三月になり、花畑へ出た。リナリアが真っ先に花をつけた。…(中略)…夏の盛りにはノラニンジンの花が咲く。その様子がはっきりと目に浮かぶ。どの花の名前も知っている。葉らしい葉をつける前から、何の花か見分けがつく。

…(中略)…

白いドレスは姉のルイーズにあげた。姉はときどきやってきて、わたしの花畑を散歩する。感心したり驚いたりして、しきりに声をあげる。

…(中略)…

花畑ではノラニンジンの金線細工のような花がサバチアの上で揺れ、ニワナズナは色鮮やかなデイジーの茂みのまわりにぴったり寄り添うようにして咲いている。けれど、ほとんどわたしの目には入らない。新しい花畑のことでもう頭がいっぱいなのだ。

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by macchi73 | 2013-04-06 23:29 | 書籍など | Comments(2)
2013年 03月 08日
一月はいぬ、二月は逃げる、三月は去る
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末っ子の学校行事のため、午後休をとった。
で、まだ明るい夕方、一緒に徒歩でてくてく帰宅。花屋に寄り道。
風は暖かくて道は埃っぽく、子どもの手は湿っていて、あちこちに梅と沈丁花の香りが漂っている。
いつの間にか、すっかり春だ。

途中、嬉しそうに立ち話している可愛い制服カップルを見かけた。と思ったら、片割れが息子だった。
ルートを大きく反対側にとって、邪魔しないように通り過ぎる。ふ。

帰宅後は、久しぶりに庭で過ごしてみる。空気がぬるい。
私が熊手で枯葉・枯れ枝などの冬の残滓をザクザク片付けた後に休憩してたら、末っ子は庭隅の自分専用スペースの整備を始めた。割れた鉢からこぼれ出た土をセダムで法面緑化し、フィギュアをレイアウトしている。
無意識なのか、ずっと出鱈目な鼻歌を歌っている。
面白く思ってじーっと見てたら、こっちを振り返って、「ここに小さいカブの種まきしたら小人の良い畑でしょ〜」と言う。
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すぐに薄暗くなってきた。
家に入ろうとして、冬の間に購入して庭隅に山積みにしてある堆肥に目がとまる。
あー!娘の観察をしている場合ではなかった。「冬の土作りしてないうちに寒い時期が終わっちゃったじゃん……」って気付いて、頭を抱えてしまう。

寒肥の時期は過ぎたが、これから果樹とバラに施肥しても大丈夫だろうか……。
変な時期に施肥すると、結実しなかったりするんだよなー。

でも山盛りの堆肥、次の冬まで取っておけないし。
仕方無いから、今週末にでもやるしかないなー。庭仕事開始。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * *

暖かくなったし、早寝早起きに生活を切り替えよう!と決心したその日。
早めに入ったベッドの中で手に取った本が面白すぎて、結局いつもに増して夜更かしして読み切ってしまった。
で、翌朝は春眠にどっぷり。 全然ダメだー。



『わたしは英国王に給仕した』(ボフミル・フラバル)


英国王に給仕した給仕長に教えを受け、エチオピア皇帝に給仕したチェコの給仕人ヤンの物語。

チビで才覚があるヤンはお金が大好き。それと女の子の裸のお腹を花で飾るのも好き。
小さい頃は、おばあさんと黒い夜の中、公衆浴場のトイレの窓からヒラヒラ飛んでくる白い衣類を捕らえて洗って売っていた。

そんなヤンが、給仕になり、英国王に給仕した給仕長に教えを受け、自らもエチオピア皇帝に給仕してピカピカの青い勲章をもらい、一流ホテルを渡り歩いて経験を積み、白い靴下をはいた敵方ナチスの女の子と結婚し、ユダヤ人から奪ったレア切手を売ってお金持ちになり、ついには夢だったホテルオーナーになって、でも元からリッチなホテルオーナーたちからはアウトサイダーとして扱われ、 落ちぶれ、年老い、世界の果てのようなところに辿り着く。

最初は変てこで楽しい物語だったのが、途中で重苦しくなってきて、こりゃ泣きたいような気分だなって思ってたら、何故か、最後の最後でブハーっと吹き出しちゃった。
面白くて笑うってのとは、ちょっと違うかもだけど。何だこれ。

仲間の一員として認められたいのに、どこに行っても余所者扱いされるポジションにおさまってしまうヤンは、なんかちょっと変で、哀しいような可笑しいような。

「これからする話を聞いてほしいんだ」で始まり、「今日はこのあたりでおしまいだよ」で終わる各章は、映像が目の前に浮かんでくるようなエピソードと登場人物のオンパレードで、まるで映画を観てるみたいだった。
すっごく面白かった!

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by macchi73 | 2013-03-08 07:30 | 面白かった本など | Comments(2)
2013年 01月 01日
子どもと冬のフィールドワーク(福音館書店『写真記シリーズ』)
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12月はバケーション前の残業ラッシュがあった上、巷のキラキラに浮かれて夜の街でのレジャーに励みまくってしまい、自然からはまったく遠い生活だった。浪費 & 暴飲暴食 & 不眠不休 & 健診不合格。反省。

でも年末年始に自然以外何もない夫実家でしばらく過ごしてリボーン。
レジャーも無いので図鑑を片手に野山を歩き回っていたら、これが凄く楽しかった!「久しぶりのこの開放感!やっぱり自然観察って面白いよなあ!」と再発見、ルネッサンスした気分だ。

ということで、今年もまた自然にも親しむぞー!と決意を新たにする所存です。
あけましておめでとうございます。

* * * * * * * * * * * * * *

「図鑑によればこの辺りにありそうだよ」と薮や水辺を探して、本当にソレを見つけた時の快感!楽しい!
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雑木林や薮の中では、様々な形態の昆虫の越冬が見られた。
何だか分からなかったもの、ちょっと珍しそうなものについては、後でもっとよく調べてからブログにもアップしてみよう。
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植物の種も沢山見つけた。
風に乗って飛ぶもの、服にくっついて運ばれるもの、鳥に食べてもらうのが狙いと思われるもの、色んな形態があって、上手くできてるもんだよなあと感心しきり。

e0134713_1845373.jpg色んな果実を拾い集めていたら、なぜか森の枯葉の中に寛永通宝まで見つけた。

これって、今年はツキがあるってことかもね。吉兆、吉兆。


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ちなみに、田舎に持参した図鑑は、福音館書店「写真記シリーズ」。
同シリーズの『野鳥記』が凄く面白かったので、新たに『昆虫記』『植物記』も購入してしまった。

これらの図鑑の良いところは、珍しい種を網羅するのではなく、普通種の季節毎の姿を見られるところ。
「いつ頃、どんな場面でどんな自然発見ができるか」という視点で作られているので、フィールドワークに持って行くと、必ず何かは発見できる仕組み。楽しい!




カワウを発見して、『野鳥記』の記事通りに水っぽいフンをジャーっと放出する場面を目の当たりにした時には「うわー!本当だ〜!」と笑っちゃった。
また『植物記』『昆虫記』の記事通り、川辺ではガマノホを見つけて遊べたし、小屋の軒下にはジャコウアゲハの蛹を発見できた。

特に子どもとのフィールドワークにうってつけのシリーズだと思う。

e0134713_1851710.png「この辺りによくいるみたい……あ、ホントにいた!写真とおんなじ!」というステップが、子どもに発見の喜び、知識の面白さを与えてくれる気がする。

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by macchi73 | 2013-01-01 23:57 | 面白かった本など | Comments(2)
2012年 11月 19日
園芸愛好家たち
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リビングの出窓の外で、バレリーナが咲き始めた。
「外はいま秋の花の時期だよー。ねえねえ出て来て見ないのー?」と問いかけるように、チラチラとピンクの花を揺らしている。

週末も出勤などしてバタバタしている最近だが、せっかくの秋を庭仕事無しに無駄に過ごしてしまうのか……と庭心がちょっと刺激されて焦る。

そんな夜、帰宅したら園芸仲間のAmeliaさんから荷物が届いていた。
美味しいケーキと園芸本、その他良いもの色々だった。

e0134713_23273177.jpg早速、翌朝にみんなでケーキをいただいた。

紅玉のみりん煮が入っていて、爽やかな甘酸っぱさ、リンゴの良い匂いで美味しい。

取り分けて食べ始めてから、あ、最初の綺麗な写真をとっておけば良かったなと思う。


もう絶版だからと郵送までして貸してくれたのは、『ベランダの庭 12ヶ月』という本。
ベランダマンと自称する著者の、ベランダガーデニング奮闘記&TIPS披露の内容だった。
「園芸にハマる者はみんな同じようなことで一喜一憂してるのか……」とふんふん頷きながら、フフと笑いながら、もぐもぐ食べながら、一気に読んでしまった。

前に読んですっごい笑ったカレル・チャペックの『園芸家 12ヶ月』の日本版といった趣き。
または、いとうせいこうの『ボタニカル・ライフ』の方にもっと近いか。
庶民度は、小野口>いとう>チャペックだな。
日本の二人は、狭いスペースや忙しくて放置気味になる世話に頭を悩ませながら、そして数々の失敗をしながら、それでも植物に心奪われて仕方がない模様。

春に次ぐ園芸適期である秋晴れの空の下、自分と同様に、きっとあちこちに気を揉む園芸家たちがいるんだと思うと、なんだか笑える。

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同志よ!と言いたくなる園芸記録。

『ベランダの庭 12ヶ月』(小野口広子)

チャペック、せいこうが園芸家の悲喜交々をエッセイ風に描いているとすると、小野口はHOW TO本風に紹介している。

こんな庭道具買ったのよー、こんな害虫対策してみたのよーってなご近所さんとの会話のようで、なんとも身近で役立つ内容だった。


『ボタニカル・ライフ』(いとうせいこう)

風邪で寝込んでいる娘に添寝して読み返していたら、「あれ、それってセイコウ?」と言う。

小学1年生が何故そんなことを……!?と思ったら、いまお気に入りのBIT WORLDという子供番組に、いとうせいこうが出ているのであった。



以下、ボタニカル・ライフの中から、あちこちを適当に抜粋。
それぞれ別の植物についての言及個所の引用だが、全体の流れとしてこんな感じの雰囲気。

彼らの園芸姿勢は、枯らしては後悔し、かと言って増え過ぎても持て余し、基本的にいい加減で、深い愛情よりは好奇心に基づいており褒められたもんではないが、「そうそう、そうなんだよなー」とかなり共感する。私もブログには載せない後ろめたい園芸処置が幾つあることか……。

そして三年目。俺は自分をだましてわざと水やりを控えた。捨てられないのなら死ぬのを待とうという恐ろしい計略である。オレはベランダ上の家康そのものであった。優柔不断な植物好きなら、このオレの所業を責めることが出来ないだろう。誰でも一度はそういう悪魔的なことをしたことがあるはずである。

……(何十ページも中略)……

いわば、やつは王をいさめたのである。領民の嘆きを無視し、はびこった悪をいい加減に潰してみせるばかりで外に新たな移民を求めていた俺に、やつはこう言っているに等しかった。
「王よ、我が花を見て何を思うのだ。このように我らには力があり、それを引き出すべきは貴方であるというのに、王よ。一体貴方は今まで何をなさっていたというのか」
おっしゃる通りであった。というか、おっしゃっているのは俺なのだが、要するに反省しきりだった。

……(何十ページも中略)……

クーロンコエが増える速度以上に俺は頭脳を駆使し、アイデアを生み出し続けてみせる。それがボタニカル・ライフのもう一つの魅力であったことを俺は再確認したのである。

……(何十ページも中略)……

鉢を次々に買い足しながらも、俺はその植物独自の強さを見たいのだなと感じる。
化ける力。
毎日が昨日と違うこと。
自分を繰り返さぬこと。
だが、一年を経てまたその差異を保ち、繰り返すこと。
俺は植物から啓示を受けたような気分になる。そして、その気分がいまや日常的であることに少し驚く。都会で植物と暮らすことは、つまりその啓示を日々感じ取ることに他ならないのだ。
繰り返しながら、繰り返さぬこと。
植物はそんな見事な矛盾を生きている。

なんか分かるなー。私も植物に手間と愛情を注いでいるとは言い難いが、でもその日々の啓示には、いつも小さな活力をもらい、淡い親近感を感じていると思う(つい擬人化してしまう程に!)。
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by macchi73 | 2012-11-19 00:19 | 書籍など | Comments(6)
2012年 11月 10日
夜毎に石の橋の下で
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秋晴れの休日。
庭に出てみると、案外花が多くて賑やかな感じだ。
夏の花殻がつきっぱなしだったのを切り戻し剪定したら、また秋の薔薇が咲き出してる。
ちょっと風邪っぴきで鼻水すすりながら日向ぼっこしてたら、体が暖まって元気になった。

午前中は子供の劇を観に行く。
お、この間染めた水色のシャツ、他の衣装小物と色合いが似合っててとっても良い!
劇の間ずっと、どの場面でも我が子にガッツリ焦点が合ってしまって、なんか可笑しく思う。
普段観る舞台とはまったく異なる鑑賞法だよな。ふふ。
他の親御さんたちも多分そうなんだろう。

夜には街に出て、久しぶりの友人たちと飲み会。
海外にいる人たちにはTV通信で繋げて、あたかも一緒のテーブルについているように会話したりして。
出会ってから20年になるんだねと言われて、我々もインターネットも、あの頃からずいぶん遠くに来たもんだなあと感慨深く。みんなそれぞれ元気で嬉しい。
これからも元気で会えるように、体に気をつけて(と考えるようになったところが20年の歳月だなあ……)頑張ろうと思う。

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どんどん花を咲かせるウィンターコスモス。

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野路菊も今週からポツポツ咲き出した。

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パイナップルセージは良い香り。

寒さに少し弱いらしいが、2010年に植えてからずっと露地で越冬して、年ごとに大株化している。


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庭で光ってる薔薇とセージを眺めていたら、ちょっと前に読んだ本を思い出した。
中世プラハ、バラとセージの呪(まじない)の物語。

『夜毎に石の橋の下で』(レオ・ペルッツ)

狂王と偉大なラビと麗しき人妻と黄金に愛された豪商の物語。
それから時々、食いしん坊とか不運な男とか天使とか犬とか。

冒頭の一遍『ユダヤ人街のペスト禍』、ラビ登場がやたら大げさで重々しくて微かに可笑しい感じがガルシア・マルケスっぽくて凄く好きだったので、一気に引き込まれた。

連作短編集っていう形式って面白いなあ!!と満足の一冊だ。
一遍ずつも幻想的だったりオチがあったりして面白いが、最後に全体が繋がった時も快感だ。一度読み終わってから、多分もう一回、最初の方を読み直してしまうタイプの本だと思う。

読んでる途中で、この王様って澁澤龍彦が書いてたあの人じゃん……って思い出したら、二重写しで何となく切ない気分になった。
後で知ったが、ラビも豪商も実在の人物らしい。
最初からそっちの知識もあれば、もしかしたらもっと面白く読めるのかもしれない(知識無しでも充分面白いけど)。


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by macchi73 | 2012-11-10 23:58 | 書籍など | Comments(0)
2012年 11月 04日
スパイダーウィックの謎
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すっごく天気の良い日曜日。家族と一緒にお祭りイベントに行く。

が、屋台や音楽に浮かれる上の子を尻目に、祭りの中心から外れた林の方へと引き寄せられる末っ子。「森の中のいい物を探す!」と、ずんずん進んで行く。

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そっちに進んだら、お祭りやってないと思うけど?

「良いの!いいもの集めてやりたいことあるから!」

えー。良いものなら、こっちの方が屋台とかいっぱいあるのに……。


そしてしばらくして、手に持ったビニール袋が木の実などの拾い物で良い感じに膨らんだ頃、「もう帰ろう!急いで帰ってお家でやることがある!」と宣言する娘。
せっかくのお祭りも余り堪能しないで、帰宅することとなった。

帰宅途中に「昨日の映画の博士みたいな本を作るから、皮の表紙のノートを買って行きたい」と言い出して了解。あーハイハイ、なるほど、アレをやりたいのか……。
書店でそれっぽいノートを購入して帰る。

帰宅してすぐ、今日拾ったものを卵パックに綺麗に並べる。
研究室の雰囲気を出してるらしい。
そしておもむろにノートを開き、スケッチと架空の事柄をとりまぜ、研究ノートを作成開始。
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ノートの端書きには以下のようにある。
【ピノコからのメッセージ】
この本は、
「スパイダーヴィックのなぞ」
の、えいがを
見てつくった本です。
たのしそうなのでつくりました。

【じゅうようなことば】
この本は、えいがと、
ちがって、よんでいいのでぜひ
よんでください。

そして、ページの所々には、お兄ちゃんに頼んで作ってもらった、魔法っぽい消しゴム判子がペタペタと……。

ふ。どの子もみんな、似たようなことしてた記憶が。
妖しい研究室の雰囲気って、憧れるもんなんだよなあ。

今度近いうちに、博物館とかでやっている驚異の部屋に連れて行ってあげようと思う。

* * * * * * * * * * * * *

昨夜観たのは、『スパイダーウィックの謎』という映画。

スパイダーウィックの謎 [DVD]

引っ越してきた古い洋館の屋根裏の研究室で、怪し気な古い本を見つけた3きょうだいたち。それはこの館の前の主人で今は行方不明となっているスパイダーウィック博士が80年前に記した妖精に関する研究書だった……という話。

ストーリーはどうということもない定番の冒険ものだが、研究室に並ぶガラス瓶や封蝋付きの書物等が醸し出す雰囲気が、子供的にはいたく気に入った模様。


原作の書籍はホリー・ブラックが書いたシリーズ物で、5巻くらいまで出てるようだ。
低学年でも読めるようなので、ちょっと揃えてみようかな。




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by macchi73 | 2012-11-04 23:56 | 書籍など | Comments(4)
2012年 11月 04日
エムブリヲ奇譚(山白 朝子)
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ウィンターコスモスの育て方:
●花期は秋〜初冬(10〜1月)。
●耐寒性、耐暑性ありで丈夫。地植えにすると増える。
●徒長しがちなので、夏に刈り込むと脇芽が出てしっかり育つ。
●施肥は元肥くらいで、あとは不要。肥料が多いと、葉が茂って花が少なくなる。
●種まき・植え付けは春が適期。植え替え・株分けも春に行う。
●種まき、株分け、挿し芽で増やせる。


庭の隅に、点々と黄色っぽい花が咲いている。
近寄って確認したら、蕾が沢山ついていて、これから冬に向かってどんどん咲き始めそう。
これなんだっけ?と調べたら、ウィンターコスモスのイエローキューピットという品種のようだ。
中心から外側に向かって、黄色〜クリーム色のグラデーションになっており、マットな質感の花びらが可愛い感じ。

うーん…そう言えば去年、グラスガーデン化を計画していたときに植えたような気もする……。
すっかり存在を忘れていたのに明らかに勝手に大株化して花数も増えていて、随分と丈夫な植物っぽい。
庭の緑も褪せてきたこの時期に花をつけてくれるなんて、庭の彩りとして重宝しそうだ。
(って言えるほど、彩りは無いが)
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放置して荒地化させてしまった庭にもちゃんと咲く花にホロリ。

今週から1ヶ月は少し早めに帰れそうなので、晩ごはんを家族と食べた後に、夜園芸をしよう。
まずは夏で終わった一年草を抜いて、夏越しで大株化した植物を少し綺麗に刈り込んでみよう。
それで地面をフカフカに綺麗に整えたら、改めて来年のための球根なんか仕込もう。
仕事も休みをとって、庭仕事したり健診の再検査(がーん!)に行ったり、ちょっとのんびりしよう。

庭も自分も、来月は溜まった疲れの回復に充てるぞー。
エネルギー補充するぞー。夜遊び残業控えるぞー。それで家庭での上の空も治すぞー。コタツ出すぞー。鍋するぞー。おー!

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今日は残業無しで早く帰って、子供たちと並んで色々とジャンクな読書。
お菓子とジュース買ってくれば良かったなー!

エムブリヲ奇譚(山白 朝子)

なんか和風の幻想文学みたいなのが読みたくなって、図書館で目立ってた表紙の本を立ち読みして借りた。最初の方、泉鏡花か何かっぽくて面白いかも……!ってぐんぐん読んで、一気に読み終わった。

途中から筆が乗ってくるとライトノベルテイストとB級ホラー臭がチラッと顔を出して、「あれ、これ乙一って作家じゃない?」と思ったら、本当にそうだった。
なんか別名義で書いていることもあるらしい。

いつも幻と現の間をふらふら迷子になる旅の二人の道中日記のようなストーリー。
ちょっと、しりあがり寿の『真夜中の弥次さん喜多さん』シリーズ(とても好き!)も思いだした。

乙一は、随分昔にジャケット買いして読んだ『暗い所で待ち合わせ』って本が好きだったんで、その後続けて5,6冊読んでみたんだよなー。サクサク読めるし。
他の本は余りにも若者向け過ぎて好きにはなれなかったんだけど、今回のエムブリヲ奇譚は面白かった。
幻想的だけどオチもあり、ノリ過ぎないで叙情を保てる余地も残されていて、夜の娯楽タイムにうってつけ。

個人的には、乙一は調子良くスラスラ書いてるなーって本よりは、筆を抑え気味の努力が感じられる本が面白いかなと思う(と、読者対象外と思われる年齢層の読者が主張してみる)。


『暗いところで待ち合わせ』


これを初めて読んで、乙一ってイイかもと思ったんだった。なんだか静かな感じでかなり好きだった。装丁も良いなと思った。


『夏と花火と私の死体』


デビュー作で評価高いようだったが、私のような中年にはつまらなかった。まあでも、ジャンプ小説受賞作なので、そもそも読者対象外なのに読んだ中年の方が全面的に悪いと言える。


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by macchi73 | 2012-11-04 22:30 | 面白かった本など | Comments(0)
2012年 10月 23日
ウド(独活)
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野趣あふれ過ぎの庭を久しぶりによく見たら、見たことがない立派な草が生えてきていた。
すらりと背の高い立ち姿で、先端に球形の白っぽい緑の花がついていて、一部、黒っぽい実になっている。
花の形がヤツデに似てるが、葉は掌状ではなく、すっきりシンプルな葉っぱ型だ。
ヤツデと同じウコギ科だろうと図鑑を調べたら、「ウド」だということが判明した。

ウドの大木って、これか!
どうみても木じゃなくて草じゃん!


2-3メートルの大きさに育つが、大きくなると食用にも木材にも適さないので「図体は大きいが役に立たないもの」の例えになったらしい。

ええー。木じゃなくて草なのに、木材にならないって言われてもなあ……仕方無いよなあ。
巨大な草ってのも恰好良いじゃん、と思ってそのままにしとく。
なんとなく、ウドに感じるシンパシー。
まあでも、邪魔になったら抜くとは思う。

そろそろ、ゆっくり庭造りもしたいなあ。
一応草刈りはしてるけど、余りにずっとメンテ作業だけになっちゃってると、愛着ある部分が無くなって、ただの庭になっちゃうからなー。
愛着を保つには、たまにはやっぱり、こうなったら良いなーってのを思い描きつつ創作的なこと試さないとだ。

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園芸書とは畑違いの小説を読みながら、あーそろそろ庭をやろうとか思う夜。

『夢の破片(かけら)』(モーラ・ジョス)

長期留守になる邸宅の住込み管理人として働く初老女性ジーンは天涯孤独の身の上だが、今年で定年だと宣告される。そして最後の仕事として派遣された館は、ジーンが理想の家として思い描くような場所だった。
そこにおかしな成り行きで、彼女を館の主人だと勘違いした弱々しい泥棒マイクルと、とても若い妊婦ステフがやって来て、出産を迎えてしまう。
これまでそれぞれ孤独だった3人の間に、生まれて初めてお互いを労りあう幸せな疑似家族の体験が生まれるが……という話。

小説の中で一番多く出てくる描写が、居心地の良い古い館と、可愛い赤ちゃん、英国コッツウォルズの美しい田園風景だった気がする。破滅の元となる事件も起こるんだけど、そっちの方面にはそんなにページを割かないで、みんなで庭の苺でジャム作ったりして。

特にジーンは契約期限のことは頭にありつつも、最後の最後まで真っ正面からそれを考えないでペンディングしてる状態が続いていて、でもその感覚には結構リアルに共感してしまう。どうしたら良いのか分からない、思考が麻痺した気持ち。なんだか分かる。残りのページ数が少なくなるにつれ、「終わりが近いのか…このまま幸せな状態は続けられないのか……」と、読み進むのが胸苦しくなってしまった。

原題は"HALF BROKEN THINGS" 。
3人とも人間性みたいなものはそんなに壊れてないのに、切羽詰まった時の決断の方向性が壊れてしまっている。でも決断を迫られた時に判断基準になるのってこれまでの人生での経験則だろうから、そう考えると分かるかもなーと。

秘密を抱えてずっと孤独で生きてきた老婦人が、最後に破滅的な選択するっていうストーリーは、『ロウフィールド館の惨劇』(ルース・レンデル)を思い起こさせた。秘密が先か孤独が先かは分からないが、それらは人を社会から隔離して芯から冷やすもんなんだな……というどんよりした読後感も共通してる。

ロウフィールド館の主人公はブチ切れるホラーなタイプだったけど、ジーンは静かにパニックに陥るサイコサスペンスなタイプだ。どっちも辛い結末だが、読み物としては完成度高くて面白いと思う。お勧め。

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by macchi73 | 2012-10-23 01:01 | 本の感想など | Comments(2)