カテゴリ:面白かった本など( 76 )

2013年 08月 10日
胃之頭町の夜散歩(栞と紙魚子)
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夏休みなので、子供たち(自分の子もそうでない子も)を家で見かけることが多い。
子どもが沢山ウロチョロしているなーと思うと夜には花火したり泊まって行ったりして、家の中が賑やかだ。ハンモックを一つ、キャンプ用の簡易ベッドを二つ出して、お泊り用に提供する。

お泊りの常だが、いつまでも寝ないで騒ぐ子供たちにうんざりする。
で、一緒に夜中の庭に出て虫の観察をしたりする。
夜はうるさくしてはダメだ。ほら、揚羽蝶も寝ている。羽化した蝉は翅を乾かしている。静かによく探して観察すること。えー見たい見たい……と、ひそひそ声になる子らや良し。

が、それも一時だけで、またベッドに戻るとやがてキャーキャー言い出すのであった。
ウルサイ!それ以上起きてると怖い話するよ!と怒ると、怖い話はイヤだ〜と隠れる。
良かった。ホントは手持ちの怖い話はもう無いので、話して〜とか言われたら困る。

そうして翌日。
ワタシ2時間しか寝てな〜い!ワタシは1時間!ワタシなんか30分だよ〜!とか、よく分からない自慢をエスカレートさせてるのを見て、子どもって馬鹿だなーと思う。
私が見た時はぐーぐー寝てたけどなあ。

朝ご飯にパンケーキを焼いたら、うわー嬉しい!という子たちと、こんなのイヤだ〜!という子たち。ムカ。
悲鳴と笑い声がするので見たら、カナヘビの尻尾を持ってぶら下げている。うわ。
疲れる。けど面白い。かも。
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怖い話でも仕入れるか〜と思って、諸星大二郎を開く。
ホラーコメディのはずだが、全く怖くないノホホンとした『栞と紙魚子シリーズ』。
むしろ読むと、何かが補給されていつも元気回復する。大好き。



うちの近所が舞台になってて、漫画の中によく知った景色や地図が出てくるので不思議な気分だ。
私も歩き回っているうちにこんな変な世界に迷い込んで、それで平気で戻って来たいなあ!

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by macchi73 | 2013-08-10 00:49 | 面白かった本など | Comments(0)
2013年 06月 23日
夏至の匂い、『ラブリーボーン』
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金曜日、娘に早朝から起こされた。
今日はゲシだよー!今日は4時から7時まで昼なんだよ!一年中で一番昼が長いんだよー!
だから、もう、お・き・よ・う!!

いや、全然意味が分からない。
ゲシでも何でも、今はまだ早朝で昼じゃないからお母さんは寝る!
さっき寝たばかりなんだから、うるさくしないで!

……と怒ってタオルケットをバフッと被ったら、窓の外から甘い空気が流れて来た。

その懐かしい甘い香りによって、家のぐるりの窓辺に百合の花が咲き始めたのを知る。
毎年のことだけど、百合の開花は見るより先に匂いで気づく。
そっかー、百合が咲いたか。もう夏なんだな、あ、そうか夏至かと納得する。
でも眠いので私は眠る。耳を塞いで布団に潜って、眠れるギリギリまで。子供なんか全無視で。

で、週末。
ちょっと悪かったなーと思って、日曜は娘のリクエストに応えて朝から都心の遊び場に行くことにした。
自分の大好きな場所に遊びに行くということで、やはり早朝から起き出す娘。
そして遊び場に向かう電車の中でウトウト、ランチの時にも目をしょぼしょぼ、帰宅の電車の中では熟睡。「今日は楽しいけど眠い日だったよー」と言う。

なんかねー昨日も楽しみで寝られなかったんだよねー、夜にベッドから空見てたら月が凄く大きくて黄色くてまんまるで綺麗だった、たぶん昨日は満月だったと思うよと話すので、へえホントかなと満月の日を検索したら、なんと今日はスーパームーンだというニュースがヒットした。
スーパームーンとは、地球が一番月に近い日と満月の日が重なる現象らしい。
だから昨日の月も大きかったのかも。良いもの見たなあ!

生憎今日は曇天で月は見られなかったけど。
娘によって、色々と天文イベントに気づく。そんな週末。

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たとえ仕事で疲れてようと体調不良明けだろうと、容赦なく要求を繰り出してくる子供たち。
深夜に本を読みながら(そんなことしてるから眠い)、たぶん子供から見た私は色々不完全な私個人じゃなくて、お母さんっていうシンボルなんだろうなーとか思ったりする。

ラブリーボーン [DVD](監督 ピーター・ジャクソン)

犯罪に巻き込まれて殺されてしまった子供が、あの世とこの世の狭間から自分のいなくなった世界を見つめて気を揉み、やがて解き放たれる物語。
死んでからの成長譚っていうと変だけど、ちょっとそんな感じ。

犯罪の方にはそんなに比重を置かず、家族やこの世への愛着の方がメインのストーリーなので、辛い話だけど最後はホッとする感じもあった。

狭間の世界のビジュアルが綺麗だなーと思ったら、監督がピータージャクソンだった。指輪物語とかホビットの冒険とか、そういうのにも通じる感じの風景。

スーザン・サランドン演ずる祖母が存在感たっぷりなのに、登場の必要性が全く分からないとこはちょっと混乱した。ん?祖母のシーン、全カットでも良くない?何故にコメディ要素?とか思って。

そして主人公の女の子(シアーシャ・ローナン)、めちゃくちゃ可愛い。そうそう、親には子供はこう見える、って感じ。


『ラブリー・ボーン』(アリス・シーボルト)

原作が図書館にあったので読んでみた。
事件後の家族の混乱や、登場人物みんなの事情がより重く書かれていて、読んでる途中は映画より重苦しい気分になった。

ずっとシンプルに安心感の元とだけ見ていた両親が、実は特に強くもなく自分のことで手一杯な人間で、子供には謎にしか感じられない個人的な部分も沢山あるっていうのが、なんか分かる。親になってみると。
その事実に直面する時の、子供のなんか傷つく気持ちも。

子供には、やっぱりただの個人としての親じゃなくて、何かのシンボルである親ってのは必要だよな……とか、ストーリーとは別のことも考えさせられたりして。
自分や夫は、子供にはどんな風に見えてるんだろう。あんま想像できない。ごくごく標準程度の安心感や何やかやを与えられてたら良いと思うけど、お互いちょっと変則だしなあ。どうかなあ。

あと、原作を読んだら祖母の存在意義が何となく分かった。主人公にとってのお母さんがいて、で、そのお母さんにもまたお母さんがいて。ちょっとずつ違う関係が綿々と続いて、それぞれ形や痛みは違っても、そうやって愛情の骨組みは広がって行くって感じかな。

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by macchi73 | 2013-06-23 23:58 | 面白かった本など | Comments(4)
2013年 06月 21日
安らぎの香り、『魔法の庭ものがたり』
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このところ毎日夜遅くてクタクタで、体調を崩す。
帰宅してぐったりしてると、お風呂の良い匂いをさせた子供が眠そうにおやすみを言いに隣に寄り添って来たりして、なんだか安らぐ。
こんなことで心安らぐようになってしまうとは。なんとなく複雑な気分だ。

子供が寝床に去る前に、その日のことをちょっとだけ話したりする。
末っ子はいまポプリが作りたいらしく、自分で庭のバラやラベンダーでドライフラワーを作ったりしていてマメマメしい。
で、「エッセンシャルオイルって何?うちにあるもの?」とか聞いてくる。

うーん、そんなお洒落なものは無いな、そもそもなんでポプリなんて作りたいのさ?と聞いたら、「こういうの作りたいの」と最近熱心に読んでいる本を開いて見せてくれた。
『魔法の庭ものがたり』というシリーズもので、ポプリやらハーブティーやらのレシピが色々載っているようだ。


『ハーブ魔女のふしぎなレシピ―魔法の庭ものがたり〈1〉』(あんびるやすこ)


どうも友達の間で流行っているらしく、最近、何冊か連続で借りてきては読んでいる。娘は登場人物のやることの真似をしたくて仕方ない模様。

子供たちがこんなに熱中して何冊も読むんだからきっと読むと面白いんだろうなーとか思いつつ、イラストが少女チックで、私は未だ食指が動かず……。



娘に手渡されて「ふーん」とぱらぱらページをめくってみたら、お母さんも読んでみて、面白いから!とシリーズで何冊か勧められた。
うん分かった、ピノコが寝てから読むよ、と言いつつ、全然読めないまま数日が経ってしまった。
そんなこんなで気づいたら、本は返却されてしまって家には無い。

でも娘のたいへん熱心な様子が面白かったので、そんじゃあ仕方ないなと、お土産にローズエッセンシャルオイルを買って来た。
「はいどうぞ」と渡したら、それで手作りポプリが完成したらしく、満足気な娘。
ヌハ〜!ポプリって良い匂いだね〜!安らぐ〜!とか、何度もお皿の蓋をあけてはうっとりしている。

うーん、それ、単にエッセンシャルオイルの匂いじゃないの?
お母さんはピノコの石けんの香りの方が安らぐよ……とか思って可笑しく見ていたら、本、面白かったでしょ!?とキラキラした目をむけられて、つい、「うん、良い本だね」とか答えてしまった。

どうしよう。まだ読んでない。
娘も気に入ってる本だし、この週末に大人買いする、か?
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by macchi73 | 2013-06-21 23:59 | 面白かった本など | Comments(2)
2013年 06月 20日
カナヘビの脱皮
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カナヘビのカナちゃんを太らせるために、窓辺の棲家に虫をどんどん放り込んだら、夜ごとにコオロギの綺麗な鳴き声が部屋に響くようになってしなった。風流なり。
「そのうちコオロギとか鈴虫の飼育がメインになったりして」と笑う夫。

で、なんだか肌がガサガサだなー、弱ってるんだったら困るなーって思って見てたある日、スルッと表皮を脱ぎ捨てた。出てきた肌は、なんと、きめ細かくなってる。

そんなにジロジロ見ないでくださんし、とでも言いた気に物憂い流し目で振り向く姿は見返り美人って感じだ。色っぽいかも!

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でも私だけじゃなく、リビングの窓辺の水槽、気がつけばみんなが覗き込んでいる。
カナヘビって、思っていたより表情豊かで見ていて飽きないんだ。

脱皮前には、割れた鉢のアーチの上で、日向ぼっこしてはウトウトしたりしてた。
目をつぶった時の顔、かわいい。
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かと思えば、餌の虫を入れると、挑発的な表情でグングンこっちに寄って来たりもする。
そして獲物をパクッパクッと飲み込んで行く。ワイルド。
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脱皮して脱ぎ捨てた皮には、小さい指先まで綺麗に形が残っている。ミニチュアみたいで面白い。
蛇の抜け殻って幸運を招くっていうけど、カナヘビの抜け殻はどうなんだろう。

ちょっと記念にとっておく。カナコの初脱皮。
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カナコのピカピカした目、しなやかな身のこなし、容赦なく獲物に襲いかかる姿は、ネコ科の猛獣を思わせる。一緒にボートで世界の涯まで旅したいかも。したくないかも。

『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』

物語にはオチもあってストーリーへの満足感もあるんだけど、それより何より風景が綺麗!!

大海原の漂流と比べるのはスケール的におこがましいけど、似た風景を知ってるって場面が幾つかあって、お腹の底がシーンとするようなソワソワするような懐かしい気分になった。多分、一人ぼっちで怖くてテンパりながら自然の中に放り出されたことがある人なら誰でもそんな既視感覚えるんじゃないかなって思う。凄い怖いと凄い綺麗って似てる時がある。凄い混乱と凄い静かも似てる時がある。

そういう感覚、子供たちにも体験してみて欲しいと思いつつ、でも心配。結果、映像とか本だけ与えて、自分の子供は身近に置いて育ててる。怖いくらいのものを見て欲しい、でも怖い目にあって欲しくない。

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→映画が面白かったので原作も読んでみたら、ちょっと違った感じに面白かった。

映画は子供時代のパイの印象が強かったけど、本は大人のパイの印象が強く、もっととぼけた感触が残った。オチも映画よりはっきり示されてたかな。


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by macchi73 | 2013-06-20 22:48 | 面白かった本など | Comments(3)
2013年 04月 06日
ルビー蝋虫、『ママは決心したよ!』
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夫と庭でぶらぶらしていたら、あらあ!久しぶり!と声をあげる人あり。我が園芸仲間のご近所さんだ。
早速パワフルに門を開けてやって来て、なになに、何か植えてるの?この花綺麗じゃない!なんて、賑やかに庭の巡回が始まった。
そのうち、「あれえ!これは切らなきゃダメだよう!」と指された方向を見たら、庭の月桂樹の枝にカイガラムシが大発生していた。あらまあ。

脚立に上がってよく見ると、ルビーのような赤い蝋状物質に身を固めた、ルビーロウカイガラムシだ。
カイガラムシの駆除ってヘラなんかで一々こそげ取るしか無いんだけど、月桂樹は5mくらいもあるのでちょっと難しいかな……。

ご近所さんは、切っちゃいな!全部切っちゃいな!すぐに伸びるんだから!今大きいノコギリ持って来てあげるから!と強く推奨している。対する夫は、「いやあ、切るのはちょっと……」と弱々しい抵抗を試みているが、親世代には逆らえないタイプ。私はわざと少し離れた場所で庭仕事をしている。
結局最後は、ノコギリを手にしてすごく不本意そうに剪定を行うこととなった夫。うはは。

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この月桂樹は、小さな切株から伸びて来てここまで育ったもの。

実は私も前々から枝を間引いて小さくしようと主張していたんだけど、夫の強い反対で切らずにいたのだった。

夫は剪定という行為を何故かとても嫌っており、私が庭仕事してても「えー切るの?なんで?」と隣でイヤーな声を上げることが多い。どうも剪定は植物が可哀相という気持ちがあるらしい。


剪定後の庭はスッキリ明るく、風通しが良くなった感じ。
うちの庭の広さには、やっぱりこれくらいが丁度良いよ。月桂樹は伸びるの早いしね。もう一本、金木犀の大木もあるしね。

しかし無慈悲な(?)剪定という行為に我が手を染めてしまった夫は、見るからにどんよりとしている。目を伏せて、おばさんの顔を見ない。そうして、「そう暗くならないで元気出しな!木はすぐに伸びる!伸びなかったらウチの一本あげる!」と豪快に笑われて、「はあ…」と答える声がとてもか細い。

すごい笑った。声小さ過ぎ。弱り過ぎ。

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おばさんはいつも気ままに豪快に歩き回っては公園やら色んな場所で土をいじり、色んな人に元気に声をかけている。

以下、我が道を行くご年配の婦人つながりで。
(ただし近所のおばさんは変人ではない。念のため)

『ママは決心したよ!』(ベイリー ホワイト)

変てこでマイペースな老ママと、主人公である次女と、それを取り巻く人々の物語。

どうしても現実だと、普通の枠をはみ出してしまう家族には複雑な感情を持ちがちだけど。こんな風に誰もが誰もをそのまま受け入れられたら、私の知らない優しい世界が開けるかもって思う。アメリカの家族ものって、なんかこういう雰囲気があることが多い。それぞれユニークで、笑えて、でも何故かちょっと切なくなる感じ。多分色んな人が混ざって暮らしてるから、変人や、分かり合えないってことに対してベテランなのかも。

すごく短いエピソード短編がいっぱい集まって一冊になってる形式なので、時間があるときにサッと読めて、何となく元気回復する。

「ガーデニング」というタイトルのエピソードも一遍、入っていた。庭にハマって行く経過が、共感できすぎて、笑った。私も同んなじ。


けれどロマンチックな人間につける薬はない。わたしは計画を立てた。半エーカーほどの地面を用意して、野生の花の種を何列もまこう。…(中略)…植えた草花が咲き広がって、やがて列のあいだの隙間も埋めてくれる。そうしたら、白いドレスを取り出して、のんびりと散歩を楽しめる。

…(中略)…

最初の年の夏、一年生の花が開いた。…(中略)…膝が痛んだけれど、地面の近くでは湿った土と踏みつけられたヨモギの香りが心地よかった。わたしもいつの間にか、ガーデニングをやる人や園芸家に特有の猫背とやぶにらみになっていた。

…(中略)…

五年目の夏、医者に行って膝を診てもらわなければならなくなった。「もう、しゃがむのはやめにしないと」と言われた。
「そうはいきません」と私は言った。「花畑の手入れがありますから」。先生はため息をつくと、伸縮自在のサポーターを一組くれた。

…(中略)…

三月になり、花畑へ出た。リナリアが真っ先に花をつけた。…(中略)…夏の盛りにはノラニンジンの花が咲く。その様子がはっきりと目に浮かぶ。どの花の名前も知っている。葉らしい葉をつける前から、何の花か見分けがつく。

…(中略)…

白いドレスは姉のルイーズにあげた。姉はときどきやってきて、わたしの花畑を散歩する。感心したり驚いたりして、しきりに声をあげる。

…(中略)…

花畑ではノラニンジンの金線細工のような花がサバチアの上で揺れ、ニワナズナは色鮮やかなデイジーの茂みのまわりにぴったり寄り添うようにして咲いている。けれど、ほとんどわたしの目には入らない。新しい花畑のことでもう頭がいっぱいなのだ。

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by macchi73 | 2013-04-06 23:29 | 面白かった本など | Comments(2)
2013年 03月 08日
一月はいぬ、二月は逃げる、三月は去る
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末っ子の学校行事のため、午後休をとった。
で、まだ明るい夕方、一緒に徒歩でてくてく帰宅。花屋に寄り道。
風は暖かくて道は埃っぽく、子どもの手は湿っていて、あちこちに梅と沈丁花の香りが漂っている。
いつの間にか、すっかり春だ。

途中、嬉しそうに立ち話している可愛い制服カップルを見かけた。と思ったら、片割れが息子だった。
ルートを大きく反対側にとって、邪魔しないように通り過ぎる。ふ。

帰宅後は、久しぶりに庭で過ごしてみる。空気がぬるい。
私が熊手で枯葉・枯れ枝などの冬の残滓をザクザク片付けた後に休憩してたら、末っ子は庭隅の自分専用スペースの整備を始めた。割れた鉢からこぼれ出た土をセダムで法面緑化し、フィギュアをレイアウトしている。
無意識なのか、ずっと出鱈目な鼻歌を歌っている。
面白く思ってじーっと見てたら、こっちを振り返って、「ここに小さいカブの種まきしたら小人の良い畑でしょ〜」と言う。
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すぐに薄暗くなってきた。
家に入ろうとして、冬の間に購入して庭隅に山積みにしてある堆肥に目がとまる。
あー!娘の観察をしている場合ではなかった。「冬の土作りしてないうちに寒い時期が終わっちゃったじゃん……」って気付いて、頭を抱えてしまう。

寒肥の時期は過ぎたが、これから果樹とバラに施肥しても大丈夫だろうか……。
変な時期に施肥すると、結実しなかったりするんだよなー。

でも山盛りの堆肥、次の冬まで取っておけないし。
仕方無いから、今週末にでもやるしかないなー。庭仕事開始。

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暖かくなったし、早寝早起きに生活を切り替えよう!と決心したその日。
早めに入ったベッドの中で手に取った本が面白すぎて、結局いつもに増して夜更かしして読み切ってしまった。
で、翌朝は春眠にどっぷり。 全然ダメだー。



『わたしは英国王に給仕した』(ボフミル・フラバル)


英国王に給仕した給仕長に教えを受け、エチオピア皇帝に給仕したチェコの給仕人ヤンの物語。

チビで才覚があるヤンはお金が大好き。それと女の子の裸のお腹を花で飾るのも好き。
小さい頃は、おばあさんと黒い夜の中、公衆浴場のトイレの窓からヒラヒラ飛んでくる白い衣類を捕らえて洗って売っていた。

そんなヤンが、給仕になり、英国王に給仕した給仕長に教えを受け、自らもエチオピア皇帝に給仕してピカピカの青い勲章をもらい、一流ホテルを渡り歩いて経験を積み、白い靴下をはいた敵方ナチスの女の子と結婚し、ユダヤ人から奪ったレア切手を売ってお金持ちになり、ついには夢だったホテルオーナーになって、でも元からリッチなホテルオーナーたちからはアウトサイダーとして扱われ、 落ちぶれ、年老い、世界の果てのようなところに辿り着く。

最初は変てこで楽しい物語だったのが、途中で重苦しくなってきて、こりゃ泣きたいような気分だなって思ってたら、何故か、最後の最後でブハーっと吹き出しちゃった。
面白くて笑うってのとは、ちょっと違うかもだけど。何だこれ。

仲間の一員として認められたいのに、どこに行っても余所者扱いされるポジションにおさまってしまうヤンは、なんかちょっと変で、哀しいような可笑しいような。

「これからする話を聞いてほしいんだ」で始まり、「今日はこのあたりでおしまいだよ」で終わる各章は、映像が目の前に浮かんでくるようなエピソードと登場人物のオンパレードで、まるで映画を観てるみたいだった。
すっごく面白かった!

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by macchi73 | 2013-03-08 07:30 | 面白かった本など | Comments(2)
2013年 01月 01日
子どもと冬のフィールドワーク(福音館書店『写真記シリーズ』)
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12月はバケーション前の残業ラッシュがあった上、巷のキラキラに浮かれて夜の街でのレジャーに励みまくってしまい、自然からはまったく遠い生活だった。浪費 & 暴飲暴食 & 不眠不休 & 健診不合格。反省。

でも年末年始に自然以外何もない夫実家でしばらく過ごしてリボーン。
レジャーも無いので図鑑を片手に野山を歩き回っていたら、これが凄く楽しかった!「久しぶりのこの開放感!やっぱり自然観察って面白いよなあ!」と再発見、ルネッサンスした気分だ。

ということで、今年もまた自然にも親しむぞー!と決意を新たにする所存です。
あけましておめでとうございます。

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「図鑑によればこの辺りにありそうだよ」と薮や水辺を探して、本当にソレを見つけた時の快感!楽しい!
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雑木林や薮の中では、様々な形態の昆虫の越冬が見られた。
何だか分からなかったもの、ちょっと珍しそうなものについては、後でもっとよく調べてからブログにもアップしてみよう。
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植物の種も沢山見つけた。
風に乗って飛ぶもの、服にくっついて運ばれるもの、鳥に食べてもらうのが狙いと思われるもの、色んな形態があって、上手くできてるもんだよなあと感心しきり。

e0134713_1845373.jpg色んな果実を拾い集めていたら、なぜか森の枯葉の中に寛永通宝まで見つけた。

これって、今年はツキがあるってことかもね。吉兆、吉兆。


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ちなみに、田舎に持参した図鑑は、福音館書店「写真記シリーズ」。
同シリーズの『野鳥記』が凄く面白かったので、新たに『昆虫記』『植物記』も購入してしまった。

これらの図鑑の良いところは、珍しい種を網羅するのではなく、普通種の季節毎の姿を見られるところ。
「いつ頃、どんな場面でどんな自然発見ができるか」という視点で作られているので、フィールドワークに持って行くと、必ず何かは発見できる仕組み。楽しい!




カワウを発見して、『野鳥記』の記事通りに水っぽいフンをジャーっと放出する場面を目の当たりにした時には「うわー!本当だ〜!」と笑っちゃった。
また『植物記』『昆虫記』の記事通り、川辺ではガマノホを見つけて遊べたし、小屋の軒下にはジャコウアゲハの蛹を発見できた。

特に子どもとのフィールドワークにうってつけのシリーズだと思う。

e0134713_1851710.png「この辺りによくいるみたい……あ、ホントにいた!写真とおんなじ!」というステップが、子どもに発見の喜び、知識の面白さを与えてくれる気がする。

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by macchi73 | 2013-01-01 23:57 | 面白かった本など | Comments(2)
2012年 11月 19日
園芸愛好家たち
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リビングの出窓の外で、バレリーナが咲き始めた。
「外はいま秋の花の時期だよー。ねえねえ出て来て見ないのー?」と問いかけるように、チラチラとピンクの花を揺らしている。

週末も出勤などしてバタバタしている最近だが、せっかくの秋を庭仕事無しに無駄に過ごしてしまうのか……と庭心がちょっと刺激されて焦る。

そんな夜、帰宅したら園芸仲間のAmeliaさんから荷物が届いていた。
美味しいケーキと園芸本、その他良いもの色々だった。

e0134713_23273177.jpg早速、翌朝にみんなでケーキをいただいた。

紅玉のみりん煮が入っていて、爽やかな甘酸っぱさ、リンゴの良い匂いで美味しい。

取り分けて食べ始めてから、あ、最初の綺麗な写真をとっておけば良かったなと思う。


もう絶版だからと郵送までして貸してくれたのは、『ベランダの庭 12ヶ月』という本。
ベランダマンと自称する著者の、ベランダガーデニング奮闘記&TIPS披露の内容だった。
「園芸にハマる者はみんな同じようなことで一喜一憂してるのか……」とふんふん頷きながら、フフと笑いながら、もぐもぐ食べながら、一気に読んでしまった。

前に読んですっごい笑ったカレル・チャペックの『園芸家 12ヶ月』の日本版といった趣き。
または、いとうせいこうの『ボタニカル・ライフ』の方にもっと近いか。
庶民度は、小野口>いとう>チャペックだな。
日本の二人は、狭いスペースや忙しくて放置気味になる世話に頭を悩ませながら、そして数々の失敗をしながら、それでも植物に心奪われて仕方がない模様。

春に次ぐ園芸適期である秋晴れの空の下、自分と同様に、きっとあちこちに気を揉む園芸家たちがいるんだと思うと、なんだか笑える。

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同志よ!と言いたくなる園芸記録。

『ベランダの庭 12ヶ月』(小野口広子)

チャペック、せいこうが園芸家の悲喜交々をエッセイ風に描いているとすると、小野口はHOW TO本風に紹介している。

こんな庭道具買ったのよー、こんな害虫対策してみたのよーってなご近所さんとの会話のようで、なんとも身近で役立つ内容だった。


『ボタニカル・ライフ』(いとうせいこう)

風邪で寝込んでいる娘に添寝して読み返していたら、「あれ、それってセイコウ?」と言う。

小学1年生が何故そんなことを……!?と思ったら、いまお気に入りのBIT WORLDという子供番組に、いとうせいこうが出ているのであった。



以下、ボタニカル・ライフの中から、あちこちを適当に抜粋。
それぞれ別の植物についての言及個所の引用だが、全体の流れとしてこんな感じの雰囲気。

彼らの園芸姿勢は、枯らしては後悔し、かと言って増え過ぎても持て余し、基本的にいい加減で、深い愛情よりは好奇心に基づいており褒められたもんではないが、「そうそう、そうなんだよなー」とかなり共感する。私もブログには載せない後ろめたい園芸処置が幾つあることか……。

そして三年目。俺は自分をだましてわざと水やりを控えた。捨てられないのなら死ぬのを待とうという恐ろしい計略である。オレはベランダ上の家康そのものであった。優柔不断な植物好きなら、このオレの所業を責めることが出来ないだろう。誰でも一度はそういう悪魔的なことをしたことがあるはずである。

……(何十ページも中略)……

いわば、やつは王をいさめたのである。領民の嘆きを無視し、はびこった悪をいい加減に潰してみせるばかりで外に新たな移民を求めていた俺に、やつはこう言っているに等しかった。
「王よ、我が花を見て何を思うのだ。このように我らには力があり、それを引き出すべきは貴方であるというのに、王よ。一体貴方は今まで何をなさっていたというのか」
おっしゃる通りであった。というか、おっしゃっているのは俺なのだが、要するに反省しきりだった。

……(何十ページも中略)……

クーロンコエが増える速度以上に俺は頭脳を駆使し、アイデアを生み出し続けてみせる。それがボタニカル・ライフのもう一つの魅力であったことを俺は再確認したのである。

……(何十ページも中略)……

鉢を次々に買い足しながらも、俺はその植物独自の強さを見たいのだなと感じる。
化ける力。
毎日が昨日と違うこと。
自分を繰り返さぬこと。
だが、一年を経てまたその差異を保ち、繰り返すこと。
俺は植物から啓示を受けたような気分になる。そして、その気分がいまや日常的であることに少し驚く。都会で植物と暮らすことは、つまりその啓示を日々感じ取ることに他ならないのだ。
繰り返しながら、繰り返さぬこと。
植物はそんな見事な矛盾を生きている。

なんか分かるなー。私も植物に手間と愛情を注いでいるとは言い難いが、でもその日々の啓示には、いつも小さな活力をもらい、淡い親近感を感じていると思う(つい擬人化してしまう程に!)。
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by macchi73 | 2012-11-19 00:19 | 面白かった本など | Comments(6)
2012年 11月 10日
夜毎に石の橋の下で
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秋晴れの休日。
庭に出てみると、案外花が多くて賑やかな感じだ。
夏の花殻がつきっぱなしだったのを切り戻し剪定したら、また秋の薔薇が咲き出してる。
ちょっと風邪っぴきで鼻水すすりながら日向ぼっこしてたら、体が暖まって元気になった。

午前中は子供の劇を観に行く。
お、この間染めた水色のシャツ、他の衣装小物と色合いが似合っててとっても良い!
劇の間ずっと、どの場面でも我が子にガッツリ焦点が合ってしまって、なんか可笑しく思う。
普段観る舞台とはまったく異なる鑑賞法だよな。ふふ。
他の親御さんたちも多分そうなんだろう。

夜には街に出て、久しぶりの友人たちと飲み会。
海外にいる人たちにはTV通信で繋げて、あたかも一緒のテーブルについているように会話したりして。
出会ってから20年になるんだねと言われて、我々もインターネットも、あの頃からずいぶん遠くに来たもんだなあと感慨深く。みんなそれぞれ元気で嬉しい。
これからも元気で会えるように、体に気をつけて(と考えるようになったところが20年の歳月だなあ……)頑張ろうと思う。

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どんどん花を咲かせるウィンターコスモス。

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野路菊も今週からポツポツ咲き出した。

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パイナップルセージは良い香り。

寒さに少し弱いらしいが、2010年に植えてからずっと露地で越冬して、年ごとに大株化している。


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* * * * * * * * * * * * * * * *

庭で光ってる薔薇とセージを眺めていたら、ちょっと前に読んだ本を思い出した。
中世プラハ、バラとセージの呪(まじない)の物語。

『夜毎に石の橋の下で』(レオ・ペルッツ)

狂王と偉大なラビと麗しき人妻と黄金に愛された豪商の物語。
それから時々、食いしん坊とか不運な男とか天使とか犬とか。

冒頭の一遍『ユダヤ人街のペスト禍』、ラビ登場がやたら大げさで重々しくて微かに可笑しい感じがガルシア・マルケスっぽくて凄く好きだったので、一気に引き込まれた。

連作短編集っていう形式って面白いなあ!!と満足の一冊だ。
一遍ずつも幻想的だったりオチがあったりして面白いが、最後に全体が繋がった時も快感だ。一度読み終わってから、多分もう一回、最初の方を読み直してしまうタイプの本だと思う。

読んでる途中で、この王様って澁澤龍彦が書いてたあの人じゃん……って思い出したら、二重写しで何となく切ない気分になった。
後で知ったが、ラビも豪商も実在の人物らしい。
最初からそっちの知識もあれば、もしかしたらもっと面白く読めるのかもしれない(知識無しでも充分面白いけど)。


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by macchi73 | 2012-11-10 23:58 | 面白かった本など | Comments(0)
2012年 11月 04日
スパイダーウィックの謎
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すっごく天気の良い日曜日。家族と一緒にお祭りイベントに行く。

が、屋台や音楽に浮かれる上の子を尻目に、祭りの中心から外れた林の方へと引き寄せられる末っ子。「森の中のいい物を探す!」と、ずんずん進んで行く。

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そっちに進んだら、お祭りやってないと思うけど?

「良いの!いいもの集めてやりたいことあるから!」

えー。良いものなら、こっちの方が屋台とかいっぱいあるのに……。


そしてしばらくして、手に持ったビニール袋が木の実などの拾い物で良い感じに膨らんだ頃、「もう帰ろう!急いで帰ってお家でやることがある!」と宣言する娘。
せっかくのお祭りも余り堪能しないで、帰宅することとなった。

帰宅途中に「昨日の映画の博士みたいな本を作るから、皮の表紙のノートを買って行きたい」と言い出して了解。あーハイハイ、なるほど、アレをやりたいのか……。
書店でそれっぽいノートを購入して帰る。

帰宅してすぐ、今日拾ったものを卵パックに綺麗に並べる。
研究室の雰囲気を出してるらしい。
そしておもむろにノートを開き、スケッチと架空の事柄をとりまぜ、研究ノートを作成開始。
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ノートの端書きには以下のようにある。
【ピノコからのメッセージ】
この本は、
「スパイダーヴィックのなぞ」
の、えいがを
見てつくった本です。
たのしそうなのでつくりました。

【じゅうようなことば】
この本は、えいがと、
ちがって、よんでいいのでぜひ
よんでください。

そして、ページの所々には、お兄ちゃんに頼んで作ってもらった、魔法っぽい消しゴム判子がペタペタと……。

ふ。どの子もみんな、似たようなことしてた記憶が。
妖しい研究室の雰囲気って、憧れるもんなんだよなあ。

今度近いうちに、博物館とかでやっている驚異の部屋に連れて行ってあげようと思う。

* * * * * * * * * * * * *

昨夜観たのは、『スパイダーウィックの謎』という映画。

スパイダーウィックの謎 [DVD]

引っ越してきた古い洋館の屋根裏の研究室で、怪し気な古い本を見つけた3きょうだいたち。それはこの館の前の主人で今は行方不明となっているスパイダーウィック博士が80年前に記した妖精に関する研究書だった……という話。

ストーリーはどうということもない定番の冒険ものだが、研究室に並ぶガラス瓶や封蝋付きの書物等が醸し出す雰囲気が、子供的にはいたく気に入った模様。


原作の書籍はホリー・ブラックが書いたシリーズ物で、5巻くらいまで出てるようだ。
低学年でも読めるようなので、ちょっと揃えてみようかな。




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by macchi73 | 2012-11-04 23:56 | 面白かった本など | Comments(4)