カテゴリ:面白かった本など( 79 )

2014年 12月 02日
あらゆるものが変化する
e0134713_0371792.jpg

日付が変わる頃まで仕事して土日もNO休日で2週目、しかもトラブルの報告続きで焦る。常に気重。
そんな状況なのに新設部門立ち上げ兼任になったとのお知らせを受けた時、あー来年も……と一瞬鼻の奥がツンとして焦った。ニヤッとしてごまかすが、職場で泣きたくなるとは、すごい心が弱ってる人ではないか。やばい。

私が職場で気に入っているのは環境。
散策に来る外来者も多い、ちょっと珍しいくらい綺麗なとこだと思うんだ。今の時期だと紅葉が綺麗だ。

学校が休みの日、紅葉見物をかねて末っ子が初めて一人で職場に遊びにやってきた。
公共交通機関に一人で乗るのは初めてだから緊張したよーという。
いつもお世話になってるセキュリティの方とかに、お子さんですか!と話しかけられて、紹介しつつも何か気恥ずかしい。

広場で遊び飽きたら書店やカフェとかで過ごしてて良いよと伝えてゲストカードを渡し、その日は超特急で仕事を終わらせる。来客があって約束の時間より少し遅くなってしまい、慌てて構内のめぼしい場所を走って探したら、夜の広場に橙色の灯が見えて、ガラス張りのラウンジで娘がお菓子を食べながら電子書籍に熱中しているのが見えた。ちょこんと座ったその姿に笑いがこみ上げて来て、しばらく外から眺めてる。

そう言えば、上の子たちも小学生の頃はたまに職場にやってきて一緒に食事したりしたもんだった。そもそもは双子たちが小学に上がる時、夏休み保育のことなども考えて、バカンスのあるとこに転職したんだよな……。

仕事や生活で改善したいところは山積みだけど、その時その時の解決策で色々と変えて来て、けっこう要望が叶っているところも多いのだから、まだまだ頑張ろうと思ったり。もう少ししたらまた家族の形態なども大きく変わって、そしたらまた次の新しい形があるんだろう。

新設部門も、他メンバーはやる気と理想に満ちた若々しい顔ぶれなんだから、ヨレヨレの私は後方実務に徹してサポートしようと決める。くたびれモードで汚染せずに楽しい仕事にしないとなー。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

トンプソン博士曰く、あらゆるものが変化するーーとくにガーデニングでは。

『自然から学ぶトンプソン博士の英国流ガーデニング』(ケン・トンプソン)

ガーデニングに関する話というよりは、ガーデンで起こっている自然の作用の話。いつも見ている現象の仕組みが説明されていて、「あーなるほど」って腑に落ちる。

● トンプソン博士の教えによると、紅葉ではカロチノイドとアントシアニンが重要な働きをしている。

カロチノイドはあらゆる葉に存在し、秋になって葉緑素の緑が消えると姿を現してくる美しい黄色の素。
アントシアニンは紅〜紫の紅系バリエーションの素で、葉内に糖濃度の高まる秋にだけ大量に生産される。褐色の葉にはタンニンが多い。

今の時期、そういうことを思って葉っぱの変化を見るとなんだか面白い。

そして、何気に私の長年の混乱に答えてくれた一節は次の通り。『軽井沢誘拐案内』の頃から、リトマス紙と反対だなーと、ずっと心にひっかかっていたんだよ〜!
疑い深い性格の人は、そろそろアジサイのことが気になり初めていることでしょう。誰でも知っているように、アジサイの花は土壌のpHに応じて色が変わります。ただしアジサイの花は酸性土壌では青、アルカリ土壌ではピンクになり、先に説明したpHに対する反応とは正反対です。これは、ここで働いているアントシアニンが基本的にはピンク色なのですが、アルミニウムと結合すると青い色素を形成するためです。したがって青い紫陽花にするにはアルミニウムが必要ですが、アルミニウム化合物は酸性土壌でのみ可溶性になります。

● 博士によれば、施肥なんてものは畑以外では必要ない。

よし、博士!来年は全く施肥しないぜ!!と決心した。(←楽なことを決めるのだけ早い)
ちなみに博士は、天然の緑肥としてコンフリーを推しているが、途中までコーンフラワー(矢車菊)と勘違いして「おおっ!うちの庭にもいっぱい生えてんじゃん!」とか思って読んでいた……。
植物が人工肥料なしで何百万年もの間生き延びてきたことを考えると、普通の庭に実際どれくらいの量の肥料が必要なのかという疑問はとても興味深いものです。一言で答えるなら、庭に肥料はまったく必要ないということになるでしょう。
(中略。チッソやリンの話など)
必要ならば、肥料の使用を控えたほうがよい理由をもう1つ挙げましょう。成長が非常に速いとあなたがすでに感じている植物は、今後さらに成長が速まってしまうでしょう。一方、あなたがもう少し速く成長して欲しいと思っている植物には、肥料はほとんど効かないでしょう。

● 博士によれば、芝生だって簡単。

定期的に刈り込むってところを除けば、うちの芝生の方式もまったく一緒。ふふん。
芝の種子を売る業者をはじめ、あまり認める人は少ないでしょうが、管理さえきちんとしていればどんなものでも芝生と呼んで構いません。
(中略)
理由は簡単。たび重なる刈り込みに耐えながら元気に育つことのできる植物はとても少なく、そのほとんどがどこにでもあるイネ科植物だからです。


[PR]

by macchi73 | 2014-12-02 23:55 | 面白かった本など | Comments(3)
2014年 09月 12日
誕生日の子どもたち
e0134713_2245567.jpg

夏も終わって、なんだか少し寂しい。

夏の終わりの常で、庭が薮だ。
というか、この状態が毎年恒例であることを思えば、うちに関しては、寧ろもう「薮が庭だ」と言う方が正しいのかもしれない。

薮には当然、獣が住んでいる。こんにちは。

e0134713_2245741.jpg

そして私の子供たちはみんな一つずつ年をとる。おめでとう。

e0134713_225154.jpg

* * * * * * * * * * * * * * * * * * *

誕生日つながりで。
バディという少年が主人公の短編群は、『草の竪琴』の原型といった感じで、懐かしさと喪失感にむせる思い。

『誕生日の子どもたち』(カポーティ)

いつもは好きじゃない村上春樹の翻訳を、初めて良いかもと思った。
今まで読んだカポーティの中で一番良かった。
この翻訳の中では、誰も「好むと好まざるとに関わらず」とか、あんまり言わない(ちょっとは言ってた)。スッキリ読めた。

六つの短編全てに漂う強い郷愁は、過去に引きずられるカポーティの属性なんだなーって思った。

郷愁って何かと言えば、無くなっていくことを惜しむことかと思う。
無くなるっていうのが何かと言えば、誰も知らなくなることかと思う。
おばあさんが死んで、おじいさんが死んで、おとうさんもおかあさんも死んで、友達も自分もいつかは死んで、この世には、もう誰も知らなくなった、でも確かにあった出来事や場所ってのが、綿々と存在しては消えて行く。この世には、その人しか知らなくて、その人と一緒に消えて行く秘密がいっぱいだと思う。

誕生日のキャンドルに照らされた子どもたちの産毛の光る丸いほっぺとか、私にとってはとても強烈で、多分ずっと忘れないだろうと思うけど(上の子たちの小さい時もたまに鮮やかに思い出す)、それもいつかは誰も知らなくなるんだなあ。ピノコお婆さんの子供時代とか想像できないよーとか、私の知らない未来の若者に言われたりもするんだなあ。

そういう世界の有り様を思った時、肯定して笑える人と、胸痛む人とがいると思う。カポーティは後者。私もなんだかちょい、後者っぽい。


[PR]

by macchi73 | 2014-09-12 23:55 | 面白かった本など | Comments(7)
2014年 07月 20日
構造色
e0134713_20245412.jpg

出張でこっちに来た麻雀友達に会った時にタマムシの話をしたら、翌日、いいものあるよと同僚が書いたという構造色シミュレーションの論文を送ってくれた。
なんと。この中に、玉虫色の発現の秘密が盛り込まれている……!?
しかしそちらの素養が全然ない私であれば、図解を見て何となく分かった感じはしつつも、並んだ数式を見ても「なるほど!」とは全く実感できないのであった。ふ。

でもせっかくだから構造色についてちょっと知ってみようと思う。

構造色とは、実際に色がついていないのに光の干渉により色が見える現象。
タマムシの場合は、多層膜構造色という仕組みで、体表に屈折率の違う薄い膜が何層も重なってるせいで光の干渉が起こって複雑な色味を出してるらしい。見る角度によって光の入射角が変わるので、出現する色も変わって見えるという仕組み。
ふんふん。複数の波が重なって違う波形ができるのは水面なんかもそうだから、きっとそのイメージだな(と、何でも卑近なイメージで捉える文系)。

ちなみに家にあるオオルリアゲハ標本の青い羽も構造色らしいが、こっちは多層膜ではなく、鱗粉に入った規則正しい溝のせい。溝の間隔が青色光の波長のちょうど半分のため、光の中の青だけを反射する構造になっているという。
e0134713_111116.jpg

実際どんな感じなんだろ?と、試しに翅を顕微鏡で見てみたが、溝の間隔は200nm(ナノメートル)。nmってのは、0.000001mm。当然、うちのチビ顕微鏡では全く見えない。

けど、質感としてなんとなく存在は感じるような気はするかな?
なんとなくね……。(←想像力を働かせ中)
e0134713_1105946.png


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

鱗粉つながりで。


  Things Come Apart (The Charlottes)

病院のベッドで貰った論文を読みつつ、イヤホンで音楽聞いてた。

ふと、この曲いいな、誰だっけなと思ってプレーヤーの画面を見たら、ちょうど蝶の鱗粉ジャケットが表示されてて「おお!(↑)」と思う。

で、曲名を見たら “We’re Going Wrong” と表示されてて「あー(↓)」と思う。


[PR]

by macchi73 | 2014-07-20 18:47 | 面白かった本など | Comments(0)
2014年 07月 19日
入院日記
e0134713_10171287.jpg

ちょっと入院。
ずっとベッドで読書したり音楽聴いたりしながら寝そべって過ごす。

大きな窓に面したベッドなのが気に入った。
窓の方に脚を伸ばして、全身にお日様浴びながらドリンク片手に目をつぶると、ここはプールサイドだ……て錯覚できなくもない。6人部屋だけど。

窓の外では、真っ青な空に入道雲がムクムク盛り上がったり、夜には質素な夜景が見られたり、流れる雲がやたら速かったり、急に豪雨がやってきて空にギザギザの雷が走ったり、大きな二重の虹が出たりで意外に飽きなかった。
こんな風に、一日中ずっと空だけ眺めてる機会なんてあまりない。

e0134713_10171487.png

そしてなぜか日に焼けて退院。まだバカンス前。


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

ぐうたらひとりぼっちの気分を満喫。

『ぼくのともだち』(エマニュエル・ボーヴ)

人恋しくてたまらない、貧しく孤独な男の独り言日記。
ともだちを求めて日々さすらう。

だいたいこういう小説って、孤独な主人公に読者は共感と好感を抱いちゃうぜ!っていうのが多いけど、この本の主人公にはなかなか好感は抱けないと思う。今でいうニート。ショボくて幼稚な小狡いことばっか夢想している。

その感じがリアルで、「うん、こういう奴だから孤独なんだよな。ってか、誰にも構われないとそうなっちゃうんだよな。人格も人との交流で学習する面って大きいし、孤独が先かダメ性質が先かって分からないところがあるよな。こんな風にこの先いきてて良いこと起こることってあるのか?」って、なんだか身につまされた。だって突き詰めてみれば、生の無意味さ程度は私だって似たようなもん。

全然良いとこなしの人間でも、いつか自分にも本当の愛と尊敬を示してくれる理解者(という都合の良い存在)が現れることを夢見てる。ダメな奴や嫌な奴だって、毎日自分に何か楽しいことが起こるのを期待して待っている。それって当然だし、自然だよなって思う。

ショボい私にも私のともだちにも、楽しいことがありますよう。


BGMは、なんかふざけたMathieu Boogaertsあたりで。


[PR]

by macchi73 | 2014-07-19 11:10 | 面白かった本など | Comments(4)
2014年 06月 20日
ジューンベリー(6年目の結実)
e0134713_0314680.jpg

6月。英語で言えばJune。そんな今月。
2008年に植えたジューンベリーが、6年目にしてやっと、ある程度の量の実をつけた。

じつは全然実をつけないのに痺れを切らし、2011年頃に薄暗い庭隅に移動してそのまま忘れていたのだったが、今年は鮮やかな赤い色が遠目からも目立っていて「そう言えばあれはジューンベリー!」と思い出した次第。

ジューンベリーは、赤い実が黒く熟したら食べ頃らしい。
で、我慢して待っていた。まだ赤いな、まだもう少しだな、黒くなったら何作ろうかなーとウキウキして待っていた。

そしたらそのうち、手術やらサッカーやら何やらで、しばらくの間だけジューンベリーのことを忘れた。
再び気づいた頃には、なんと実は熟しきって全て地面に落ちてしまっていた。ガーン。
ちょっとの間、目を離していただけなのに。

という訳で、今年も収穫できなかったジューンベリーだが、緑の中の赤がとっても綺麗だったので記念に写真だけアップしておく。

来年こそはきっと。
e0134713_0313512.jpg

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

地面に落ちて痛んでしまった果実たちを見て思い出すのは、リョサの『子犬たち』。
手術とサッカーと遺失の物語(←なにか間違った要約)。

『ラテンアメリカ五人集』

バルガス=リョサ、オカンポ、アストリアス、パチェーコ、オクタビオ パスの5人の中短編集。

リョサの『子犬たち』が躍動感のあるテキストで面白い。子犬のようにじゃれ合う少年たちの底抜けに明るい日々と友情。でもその中の一人がある日、犬に<ちんこ>を噛み切られてしまう。みんながどんどん子ども時代を卒業していく中、彼一人だけ、絶対に次の段階に進めない……。

どんな瞬間にも忘れられない気がかりっていうのは、人の行動を制限して、ついにはすっかり元々の形質まで変えてしまう。どんなところにもついてくるこの気がかり、何をやっても最後はこの気がかりにぶつかってしまう……ってのは、程度の差こそあれコンプレックス持ちなら分かる気持ちかも。

でも輝くような子犬の日々を失ったのは、本当に彼一人だけだったか?とか考えると、まあ、そうでもないかなとも思う。誰でもみんな子どもだったし、誰でもみんなずっと子どもでいられない。順調に成長しても、しなくてもそう。
(クリャエルは)いい奴だけどガリガリ亡者さ、勉強ばっかりしていて、スポーツにはちっとも身を入れない、とチョート、するとラロが、あいつのせいじゃないさ、おやじさんがわからず屋なのにきまってるよ、チンゴロも、そうさ、あいつはぼくたちと一緒に来たくてうずうずしているのに、マニューコが、チームへ入れるのは難しいだろうな、身体もないし、キックも耐久力もなくて、すぐにへたばってしまうしさ、いいとこなしだよ。でもヘディングは上手いよ、とチョート、それにぼくたちのチームのファンだから、どうしても入れてやらなくちゃ、とラロ、チンゴロが、みんなで一緒にいられるようにね、うん、あいつを入れよう、どんなに難しくてもな、とマニューコ。

  しかし、物事を諦めない性で、何としてでもチームに入りたい一心のクリャエルは、その夏猛練習し、翌年にはクラスチームのセンターフォワードのポジションを獲得した。(中略) ここに、ふくらはぎに触ってごらんよ、締まってるだろ! はい、ほんとうに、とても進歩しました、チョートがブラザー・ルシオにいう、身のこなしが素早くて、よく動くフォワードです、攻撃の組立もうまいし、それに何より、どんなときにもファイトがあって、とチンゴロがいえば、マニューコも、敵が攻勢のときはゴール下まで球を追って行くのを見られたでしょう、ブラザー・ルシオ? あいつをチームに入れるべきです。クリャエルはうれしそうに笑い、爪に息を吹きかけて、袖が青くて身頃の白い四年A組のアンダーシャツにこすりつけている、これでよし、君をチームに入れてやったぞ、でもいい気になって天狗になったりするなよ。

つくづく日本と異質な文化だよなー、その感覚よく分からないかもなーって感じさせるラテンアメリカ作家の中で、リョサは日本人にも理解しやすくて読みやすいと思う。有名な『緑の家』も、構成の読みにくさにも関わらず面白い。ただ、『継母礼讃』なんかまで行くとスイスイ読み易過ぎて、面白かったとは思うけど、逆に小品っぽくて印象に残らなかった感もあり。


[PR]

by macchi73 | 2014-06-20 00:30 | 面白かった本など | Comments(3)
2014年 05月 28日
湿気と繁茂
e0134713_1434299.jpg

このところ、時々雨が降ったりして、でも暖かくって、モワモワした湿気を感じることが多くなってきた。
「熱 + 湿気 = 繁茂」これが毎年の公式。

恐怖のジャングル化を防ぐために、このあたりで一度庭仕事をしなくては……。

「熱 + 湿気 + 繁茂 = 薮蚊」にグレードアップするのは避けたい。がんばろう。がんばってくれ、私。
うごけー、体! ひらけー、ごま!
e0134713_143477.jpg

しかしそんな風に考えながらも実際は体は動かず、湿気に満ちた薄曇りの庭を見ながら、暗い台所でコトコト料理とかするのって意外と良い気分だったりする。怠惰&無気力に宿る快感。眠い目で、ぼんやり麻痺して逃避。

そんな腑抜け状態で。
庭に点在する野良イチゴを摘んで、近所の果物屋さんの閉店セール苺と合わせてジャムを煮た。体が重い。眠い。

これは前にAmeliaさんから教えてもらったレシピ。
苺に砂糖をまぶして滲み出してきた果汁だけでジャムにする。
苺の粒を崩さないように煮て、最後にレモンとラム酒を少々加えて加熱して完成。
バターを塗ったパンに挟んで、子供の手抜き弁当とする。

あーあ、こうやって逃避しつつぼんやり過ごしている間に、勝手に色んな問題が片付いたら良いのになあ。
あーあ、今からでも「あなたはイギリス貴族の末裔でした」なんつって郵便屋さんが電報持って来て、馬に乗って美しい領地を駆け回る生活とかになんないかなあ。あ、それかその領主の庭番の末裔ってことでもOKだなー。
e0134713_14446.png


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

子供が巡らせがちな(?)甘い妄想プロトタイプ。
今読んでも面白い『小公女』と、著者のイラスト込みで幸せすぎて笑ってしまう『あしながおじさん』。
もう少ししたら、娘にもきっと読ませたい。




こっちは、それが現実だったとしたらきっとこんなだぜ……という、逆妄想。
『不幸な子供』ではお父さんが迎えに来るけど、変わってしまった子を我が子とはもう認識できない。
キプリングの『めぇー、めぇー、黒い羊さん』では、やっと迎えに来てくれた大人にも、辛かった子供の時間(と、大事な何か)はもう取り戻せない。




[PR]

by macchi73 | 2014-05-28 23:55 | 面白かった本など | Comments(2)
2014年 04月 23日
青い庭と恐怖
e0134713_2224090.jpg

朝、人気のない庭にコッソリ出る(←あまり庭々してるの恥ずかしいから)。
それで、今年は見事に青い庭になったなあ……と、一人でにやつきながら庭中をウロウロしている。ふふふ。

その時、なんとなく背後から視線とくすくす笑いの気配を感じた気がした。
ハッとして立ち尽くし、周りを見回す。
e0134713_222467.jpg

そしたら昔の門のポスト跡からこっちを見てる二つの目玉と視線が合った。ギョギョッ!!
「お母さーん、なーに、にやにやしてるのー?」って…… 娘か!

凄くビックリしたよ。ガラスのハートがどうにかするところだった。怖いからやめて。
e0134713_22241424.png

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

人は恐怖を感じた時、パニックなんかになるよりは、動きと思考が停止してしまうケースが多いらしい。

『生き残る判断 生き残れない行動』(アマンダ・リプリー)

最近、『夜と霧』を読んだ長女が、極限状態での行動に興味を覚えたらしく「この本もそんな感じ?読んで良い?」と尋ねて来たのを切っ掛けに、積んであったのを再読。緊急時の人間の反応などについてまとめられた本書は、読んでおけば災害時だけでなく日常の中の小さなトラブルなんかにも心構えができるかも。

ちなみに私は学生時代に武道をやっていて、普段はヨワヨワのヒョロヒョロのサボりなのに、大会の時だけは周りがスローモーションのように見えて勝ち進んじゃって驚かれる……という経験が多かった。これはもしかして特殊能力なのでは!?と中二病のようなことを考えていたが、本書によれば、実は恐怖を感じた時の現象らしく、ちょい凹んだ。なんだ……ビビっていただけなのか……私は。

しかもスローモーションに感じるのは感覚・記憶だけで、実際の身体能力には影響はなく、その状態で高速表示の文字列など見せても認識できる訳ではないらしい。ちぇー。周りを遅く認識しつつ、自分だけ高速で技を繰り出していたんじゃ無かったのか……。

さらに、大した時でもないのにスローモー感覚を起こす人は、生き残りの超エリート集団・グリーンベレー入団の適性はないらしい……。グリーンベレーに入りたかった訳じゃないけど、なんとなくガッカリだ。

私の心の中二時代、ここに終わる。


[PR]

by macchi73 | 2014-04-23 23:55 | 面白かった本など | Comments(2)
2014年 03月 01日
虚数の情緒
e0134713_0523760.jpg

いやあ、すごい雪だった……とか、時期を逸した記事をアップしてみる。

7,8年かけてジワジワと大木化してきた馴染みのローズマリーが、変テコな斜めの棒になってしまった。泣ける。
6年モノのフェイジョアも、寂しい幹が残るだけになってしまった。
金木犀は、2m以上の大枝がざっくり折れてしまい、大いに娘を落ち込ませていた。
金木犀が大好きで樹上に本棚や座り場所を作っていた娘は、棒で雪を叩き落としたりと健闘していたんだけど、こればっかりは自然のことなんで、仕方が無いね。

そんな無惨にも寂しくなった庭だけど、ここ数日の暖かさで、まだ残る雪の間から早くも春の球根たちの芽吹きが見え始めている。去年の秋には球根をやたら埋めたからなあ。
何が生えるか忘れちゃったけど、これからのお楽しみ。

何かが壊れて無くなって、何かが新しく出て来る。
いつもこれの繰り返し。
なんか自然っぽい。

e0134713_0523292.jpgまた最近、帰れてない。

ご家庭大丈夫ですか……と仕事関係の人にソッと言われ、大丈夫だと思いますと答えたら、でもお子さんたち絶対寂しいと思いますよ……家庭を犠牲にさせられてますよね……と何か凄い心配そうな顔で切々と語りかけられて、お尻がムズムズする。

そのウェットさに引き摺られ、ちょっと不安になって(嘘)家に電話したりする。

末っ子が出たので、お父さんに変わってくださいと行ったら、「ダメダメ!ダメダメ!いつ帰って来る?」と言う。
今日は遅いけど明日は早く帰ると言ったら「分かった。それならその事件引き受けましょう! ちょっと待ってください」と言う。
待っていたら、「今、別の刑事に変わります」との取り次ぎの後、やっと夫の声が聞けた。

どうやら留守にしている間に、我が家は警察になってしまったらしい。こんなことになるなんて、やっぱりあんまり留守にしてるとまずいかなあ。

たまにはちゃんと早く帰って、末っ子と鉄橋の上を散歩したりする。
みんながご飯食べ終わって寛いでるコタツに滑り込んで寝そべったりもする。
子ども達が代わる代わる隣に来て、白髪を抜いてくれた。平均一人3本か。以前はなかなか見つけられなかったのに、今では簡単に見つけられるようだ。年取ったよなあ。


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

そんなある夜。友達が、数学嫌いのうちの子たちへと持って来てくれた本。
長男と長女が読んでいるのを見て、私も読み始めたら意外と面白い。夜にチマチマ読み進めつつ。

『虚数の情緒—中学生からの全方位独学法』(吉田 武)

数学の本ではあるが、「自分で考える」ということについて熱い本。
何となくお爺さん臭があるが、サブタイトル通り、真摯な向上心に満ちあふれる、ちょっと早熟な時期(ローティーンくらい?)に読むと一番良さそうかも。
教育の役割は, 人が初めてそれを知る時, 最大限の驚きが得られるように充分な配慮をする事であって, 自動車レースのピット作業の如く, 一刻を争って燃料補給をする事ではない, 好奇心に溢れた「百歳の少年」を生み出す事であって, 訳知り顔の「十歳の老人」を生み出す事ではない.

…(中略)…

赤子の様に驚く能力は, 自分自身で考える事, ひたすら考え続ける事, それのみに因って維持されるのである. 知識に溺れる者は, 考える事を放棄する者である. 人類が驚きを失った時, すべての精神活動が終わりを告げ, 珍種の動物として記録されるに留まる存在になるだろう.

…(中略)…

人の苦しみとは, 煎じ詰めれば, なんとかして「他人になろう」という所から生じるのであって, 「自分になろう」というのであれば, 楽しみこそあれ苦しい筈がない.

…(中略)…

即ち, 自分自身で考える事, 決して他人になりすまして考えない事, その精神の独自性こそが「個性」である.

なんというか、私も端からどう見えても、自分で大丈夫だという感触がある限りは、その感触頼りにやってみようと思う。良いお母さんの在り方が、一個だけってことも無いだろうし。良いお母さんじゃなければ、家庭が不幸って訳でもないだろうし。
[PR]

by macchi73 | 2014-03-01 01:51 | 面白かった本など | Comments(7)
2014年 01月 24日
読み聞かせ、寝て過ごす
e0134713_024099.jpg

久しぶりに休みをとった。すっごい天気の良い金曜日。

朝一番で、「今日は読み聞かせの日だね!」と末っ子に言われる。
で、「おはようございます。今日読み聞かせをするピノコの母です」と深々とお辞儀で返す。
それから「また高校生マリオとレイクの母でもあります」「というか、チチオの妻でもあります」「更に言えば祖母ヒロコの娘とも言えます」などなど調子良く自己紹介を続けてたら、最初フフフと笑ってた末っ子が、最後はまじめな顔になって、お母さん、学校であんまりふざけないでね……と言った。

それで学校。
学校で見る子どもって家で見るのとちょっと違って面白い。末っ子はやや内弁慶の気がある。
これ私のお母さんだよー、って妙にピッタリくっついて立つ。アラブ人並みのパーソナルスペースの近さだ。 で、読み聞かせ中はというと、他の子たちは笑ったり色々反応してんのに、娘は心なしか固い笑顔で真剣な眼差しだ。手に汗握る風。

終わったら、やっとニッコリした。心配かけるお母さんでごめん。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

それから家に戻って、これは庭仕事日和だなー、やろうかなーどうしようかなーとグズグズしているうちに、もうお昼過ぎ。やっと起き出して着替えた夫と一緒に遅いランチに出た。
繁華街から少しだけ外れた通りにある変わった自然食レストランと、新設の本格珈琲屋に行く。
あー、いかにも夫が好きそうな店だ、と何となくしみじみ。よく色々見つけるよなあ。

やあ、休みだと冬の空気さえ暖かく感じるよ……なんて話していたら、単に本当に気温が高いだけらしい。そして明日はもっと暖かいらしい。
なので今日は平日昼間の雰囲気を楽しむことに徹して、庭仕事は土日に延期!

e0134713_035011.jpg散策から帰宅後は、息子にしつこく勧められていた本を読んだ。で、また少し夫と昼寝。

すごい長閑だ。恐ろしい程のんびりした一日だ。
職場と時間の進み方が全く違う。学生時代と全く変わっていない。

これじゃあたぶん夫は長生きして私は早死にするかもなーと言ったら、夫が嬉しそうに笑った(気がした)。む。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最近、宮本輝にはまったらしい息子に勧められていた本をやっと読めた。

毎日「あれ読んだ?まだ?すぐ読み終わるから読んでみてよ。トカゲの話だから」って聞かれる肩の荷を下ろした……と思ったら「次はこれも面白いよ」と更に一冊手渡された。むー。宮本輝って、かなりいっぱい書いてるんじゃなかったっけ。以前、浅田次郎を勧められてた時期を思い出す。

『春の夢』(宮本輝)

息子お勧めの一冊。宮本輝の中でもコレが好きらしい。

食わず嫌いしてたが、有名な作家だけあって、読んだら面白く一気に読了。これが多分情感あふれるってヤツだな。ロマンチック&ペダンチックな息子が好むのが凄くよく分かる。

でも私にはやっぱりちょっと湿度が高い&くすぐった過ぎるかなあ……。

息子に本を薦められるたび、我と彼の好みの違いが大きいことが明らかになり、親子なのに全然違うんだなーと面白い。ちょっと寂しい気分と、息子のいかにも正統な好みに安心&感心したりもする。

あと1,2冊はオススメを読んでみよう。息子プレッシャーにより。


[PR]

by macchi73 | 2014-01-24 22:02 | 面白かった本など | Comments(0)
2013年 11月 24日
自家製 ハーブチンキの作り方、『モレルの発明』
e0134713_20453959.jpg

ハーブチンキの作り方:
(1)好きなハーブを細かく刻んで、消毒済みの容器に入れる。ドライでもフレッシュでも良い。
(2)刻んだハーブが浸る程度のアルコールを注ぐ。アルコールは30度以上なら何でも良い。今回はウォッカを使った。
(3)蓋をして直射日光の当たらない常温の場所に置き、一日一度瓶を揺らす。2週間以上したら利用OK。
(4)最後に漉して、液体部分だけを瓶に保存する。
(5)自家製クリームや化粧品、薬やドリンクに利用する。


秋晴れが続いて、庭が紅葉と枯葉色に染まって来た。
アオ(ミドリガメ)の冬眠のための柔らかい枯葉を集めに、公園まででかける。冬支度。

e0134713_20453561.jpg

でも庭の地面を見ると、11月の頭に撒いたネモフィラの種から小さな双葉が芽吹いている。庭一面。
これは来春が楽しみだ! 乾燥した地面にジョウロで水を撒いておく。

それからすっかり娘の愛読書となったジャレットの魔法の庭シリーズに載っている色々な魔法レシピを試そうと、庭のハーブを刈り込んでハーブ・チンキを作った。

e0134713_20453020.jpg今回は、庭でドライハーブ化していたラベンダーと、モリモリ巨大化して元気に咲いていたローズマリーを使った。

一日置いただけでも、既にかなり香りと色が抽出されている。ラベンダーからは優しい香りの褐色がかった紫色の透明なチンキ、ローズマリーからは緑がかった褐色の爽やかなチンキができるっぽい。

こういう小瓶をいっぱい作って、ズラッと並べたら魔女っぽいかも!!


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

週末は親子揃って読書。
子どもの魔法は希望がいっぱい。一方で、大人の魔法は……。

んー、週末の夜に読むなら、もっと元気が出る本を読むべきだったか!?
ついつい自分も失われた場所に思いを馳せて胸塞がれつつ、ストーリーとしては面白かったから良し。

『モレルの発明』(アドルフォ ビオイ=カサーレス)

SF仕立てだが古典風の雰囲気の物語。
時空を超えることができない人間には、どれだけ憧れても絶対に交われない人がいる……という話。

最初は、ちょっとした謎かけっぽい始まりだが、何が起こっているかは割とすぐ分かる。この設定自体は、いくつかの物語で見たことがある。
でも、状況が見えた後からが面白かった。切望解消のため主人公がとった行動とは?ってのが「あっ!そう来るか!」って感じだった。そして最後に、読者である自分も次元を超えて(?)もう一つの入れ子構造に絡めとられてしまったのが分かる。

ちょっとストーリーとはずれるけど、世界中のどこにも幽霊話があるってのは、「失われた人にはもう会えない」っていう絶対的な痛みを和らげるためかもなーって思った。それに録音・写真・映像技術の進歩もしかり。でも、自我-他者の関係性の根元と、この世の一回性の中にはどうしても保存不可能なものがあって、記録しても記録しても届かない。


e0134713_20533879.jpg

[PR]

by macchi73 | 2013-11-24 21:06 | 面白かった本など | Comments(0)