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2016年 07月 27日
夏休みの子供とゲーム
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夏休みだ。連日、子供同士でプールや図書館に行ったりしてる様子は微笑ましい。
我が家にも、しょっちゅう子供たちが遊びに来ていて賑やかだ。リビングに7人8人と小学生がいると、なんとなく大きい人たちは気圧されて別室に引っ込んでしまったりして。

しかし勘ぐりかもしれないが、リビングに子供たちが集まる理由の一つに、どうもiPadがあるような気配がしないでもなく……。なので、しばらくiPadは禁止中。ウチは利用時間とインターネットアクセスの制限してるだけで割と好きにゲームさせてるけど、ご家庭によってはゲームはさせたくない方針とか、色々あるからな。

そしたらなんとiPadのアプリでやってた推理ゲームを人力で行うため、自分たちでゲームカードを自作したようだ。小学生によるデジタルからアナログへの移行!ちょっと笑った。
さらには囲碁や将棋を引っ張り出して、みんなで始めたりしている。「将棋や囲碁なんて、ルールみんな知ってんの?」と聞いたが、知らない子はやりながら覚えたり、回り将棋や将棋崩し等すぐできるものをやってるようだ。やっぱり子供って、デジタルでもアナログでも、ゲーム好きなんだよな。

で、アナログのボードゲームなら視力にも悪くないかな?と思って、前にやって面白かった『クルード』をプレゼントしてみたら、好評の模様。

個人的には、ゲームに熱中するのって、「何かの解き方やパターン」とか「ルールや前提条件」とか「結果までの経過を楽しむための勘所」とかを素早く見つけられるようになるメリットはある気がするし、そんなに悪いことじゃないんじゃないかと思う。ま、その素早さが実生活で役に立つのって、やっぱり現実のゲーム的な局面だけでのことなんだけど(でも割と、現実にもゲーム的な側面があるのも事実だと思う)。

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我が家で人気のボードゲーム。

『スクラブル』

箱には対象年齢は高校生からって書かれてるけど、別に難しい英単語を知らなくても戦略によっては勝てるので、中学生からでも十分イケる。ゲームのためにレアな英単語(ZやXで始まるポイント高いヤツ)を覚えたりするので、むしろ中学生にオススメだと思う。

小学生向けの『スクラブル ジュニア』というのもあるようだ。最近は小学生以下でも英語習ってる子も多いみたいだしな。

★人数:2-4人
★一回のプレイ時間目安:40〜60分
★公式対象年齢:高校から大人
★意地悪度:なし。クリーンなゲームです。

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『9・13路盤セット』

囲碁を本格的にやるなら19路盤が必要だけど、広大な19路盤は一局が長いので、最初は9路・13路がオススメ。この盤は、9路と13路が表裏になっている。

将棋と違ってルール自体は単純なせいか、囲碁の方が小学生に人気で、初めてやる子でも結構ノリノリになる。子供はすぐに終わる9路盤が大好き。定石とかも覚えて使ってみたいなら13路盤が手軽。

あと、石の感触とかも子供の興味をひくみたいなので、安いマグネット囲碁やプラスチックのものより、硬質ガラスや木の素材のものの方が良さそうだ。中古でも気にしない場合は、もっとずっと良い材質のものが古道具屋さん行けば安く買える(ただし9・13路盤はなかなか売ってないので、盤だけ別に注文するのが良い。盤だけなら良いものでも2000円くらい)。

★人数:2人(詰碁なら1人でも)
★一回のプレイ時間目安:9路盤なら10分、13路盤なら15-30分。
★対象年齢:小学1年生くらいからかな?
★意地悪度:意地悪じゃないけど、1対1なので負けた側は結構くやしいみたいだ。泣くかも。

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『チケット・トゥ・ライド』

すごく有名なボードゲームの名盤。シンプルだけど面白い。

カードに書かれた目的地までを自分の列車のコマで埋めると、カードに書かれた点数が稼げる。達成が難しい目的地は点数が高く、簡単な目的地は点数が低いので、どのカードを選ぶか考えること。

こちらも公式には対象年齢13才以上となってるけど、ルールは単純だから、地図とカードに書かれてるアルファベットの地名さえ読めるように工夫してあげれば小学生でもOKだと思う。

★人数:2-5人
★一回のプレイ時間目安:30〜60分
★公式対象年齢:13歳から
★意地悪度:他のプレーヤーの目指す目的地を推測して邪魔する意地悪プレイも可能(邪魔されると遠回りしなくちゃいけない)。ただし、邪魔はメイン要素ではない。

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『クルード』

根本的な仕組みは、「どのプレイヤーも持っていないカードはどれだ?」という推理で、人数が少ないと謎解きの難易度がガクンと下がりすぐ終わってしまうので、3人以上でプレイしたい。

英語版だと日本語版の1/6〜1/3くらいの価格で買えるので、ルールも単純だし、我が家では『Cluedo シャーロック・ホームズ版』を購入して、小学生たちのために日本語ルール説明書は自作した(わかりやすいように、我が家ルールや用語も混じっちゃってるけど)。

★人数:2-6人
★一回のプレイ時間目安:30〜60分
★公式対象年齢:8歳以上
★意地悪度:推理の勝者がいるだけで、負ける感はすごく少ないので、ゲーム自体の悔しさはとても低い。ただし犯人当てゲームなので「凶器」とかの犯罪用語(?)は使うことになる。そこを配慮してか、日本語版では「殺人事件」ではなく「被害者を脅して失踪させた犯人当てゲーム」になってるっぽい。



↓↓↓↓クルードのルール説明(日本語)はこちら↓↓↓↓
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by macchi73 | 2016-07-27 23:55 | 書籍・CD | Comments(0)
2016年 06月 26日
屋根の上で音楽
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食材を買いに出かけようとしていたら、公園帰りの娘と出くわした。
買い物付き合ってくれる?と誘ったら、オッケー!と言う。手をつないで、お昼の出来事を話しながら歩く。

今日は同学年の子たちで公園に行ったら幼稚園や低学年の子たちも集まって来て、ずっと水鉄砲して遊んでたんだという。いやあ、だんだん全員うまくなって、なかなかの戦いだったよー、でも小さい子には本気だせないけどねー、なんて歯切れ良く話しているのを聞くと、随分お姉さんっぽいじゃんと感じる。家の外では末っ子の顔じゃないんだろうな。

それで買い物を手伝ってもらって(大助かり!)帰宅したら、あ、ピノはこれから屋根で音楽聴くけど、お母さんも一緒に来ない?と、今度は私が誘われた。面白そうなので、ついて行ってみる。
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窓からちょろっと屋根に出るだけかと思ったのに、「ううん、ホントのてっぺんまで行くんだよ」と、空中の細道あり、段差ジャンプあり、よじのぼりありの道中で、けっこうスリリング。屁っぴり腰でついて行く。壁から直接登るルートもあるんだけど、それだとお母さんは無理そうだからねー、ふふふ、と笑われて、ちょっと屈辱だ。
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それで頂を極めて、「どう、この風景?」と、やたら得意そうな娘。

「この高さだと蚊もいないんだよ」なんて言うのには、えーホントか!?いっても10m未満だろ?と眉唾モノの感じもしたが、でもとりあえず今日の様子ではホントに蚊もいなくて、向こうに見えるビル群までは視界を遮る建物もなく、気持ち良い風が吹いていた。これは素敵な場所だ!
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お互いにおすすめの音楽をYoutubeで見せ合いながら、屋根の上を満喫。

そうして暗くなって来た頃、私の携帯に「どこいるんだよう!」と夫から電話があって、家の中に戻る。それで、「みてみて、こんなとこに居た」と屋根からの写真を夫に見せたら、ダメだよ!!危ないでしょう!!と、きつく叱られた。

まあそれは確かにそうだ、と二人で謝って、「今後は(高い方の屋根には、お母さん抜きでは)登らない」と約束。ま、屋根の上で、もうそういう約束はしてたんだけどね。()部分はとりあえずサイレントで。

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娘のおすすめはアニメやボーカロイドのやたらテンポの速い曲が多かった。「お母さんたちがいつもかけてる曲も好きだけどね、友達とはこういうの聴く」と、また娘の外の顔を一つ知る。

屋根の上でダンサブルな曲は、娘が踊り出しそうでヒヤヒヤする。



お母さんは、こっちの方が好き!笑っちゃった。ひろし。

そして、「お小遣い3000円って、少ないの?」と、無邪気な目で訪ねてきた娘がおかしくて、さらに笑う。小学生には、三千円は大金か!?




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今日見た映画 "Mommy" は、画面のアスペクト比で遊んでたりして、ちょっと面白い感じの映画だった。 発達障害の息子が、カラフルに魅力的に表現されている。


発達障害児の親が自分の生活保障のために子の養育を放棄する権利を保障した法律が可決された、架空のカナダでの物語。

綺麗な映像で面白く観たが、テーマは実はピンと来ずにいる。

壊れないために自分の人生を選ぶ母親と、壊れても家族を捨てられない母親の間に通う友情の話かな?どちらの選択でも失われるものと得られるものがあり、自分で選ぶ痛みなら、どちらの選択もありだ、っていう……?まあそりゃそうだよな、って感じ。

子どもを騙して施設に入れるためのドライブ中に、母親の目の前に生き生きと広がった白昼夢ーー子どもが目指していた学校に入学し、すくすく育ち、夢を実現し、素敵なパートナーを得て、晴れの舞台で幸せそうにニッコリ微笑んでいるーーのところで母親が感じる痛みは、ちょっとわかる気がした。

「こうもあれたはず」っていうストーリーを愛着のある人の上に描いて、実際には起こってないことなのに、失われてしまったように感じることってあるのかもしれない。実際は起こってないし、多分起こらないし、失われたと感じられるのは、ただの可能性だけなんだけど。

最後、子どもは駆け出して、そっちはそっちで、母視点とは別の可能性があるかもしれないのは、良かった。母にも自分の人生があるし、子どもにもある。


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by macchi73 | 2016-06-26 23:55 | 書籍・CD | Comments(6)
2016年 06月 19日
夏の夜の匂い(毎年恒例の)
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泊りがけの仕事で、夜になった。
道路から奥まった敷地でのイベントだったので、ホールから漏れてくる光だけ明るくて、外は暗い。ざわざわしたホールの扉の外に立って中を眺めてたら、スクリーンに投影されてる映像とホールに設置された照明、中で動く人たちの影が、どれもオモチャみたいに見えた。昼は真夏日だったけど、9時10時と夜が更けるにつれて、夜風が屋外から屋内に吹き込んできて過ごしやすい。少し湿った生暖かい風が、一日中動いて汗でべとべとになった頬や首を撫でていくのは、なんだか懐かしいみたいなぞわぞわする肌触りだ。

子供の時、こういう感じにざわつく屋外で映画みたいなものを見たような記憶があると、ホールのオレンジ色の光に顔を照らされて隣の人がつぶやいた。ふーん、幻燈会ってヤツですか、と言ったら、そんなに年じゃないけどねという。

後ろの方から、10年以上前によくご一緒したスタッフの人たちが懐中電灯持って歩いているらしい声が聞こえてきた。で、暗い中、その動いている灯に近づいていったら、急に暗闇が裂けたように足元までオレンジ色の線が伸びて来て、小さなスペクタクルみたいでちょっと面白く思う。暗くて見えなかったけど、そのあたりに倉庫の入口があって、ちょうど引戸を開けたところだったようだ。どうもお久しぶり、と声をかけて一緒に作業を手伝ってみたが、会話しながらも彼らだけヘッドライトをつけているせいで眩しいばかりで顔がよく見えず、変な感じがする。夢の中の人たちみたい。

なんだか甘い匂いがするね、なんだろ、クチナシですかね、あなた相変わらず裸足でラフだね、蚊が出てきたから痒いですね、足刺されると嫌だよね、なんて徒然と話しながら作業。

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帰宅して、翌日は寝て過ごそうと思ったけど、末っ子に朝7時前に叩き起こされた。
インターネットに繋いだゲーム機に向かい、仮想空間の「フェス」とやらに付き合う。まあ、私はタオルケットに包まって、寝そべって見てるだけだけど。たまに、ファインプレーした時、娘がチラッと得意そうに振り向くので、グッジョブ!と指をたてる要員として動員されたっぽい。大きなモニタに映し出される景色は、ちょっと不思議だけどリアルで綺麗。こんな世界、散歩してみたいよなあ……とか思いながら、ぼんやり見てる。ゲームの映像も、進化したもんだよなあ。

それから、泳ぎの練習したいというので、自転車乗ってプールに行った。
お母さんは寝不足で心臓ドキドキしてるから泳ぎやばいよ……とか話しながら、曇天の中、ランチ食べたり、ちんたら500mくらい泳ぐ。そうして、雨がポツポツ降ってきたかな?っていう天気の中、また自転車漕いで帰宅。天気のせいで、なんとなくずっと薄暗い。

で、気づいたら、リビングのソファで寝てた。

家の中、すごく静かで、もうかなり暗い。夫が床に伏せるように倒れている。おーい、大丈夫?と覗き込んだら、小さくイビキかいてた。それから末っ子を探したが、どの部屋にもいない。あれ?と思って、トイレもお風呂も探したが、どこにもいない。

こんな時間に外に出たのかな?と玄関を見たが、靴はある……。嫌な感じがして、夫を起こして、娘ってでかけた?と聞いたが、知らないという。もう一回、キッチン、寝室、オーディオ部屋、私の部屋、風呂、トイレ、二階に上って子供部屋全部に入って、家中のベッドめくって、納屋も物置も確認して、でもやっぱりいない。ちょっとドキドキしてきた。

バンバンバン、と窓やら扉やら開けて外も見て、それから庭に出て、ピノー!ピノ、どこにいるー!?と叫んだら、「うーん?」と、屋根の上から声がした。見上げたら、末っ子が屋根の縁から顔を出すのが少し見えた。屋根の上、金木犀の大木の樹冠に隠れるような場所があり、そこにマットをしいて寛いでいたようだ。一気に脱力。それから笑った。そういえば、先月くらいから、良い場所あるから今度見せてあげる、一緒に登ろうって言われてたな……。

ホッとして暗いリビングに戻ったら、開けた窓から甘い匂いが流れ込んできた。あ、これは昨夜も嗅いだ匂いだ……と思って窓から顔を出したら、窓辺から見える藪の中に、ずらっと百合の蕾が並んでた。幾つかの花はもう咲いている。あー、そうそう、この匂いは百合だった。毎年、姿を見るより先に匂いで気づくんだ。

それでみんなで今年初の冷し中華を食べた。すっかり夏の夜。
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夢の中みたいなざわざわした夜と、幻燈会という単語で思い出した本。

『少年アリス』(長野まゆみ)

長野まゆみを読むなら、やはりまずはこの本から。

旧仮名遣いっぽい懐古的だけど読みやすい幻想的な文章、お行儀の良い少年たちの独特の口調、やたら漢字で表記される鉱物や植物たちの名前、夜の学校……と、文学少女の心にヒットするものがぎゅうぎゅうに詰まっている。さらに、登場人物の名前が、「蜜蜂」とか「アリス」とかいうのにノックアウトされること間違いなし。

何十年も前に読んだ、いかにも少女趣味な分野ではあるけど、でもたぶん大人になった今読んでも面白く思えるクオリティだったと思う。ってか、思い出したら、また読みたくなってきた……。
「アリス、ちょっと出てきてくれないか。」
蜜蜂の声だ。アリスは部屋の外にある露台から乗り出したが蜜蜂の姿は見えなかった。古い石造りの露台の柱には、凌霄花(のうぜんかつら)の蔓が絡みついている。昼間の咲き残りの花は水盤のごとく零れ落ちる月明かりを集めていた。蜜蜂は多分この木の下にいるのだろう。耳丸が草を噛む音がする。
「何だい。もう八時過ぎだよ。」
アリスは見当を付けて露台の下に向かって声を掛けた。
「うん。」蜜蜂は口ごもる。
「どうしたんだ。」
「これから学校に行くところなんだ」


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by macchi73 | 2016-06-19 23:55 | 書籍・CD | Comments(2)
2016年 06月 03日
自ら歩きまわって穴を掘る植物の種子
この間、なんかの拍子に歩く樹木のニュースを読んで、「そういえば、ずっと前に何かの本で、”歩いて土地を探す種子”ってのを見たはずなんだよなー、あれってやっぱり夢だったのかなー」と、久しぶりにモヤモヤした。懐かしいモヤモヤ。
Exciteニュース:
 → 毎年20mも移動するというエクアドルの歩く木「ソクラテア・エクソリザ」の噂を検証

私の記憶によれば、ずーっと前にどこかで読んだその本(図鑑だった気がする)には、昆虫のような脚を生やした種子が、歩きまわって発芽に適した場所を自分で見つける図解が載っていたんだった。

もう一度見てみたくて、時々思い出しては探してるのに、全然見つからないんだ……。
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↑↑↑ イメージ図(適当)↑↑↑
物凄く朧な記憶だけど、こんな感じの絵だったような。


そうして今となっては、「うーん、やっぱり夢で見ただけかな?そういえば、面白く読んだ気がするのに他のページを全く思い出せないしな……」という気分になって久しいのだった。もやもや。

ちなみに、載っている本が実在するとしても、古代ローマの博物誌とか中世錬金術系とかの空想まじりの植物なんだろうとは、今は9割がた思ってはいるが。でも、本当の本当のオリジナルの記憶は、「へえええ!色んな植物があるもんだなあ」と驚いたような記憶なんだった。……実在は、でも、さすがにしないよね……?


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歩く木といえばコレ。私の子ども時代の愛読書。

『あるきだした小さな木』(テルマ・ボルクマン)

入手した時にすでに古本だった気がするが、やたら気に入って、ボロボロになるまで繰り返し読んだ本。

思い返すに、動物みたいな植物(またはその逆)ってのが、小さい頃からの我が心の琴線ポイントだった感はある。



若い娘のなる果樹や植物羊、マンドラゴラなど、植物と動物の中間種についての記録は、昔から世界中にあった。

『幻想博物誌』(澁澤龍彦)

果実の娘にもマンドラゴラにも動物的な知能はなさそうな感じが、半植半動の絶妙のバランス。「え、なんかそういう種って存在するかも」って半信半疑ながら思ってしまいそうな。

これが喋ったり長靴はいちゃったりしちゃうと、おとぎ話になっちゃうんだよなあ。



半分動物・半分植物といえば、猫草を忘れることはできない。

『ジョジョの奇妙な冒険 (42)』(荒木 飛呂彦)

小学生時代に荒木漫画を読み始め、ジョジョリオン以外はほぼ全部読んだかな?と思っているが、その中でも猫草はベスト25くらい(←あまり高くもないか?)には入る面白エピソードだと思う。

荒木漫画って、誰もクヨクヨしなくって、話はぐんぐん進んで、堂々巡りがないから好きだ。


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by macchi73 | 2016-06-03 23:55 | 書籍・CD | Comments(7)
2016年 05月 18日
フラックス(宿根アマ)
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庭でソヨソヨと涼しげな薄青の花を揺らしていたフラックスが、ついに散り始めてきた。
地面に水色の点々が散っていて綺麗だ。

だけど、何か忘れている気がするんだよな……。

で、思い出した!
フラックスは、別名、宿根亜麻。麻糸の材料になる花なんだった。
去年の夏に種まきした時には、適当な時が来たら麻糸を紡いで何か織ろうと思ってたんだっけ。

それで、いつがその時期なんだろうと調べたら、なんと花の盛りに刈り取るのが良いらしい。
ええー、花の時期に刈り取るなんて勿体無い&もう時期が過ぎちゃったよ。
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この週末にでもちょっとやってみるかなあ……。

でも、仕事が山積みなんだよな。うう。
最近は、休日もとるし家にも割と早く帰ってるんだけど、とにかく色んな方面の持ち帰り仕事が多くて、夜はずっと仕事やら用事をしてるのであった。まあでも、オフィスで電話やお客や会議に時間細切れにされて仕事してるより、家で仕事するのって良いなって感じたりもする。

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窓を開けて風に当たってられるし、色んな音楽も聴けるし。
しかし先週のライブからこっち、夫が同じアルバム(Mystery Jets の "curve of the earth")ばかりかけている……好きになっちゃったのか。



初期 Mystery Jetsは、可愛い男の子たちがお父さんと(!)一緒に、少し古めのテイスト混じりの音楽をやってるって感じが面白かった。

その後、男の子たちは大人になって、お父さんはいなくなって(チラチラいるけど)、息子は足が不自由だ。私はお父さんがいた頃の、音楽好きがちょっとひねってみました、みたいな曲の方が割と好きなんだけど、その後の若者たちだけになってからの曲がストレートで王道な感じなのは、物語的にはなんか良いよなあと思ってしまう。未来に開けてる感じというか。

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by macchi73 | 2016-05-18 23:55 | 書籍・CD | Comments(3)
2016年 05月 14日
庭のベリーのフレーバードウォーター
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庭に蔓延ったプチルビーが熟して、果実を落とし始めた。
ラズベリーって、いつも気づくと熟しすぎて落果が始まってるんだよなー。急いで収穫しないとだ。

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それで、娘と一緒に庭をぐるっと回ったら、ボウルいっぱいのベリーが収穫できた。
庭のベリー類って香りはとっても良いんだけど、お店で売られている果物のような味ではないので、ボウルいっぱいを喜んで生食するって気にはならず、どうしても大半は加工用となってしまう。さーて、何作ろうかな。

で、思い出したのが、この間、ローズウォーターを作ろうと検索していて見つけた「デトックス・ウォーター」なるもの。レシピ本をAmazonで立ち読みしたら、ちょうど我が家にも似た様な材料が揃っている「いちご+パイナップル+スペアミント」という組あわせが載っていたので、試してみた。イチゴは庭のラズベリーとワイルドストロベリーで、スペアミントは庭に生えてるアップルミントで代用。

『ジャーで楽しむデトックスウォーター』(Sachi)

デトックスとかの流行単語を聞いただけでつい腰が引けてしまう斜に構えた私だが、要は水に果物やハーブ、野菜などをつけて香りづけしたフレーバード・ウォーターのことらしい。

Amazonで調べただけでも何冊もレシピ本が出ており、だいたい「なか見!検索」機能が使えるので、ざっと中を見て、美味しそうな組み合わせのレシピを試してみるだけでも良さそう。



そして、どうもジャーで作るのが流行りっぽい。それで最近、飲み口つきのジャーがよく売ってたのか……。

このビンは何のためにつかうモノなんだろう?とちょっと疑問だったのが、やっと分かってスッキリした。



で、冷蔵庫に入れておいたら、大学生が、この水おいしい、今度からサークルに持って行く水筒にコレ入れて行きたいとか言う。

おお。なんか嬉しい。じゃあいつでも自分で作ると良いよ、ミントは庭のそこに、ベリーはそこに、薔薇とローズゼラニウムはそこに生えてるからね、と得意になって作り方を伝授する。ふふふ。人に植栽を説明するのは、庭の醍醐味だ(あまり機会は無いが……)。
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そんなこんなで私が台所や庭でガタガタやっている間、末っ子もラズベリーを使って何かせっせと隣の部屋でままごとっぽいことをやっている……と思ったら、iPadで写真をとってパラパラアニメを作っていた。

ストーリーは、骸骨がラズベリーを一粒たべたら右の眼球ができて、もう一粒たべたら左の眼球ができて(どっちもラズベリーの粒)、目がよく見えるようになったので外の世界に旅に出ていくというもの。ちょっと面白かった。

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最近ファンタジーとか冒険モノが好きなんだよね、何か良い本ない?という末っ子にオススメした本。

『旅のラゴス』(筒井康隆)

主人公ラゴスが旅して通り過ぎて行く国ごとの短編が連なるような章立てなので、小学生でも飽きずに読み易いと思う。

この世界が一回壊れてしまった後の話なのかな?と匂わせる構成は同じく筒井の『驚愕の曠野』(←とても好き!)にも似てるけど、あっちが荒んで恐ろしい叙情的な世界だったのに対して、ラゴスの世界はなんとなく牧歌的で叙事詩的な感じ。

主人公が淡々としたおっさんなので、ストーリーに盛り上がりはそんなに無い。だけどパートナーのスカシウマって一体どんな生物なのかとか、途中で絵描きを殺して行方不明になった男の背景の物語は何だったのかとか、いろいろと想像の余地がある世界で、ファンタジー好きなら空想の種に良さそうに思う。


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by macchi73 | 2016-05-14 23:55 | 書籍・CD | Comments(0)
2016年 05月 06日
春の庭のパレード
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連休明けだし、仕事を少し早めに切り上げて帰った。
細かい雨がしとしと降ってるけど、まだほんのり明るくて、空気が薄青く染まって見える。

庭に入ると、鬱蒼とし始めた気配のある緑の中で、あちこちに色んな花の色がチラチラしていた。
なんか最近、楽しいお出かけばかりで庭の記録を全然書いてないが、4〜5月の花は溢れるように咲いて散っちゃうからな。去年の冬に増やした植物に関しては、栽培結果は記録しておきたいなあ。
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そんな風に思いながら、あちこちの花を一つ一つ見て回りながら庭を巡回したら、頭の上の方から優しい甘い匂いがした。金木犀の大木を覆う羽衣ジャスミンの花の香りだ。咲いては散って、咲いては散って、もうだいぶ花の時期は終わりに近い気はするけど、それでもいまだ濃厚に甘く香る。
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それから奥に進むと、納屋の前あたりでレモンの花が満開だった。
木が白っぽく見えるくらい沢山の花を咲かせて、辺り一帯を柑橘系の爽やかな香りで包んでいる。その隣に咲いているオレンジの大輪の薔薇はジャストジョーイ。こちらもフルーツ香と呼ばれる、柑橘類に似た強い香りを放っている。
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夕方の庭を堪能して、家に入ろうとすると、今年は玄関を囲むようにゼフィリーヌ・ドルーアンが蔓をのばして沢山の花をつけている。いかにも薔薇っぽい少し青っぽいすっきりした香り。見た目も香りも透明感のある薔薇だ。
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以上、本当はしばらく虫の記事が続くはずだったが、夕方の春雨に濡れた庭があんまり風情があったので、庭の記録とした。明日からは、虫情報だけでなく、ここ最近の庭の様子もアップしようっと。

春って、花も虫も次々どんどん発生しては消えていくから、全部覚えて記録しておきたくなる。
小さいものがみんなで一斉にブワーッと噴出する様子は、冬の間ずっと力を貯めて待ってたんだなあって感じで感動するけど、一方で、花も虫も、短いピークを迎えた後は散るばかりって予兆もありありと見えるから、なんだか複雑だ。樹木なんかは何年もかけてじわじわ育つから、若木の時期も大木の時期も悠々としていて安心感があるんだけどなあ。花と虫ってせわしない。小さいものはだいたいせわしない。

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春の歌。死んでも死んでも生き返る命、そこいら中、いたるところに結ばれたリボン。


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by macchi73 | 2016-05-06 22:00 | 書籍・CD | Comments(3)
2016年 04月 21日
30 Goes Around the Sun
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すごく風の強い週末だった。ときどき、天気雨。

びょうびょう言う風に当たっていると、頭上で木々が、足元で草花が一斉に揺れて、海原に立ってるみたいだ。雲がすごい勢いで流れて太陽を隠したり顕したりするのに合わせて、地面にもぐんぐん影が流れて、庭が暗くなったり明るくなったりした。雲の合間から光が射すと、細かい雨粒に濡れた草藪が明るい黄緑色に、終わりかけのチューリップが赤や薄桃に発光する。



強風で水面に花や葉が散って、それをオタマジャクシが美味しそうに突いていた。
オタマジャクシは、よくよく見ると魚とは全然違うヘンテコな顔をしている。まあ、魚じゃないからな。仕方ない。言いがかりつけてすまない。
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そして、庭で謎の事件勃発。
ガラスの大きな水槽に入れておいたザリガニがいきなり姿を消した。こんな深さのあるツルツルの壁面、絶対に自ら登って脱出できる訳がないのに……犯人はカラスか猫か!?

なんて私が真剣に現場検証している間に、夫と末っ子は二人だけで、見た目は子供・頭脳は高校生の探偵映画を観に行ってしまった。年に一度の親子映画デートだ。ちぇー。

仕方ないので、私はひとりぼっちでPTAの作業に出かけた。
このところ連日連夜のPTA作業が続く。小学校のPTA、大変なものだ。どのお母さんも私の全く知らない学校の出来事を広く深く知っていて、自分の中の無能感いや増す。これは、学校世界とでも言うべきものだな……と珍しく見て回る。知らない世界を見るのは面白くもあるけど、テキパキしたお母さん方が素早く察知する問題を私は全く察知する能力がないことを知り、足をひっぱってたら悪いなーと消沈したり恐縮したりもする。そして、だいたいこれまでずっと、自分なりに色んなところを動き回ったつもりでいて、実は自分の得意な分野でばかり暮らして来てたんだなーとか思ったり。

そして夜。家族と待ち合わせしてる街へと向かい、家族全員でレストランで夫の誕生日前夜祭の乾杯をした。明日のお父さんの誕生日には家にいられなくてごめんね、とすまなそうに言う大学生。え?いいんじゃね?四捨五入したら五十にもなるおっさんの誕生日、そんなに祝わなくて良いんじゃね!?とか、私は内心でちょっと思いつつ……。

翌日の誕生日当日。
末っ子と二人で夫を祝うべく、部屋を片付け、庭の花で卓上を飾って、肉々しいご馳走を並べた。結局、間に合わせて帰って来られた大学生たちも全員揃って、またケーキと歌とプレゼント。まったく、連日お祝いされて、どんだけめでたい誕生日なんだよう!と呆れながらも、お誕生日おめでとう!おめでとう!
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子供たちが留守番してくれたので、夫と二人で昔よく聴いてたバンドの来日ライブに行って来た。結成30周年ということで、プレイヤーも観客もけっこうな年齢だ。はは。ということは、つまり私たちも。

昔も今も、弦楽器がめちゃくちゃ楽しそうな演奏。なんか笑っちゃう楽しいライブだった。
Vo. マイルスの声が変わらず若いのはすごかった。永遠の青年声。目を瞑って聴くと、若者の姿が思い浮かんで変な感じ。

Welcome To The Cheap Seats (The Wonder Stuff)


これがかつてのライブ。若いな。この時のメンバーは脱退したり亡くなっちゃったり。

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by macchi73 | 2016-04-21 23:55 | 書籍・CD | Comments(6)
2016年 04月 10日
花筏(はないかだ)
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週末、夫と末っ子と一緒に自転車大会に参加した。
コース沿い、お堀の水面に散った桜の花びらが浮かんで層になって、ピンク色の濃淡で流水紋を描いている。こういうの、花筏って言うんだっけ。

……そういえば、うちの庭のオタマジャクシのプールにも小さな花の筏が浮かんでるなと思い出す。末っ子の自信作だ。でも、こういう筏のことは花筏って名前では呼ばないのな。(そもそも、名付けられるほど見かけないし)

毎日、春風や雨粒の作る波紋で勝手にくるくる回ったり水面を滑ったりしているのを、なんとなく眺めてから出勤してる。そして筏の下には、日に日に丸々してきたオタマジャクシたち。
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で、自転車大会が終わった後。
長女オススメの芝居を二人で一緒に見る約束をしていたので、劇場まで自転車を飛ばす。余裕で着くと思ってたのに、歩行者天国やらなにやらにぶち当たって、ギリギリの到着になってしまった。仕方ないので、着替えもせず、ヘルメットの癖がついた髪型といかにもレーサーな感じの服装のままおしゃれな劇場に入る。ううう。ちょっと恥ずかしいかも……。

そして観劇後は、これまた長女おすすめのお店で、美味しいご飯を食べて帰った(ヘルメット片手に、レーサーな装いで)。

娘は可愛い格好してるのに、一緒で恥ずかしくないのかな?とちょっと気になったが、ニコニコしてよく喋るのを聞いてたら、まあレーサーも結構オシャレと言えるのか!?という気分になってきた(嘘)。いつもよく喋る兄と妹に挟まれて一人だけ静かな娘なので、こういうのも珍しくて良い。二人で二駅、しゃべりながら歩いて帰った。私は自転車を引きながら。

そして帰宅後、やっぱり今日も深夜までPTAの作業。新学期って忙しい。
ただでさえ多くはない自由時間や休日がPTAで更に減ってちょっと残念な気もするが、学校で配るお便りには、我が子には通じるであろう符牒を入れて、暗闇でグフフと笑ったりする。秘密の公私混同。これくらいの楽しみなくっちゃ、やってらんないぜ。仕事自体が面白く思えないときは、イースター・エッグを仕込む。

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自転車大会の賞品でもらった本。短編集っぽい。

e0134713_03815.jpg『フランダースの声 現代ベルギーアンソロジー』

サイクリング後、さっそく末っ子が読んでいたら、一緒に出場していた中学生に、「ねえ、それどんな話?」と聞かれていた。

以下、娘たちの会話による要約。小学生の理解なので、本当にそんな話かどうかは、保証しない。
「えーとね、スキップをやめられない男がいてー。妻に呆れられてもやめられなくって」
−−ええっ、なにそれ。

「そしたらスキップ教室っていうのを見つけるの。それで、そこでスキップ好き同士の友情ができたり……」
−−ハッピーエンド?

「うん、でも今度はスキップの競争で負けたくなくなっちゃって、せっかくできた新しい友情も壊れる」
−−ダメじゃん。

「そう。それで、また一人になったら、月ってさ、重力ないじゃん?」
−−重力はあるよ。小さいだけ

「そうすると、フワフワして普通にあるけないから、スキップで移動するんだって」
−−マジで?

「それで、よし月を目指すぞっていう、そういう話」
−−なにそれ。

「なんだろうね?」

……なんだか、隣で聞いてたら、私もすごく読みたくなってきたんだけど。


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by macchi73 | 2016-04-10 23:55 | 書籍・CD | Comments(0)
2016年 04月 05日
庭仕事の喜び(ダイアン・アッカーマン)
『庭仕事の喜び』(ダイアン・アッカーマン)

この間読んで、とっても面白かった本。庭で感じたあれこれを、春・夏・秋・冬の章に分けて綴っている。

ものすごく知識量のある人らしく、連想が連想を呼び、話があっちこっち飛び回るが、それが躍動感があってとても面白い。どこを切り取って読んでも、元気いっぱい、溌剌とした詩のようだ。

夜に裏庭で月を眺めて「人間はあそこまで行ったんだ」とアポロ月面着陸について考えを巡らせてみたり、かと思えば、古代ギリシアの博物学者の思想に想いを馳せて、地球は宇宙の庭であり、私たちはそこで花開いた命の一部なんだ、って面白がってみたり。庭からどんどん、いろんなところに思考は広がっていく。

全体的に、ふざけた論調なのも楽しくて良い。
バラの復活を目にした時の気分を例えて、「弱って死んだ叔父が、ある朝目覚めたら、重量級のフットボール選手になって戻ってきたような驚き」とかなんとか書いてた部分(うろ覚えだけど)は、思い浮かんだ絵面のおかしさに思わず笑ってしまった。そりゃ嬉しいよなあ!
庭づくりをする者は瞬間に生きているが、同時に未来にも生きているし、過去はつねに心にある。どの花にも歴史があり、諍いの物語があり、たぶん病気の物語もあるのだろう。どの花も希望や期待とともに植えられる。庭を褒めそやす訪問者は、その日その時間の庭を味わっているのだろうけれど、そこに住み、長い年月をかけて庭を手入れしてきた園芸家にとっては、あらゆる瞬間が記憶と織りあわさっている。そして、未来図の背景にある景色を思い描くとき、庭はさらに美しく、あるいはあたかも新しい植物が花開くように、ちがう美しさを湛えている。
庭は世話をして、手をかけてこそ庭と呼べる。(略)庭は変化し成長する生き物なのだ。あなたがよく知っているだれかのように、庭は時とともに変化し、それでいながら元のままでもある。庭を比喩やありとあらゆる暗示で染めよう。たとえば「思いやりの庭」。そんな比喩の中では、庭も思いやりも、人生における特別な喜びだ。「教室の庭」では若者たちが育てられる。「不確かな記憶の庭」は、「はるか彼方でかすんでいる、子どものころの不確かな記憶の日々を集めた庭」である。
庭は、成長はしても完成することはない。つまるところ、人間も成長を完成させることは決してなく、運がよければ止まらずにひたすら成長をつづける。成長の足取りは、連続的でもなめらかでもなく、ときによって、ごくわずかしか進めなかったり、つまずいたりしながら、非常にゆっくりとあるいは駆け足で、思いがけない幸運であるいは大きな努力の結果、進んでいく。私たちが成長するのは、生きることは成長することだからであり、そして私たちが、頭で考えるだけでなく、衝動に駆られて、全身全霊で生命を愛するからである。好奇心も、愛も、野心も、信念も、そして多種多様な欲望も、すべて私たちの一部であり、それらが私たちを季節からつぎの季節へと導き、最終的に私たちを形づくる。そうして私たちは成長している。

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私も作者に倣って、月を見上げて38万キロ彼方の地面でも想像してみるか……と真夜中過ぎに散歩に出たけど、あいにくの霧雨で月は見えなかった。

それでも月と自分の間には、頭上を覆う夜桜があり、空との間を埋める細かい雨粒、もっと上には雲の層、地球を包む大気圏、それから静かで冷たい宇宙空間、月の土があるんだなーと感じられた。

それから水平方面に感覚を伸ばせば、後方にはハアハアと荒い呼吸で追ってくる夫(運動不足)、さらにもっとずっと地面を辿れば、今まで行ったことがあるどんな場所にも、行ったことがない場所にも、野を越え山を越え海を越えて、地面は繋がっているのが体感できる気がした。地面は大小色とりどりの庭や景色に覆われていて、その中に、私の愛着ある庭もある。(と、そんなに世話してないのに言う)

それから、空間と同じ広がりを持って、いまここから過去と未来に伸びていく時間の塊を感じた。アッカーマンは、生きることは成長することだって書いてたけど、私は、何もない暗いとこから発生して、また暗いとこに消えて行くんだなと思った。それって成長なのか、ただの現象なのか。でも自分も、この賑やかな地球上の自然現象のうちの一つで、好ましく思うあれやこれやと等価な何かだと思えば、悪くない気はする。


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by macchi73 | 2016-04-05 23:55 | 書籍・CD | Comments(4)