冬の深夜の虫たち(チャバネフユシャク♂♀、アオスジアゲハ)
2016年 12月 11日
そのまま玉川上水を西進して、夜の虫を探す。手袋をしてフードも深くかぶって防寒はバッチリ。頰に当たる夜の冷気がむしろ気持ち良い。
小型の懐中電灯で藪や樹木を照らしながら歩いていたら、アオスジアゲハの蛹を見つけた。懐中電灯の光を受けて、真っ黒な闇の中、鮮やかな翡翠色に浮き上がって見える。アオスジアゲハって蝶も綺麗だけど、蛹も綺麗だ。透明感のある緑色がまるでジェリービーンみたいに見えたので、まだ柔らかいのかなと思ってそっと触ってみたら硬かった。
時々動くものを見つけるが、だいたいが蜘蛛の巣に引っかかった枯葉が風に吹かれて動いているだけだった。蜘蛛の巣って照らすと光るから、夜には目を引くんだよな。そしてたまに、巣の持ち主も……。冬越しできない絡新婦たちだけど、風の当たりにくい物陰にじっとしてたりして、まだ頑張っているようだ。誰でもみんな終わらなくちゃいけないのは自然の掟だとしても、終わりが安らかでありますよう。
あ、こっちは巣を貼らない徘徊性の蜘蛛っぽいかな。
蜘蛛がいるってことは獲物もまだきっとその辺にいるんだろう。よしよし、いい感じ。期待感高まる。ふっふ。
しかし、その調子で5kmくらい上水沿いを探してみたが、お目当てのものは見つからず……。立ち止まって、ちょっと考える。
今日のお昼のことだが、娘と夫とのカフェでの休憩中、なぜ冬シャクって冬に活動するんだろう…….なんてことを検索していたら、面白いページを見つけてしまったのだった。その記事によると、フユシャクの大半種は日没から二時間位まで活動する夜行性だが、チャバネフユエダシャクは例外的に深夜に活動する種だという。それできっと真夜中に探したら、チャバネフユシャクのペアがざくざく見つかるのでは?と期待しての深夜の徘徊なのだった。
生き物を求めて今日も行く!「裏山の奇人」徘徊の記:
→冬の秘めごと
......とっても面白い記事だった!
でも、これだけ探しても一匹のフユシャクも見つからないってことは、環境の条件は揃っていても、虫はいるところにはいるし、いないところにはいないってことだろう。フェロモン頼りにメスを飛び回って探すフユシャクのオスの苦労が偲ばれる気がした。上記の記事によれば、フェロモンって1-2mくらいしか届かないというし、どこにいるとも分からない相手を探し当てるってのは結構な骨だろうな。
仕方がない、ちょっと格好悪いけど、来た道を戻って、お昼に見つけたフユシャクの夜の姿を見ることで良しとしよう。もしかしたら、オスが呼ばれて来てるかもしれないし。
で、街灯もない本当に完全に真っ暗な公園内の道を懐中電灯で照らしながら恐る恐る進んだら、メスはお昼と同じところにそのままいた。翅がないから移動もそうそうできないもんな。今度はマクロカメラを持参したので、じっくり撮影&観察させてもらう。至近距離で見ると、ピンクの地肌に白黒模様のビロードのような短い毛が生えている様子は、白豹かホルスタインのようで、なかなか魅力的。
でも、しばらく待ってみたけど、オスの気配は全くない……。
ま、残念だけど、予想どおりにばかりは行かないのが虫探し。今夜は風が強いのが敗因かもしれない。
仕方ない、もう帰るか……と明るい方を目指して公園内のトイレを通りかかったら、あ、いた!ガラスブロックの壁にチャバネフユシャクのオスと思われる姿があった。多分、トイレのライティングに惹かれてきたんだろうな。おーい、探してるメスは500mくらい先で待ってるぞー!
ちょっとだけ、このオスをさっきのメスのとこまで連れてってやろうかな?なんてチラッと考えたけど、やめといた。伴侶は自分で探すよな。そんなことを考えつつ、トイレのガラスの壁にちょっと登って、オスの写真をスマートフォンで撮ったりして(←よく考えたらすごい不審者、やばいかも)。
ふと気づいたら、もうとっくに日付も変わってた。
虫を探して足元も視界も悪い暗闇をずっと歩き回ってたら、お腹が空いた。
それで私もフユシャクと同じく、暗闇に点々と光るお店の灯に誘われて、深夜1時にお腹いっぱいにしてから家に帰る(フユシャクの成虫に摂食機能はないけど)。
虫は見つからず、カロリーだけをゲットしちゃったなー。
相変わらずアクティブですね。尊敬します。
エダシャクのメス、初めて知りました。
まだまだ、知らない事が多いです。
僕も今度、探してみようと思います。メスは昼にも居るのですよね?
今回のメスは16時過ぎくらいに発見しました。
昼は落ち葉などに隠れていて夕方に木に登り出すという記事も読んだので、夕方頃から探すのが良さそうな気がします。
他の方の記事を読むと、日没後しばらくして動き回っているオスを目印に見つけるのが一番良さそうな感じなんですけどね...... 私はそれは失敗でした。
でも1月2月の方が色んな種類がいて賑やかそうなんで、年明けにまた色々条件を変えて探してみようと思います!
ペアリングを思い付くところにmacchiさんの愛情を感じました(笑)
冬に活動する虫も保温性のある擬木がやっぱり居心地いいんでしょうか。
しかし上の方も仰ってますけどほんとアクティブですね。
小松さんの本を夏頃読んで、生き物と意思疎通出来る(子供の頃はそう信じてた)とか共感する部分が多かったんですが、私は吸血動物や寄生虫が怖くて今はあまり触れなくなってしまいました。
これからも楽しいレポートお願いします。
私が目撃したのはもっと下流の立川市内なのですが(情報不足ですみませんでした)、井の頭近辺にもいるのですね。今度行ったらチェックしてみたいと思います。
あと擬木ウォッチャーとは初耳ですが、確かに昆虫観察によさそうです。
以前読んだ本(たぶん三土たつおの『街角図鑑」)には、擬木そのものの愛で方が紹介されてました。あの木の風合いを出すのがなかなかの職人技だとかで。いろんな世界があるものですね……。
>おーい、探してるメスは500mくらい先で待ってるぞー!
私は対向車線で車が事故り、じわじわと渋滞の始まりを横目に通り過ぎ、まだ渋滞を知らずに軽快に走る対向車とすれ違う時『もう少し走ると、事故渋滞が待ってるぞー!』と心の中でつぶやいてしまいます。
バスを追い抜いてしばらく走り、バス停で時計を気にしながらバスを待っている人を見かけた時も『もうすぐ来るよ』とついつい思ってしまいます。
ボートが集合している写真、レトロなセーターの首周りのデザインのようで面白いです。
macchi73さんは夜の写真もお上手ですね。
私もちょうど本を読んだところです。ほんと面白いですねー。
そうそう、異生物に触るのって、だんだんハードル高くなりますね。
病気や寄生虫に関する知識のせいもあるし、あとはやっぱり、段々と
生活圏的に隔離されて、遠い存在になるのが大きいのかもですね。
去る者は日々に、的な。ちょっと寂しいです。
雪森さん>
面白いこと教えてくださって、ありがとうございました。
あれから冬の昆虫観察が面白くって、今日も見てきてしまいましたよ。
三土たつお氏の本も面白そうで興味津々です。模木、そんなにバリエーションがあるとは......!
muさん>
ねえ。攻殻機動隊ばりに諸々コネクトされてて、テレパシー的なメッセージ遅れれば良いんですけどねー。
レトロなセーター柄、浮かびました。はいはい、あの柄!似てますね。
写真って、アート的な意味ならありですが、でも記録としては全然現実に追いつけないなーと思います。
現実って眼下も頭上にもずっと景色が広がってて、どこまでも広がる塊的なのが、やっぱりすごい。
平面的な写真から360度の記録へ、今後のVRの発展に期待か?とか思ったり。
でも、それでも冬の空気の冷たさ、匂い、カサカサいう風の音とか、現実丸ごと保存ってのは難しいですよね。できるだけ体感で記憶しときたいものです。