雪虫(トドノネオオワタムシ/椴之根大綿虫)
2016年 12月 05日
登山道を歩いていると、時々、ふわふわと目の前を白い虫が横切っていく。雪虫だ。
雪虫とは、晩秋から初冬に、体に白い蝋物質をまとって飛ぶアブラムシの総称らしい(白蝋物質をまとうタイプのアブラムシは色々いる)。しかし、雪虫という愛称で初雪の前触れとされるのは、主に北国に多くみられるトドノネオオワタムシを指すことが多いようだ。
動きはふんわりと弱々しいので、飛んでいるところをそっと捕まえることは容易。
それで優しくキャッチして目の前でよくよく見てみたけど、どうも今回のもトドノネオオワタムシっぽい。なんだ、北国じゃなくても普通にいるんだな。岩殿山には松がけっこう見られたから、そのせいもあるのかな。
以前、庭のアブラムシの生態でも触れたが、アブラムシの通常形態は翅をもたない姿だが、シーズン後半には翅で空中移動するタイプの世代が発生する(交尾・産卵して、卵で越冬する準備のため)。
なので、冬直前に翅を生やした彼らがふわふわ飛び回る姿を見て、その雪に似た姿も相まって、北国の人たちは冬の訪れを感じるんだろうと思う。
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井上靖の『しろばんば』というタイトルも、雪虫の別称らしい。いま知った。
子供の頃に課題図書か何かでさらっと読んだはずだけど、あまり内容も覚えておらず、「しろばんば」とは主人公を可愛がるお婆さんのことかとずっと思い込んでいた……。
伊豆の描写が美しい物語のようなので、今読んだらむしろ良さそうな感触。冬休み、読んでみようかな。