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2016年 10月 09日
2016年の金木犀(雄しかいない樹)
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9月末から10月頭にかけては金木犀が満開だった。庭も家の中もずっと甘い香りで、なんだか浮かれる。

夜も窓を開け放して香りを楽しんでいたら、「今年は金木犀が早いよね、普通は10月も半ばくらいが花の時期だけど……」なんていう、道行く人の会話が聞こえて来た。

思わず、「そうなんですよ!私もそう思ってたんですけど、でも確かここ数年はずっと9月に満開日が来てんですよね……」と家の中から相槌を打ってしまいそうになる。が、夜中にびっくりさせては悪いので、実際には発声はしない。見知らぬ人への、脳内でのみの相槌だ。

それで植栽メモを引っ張り出して、ここ10年ほどの金木犀の満開日をチェックしてみると、やはり2014年からの3年間は9月後半が金木犀の満開日になっていた。

これってどういうことだろ?
単にここ3年の花期が早いと言えるのか、それとも寧ろ、10月後半が金木犀の時期だったのは昔の話で、今は9月後半が金木犀の季節と言うこともできるのか?

ねえ、そこのところ、あなたはどう思います?……くらいに脳内で見知らぬ人に話しかけ続けるとこだったが、その頃には当然、通りすがりの人たちはずっと先に行ってしまっているのだった。で、真っ暗な窓の外には、金木犀の香りだけ。


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そういう訳で、花の盛りが9月末なのは、ここ最近の流れから言うと実はそんなに驚くほど早いという訳でもないのだけれど、今年は花が散るのも早かった……と思う。迂闊なことに、毎年花の盛りばかり気にしていて花の終わりは記録していなかったので、もしかしたら感覚で言ってるだけかもしれないが。

ある日気づいたら、ちょっと前まで樹上にあったオレンジ色が全部地面に移動してしまっていて、「え、もう終わり?」と、ちょっとびっくりしたんだった。今年はずっと暑さが続いて、いきなりバタバタっと肌寒くなったからか?
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地面に落ちてしまった金木犀の花は、オレンジ色の絨毯みたいで綺麗ではあるけれど、踏ん付けて歩いても、もう、あの魅惑の香りはしないのであった。受粉のための虫を呼び寄せるための花の香りだと思えば、そりゃそうか。

だけど、金木犀は雌雄異株の樹木なのに、原産地の中国からはオスしか運び込まれなかったと聞く。そしたら、幾らたくさんの花を咲かせて虫を呼んでも、花粉がメスまで辿り着くことは無いんだな。さらに言えば、金木犀の香りは日本の蝶や蚊にはむしろ忌避効果となることが多いらしい。原産地では、その香りに呼ばれて来る虫がいたんだろうと思うけど。

呼ばんとする虫も雌もいないのに、それでも毎年辺り一帯を甘い香りにするほどたくさんの花を咲かせてると思うと、金木犀、ちょっと寂しい感じもする。

(でも、その芳香のせいで人の手によって挿木で殖やされてることを思えば、メスなしでも、実は繁殖戦略には成功してると言えるのか?)
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ブラッドベリの『霧笛』を思い出した。
呼んでる相手はもういない、というつながりで。


『ウは宇宙船のウ』(レイ・ブラッドベリ)


ブラッドベリの短編集。どの話もすごく良い。

『霧笛』は、ずっとひとりぼっちで何百万年も海底で眠っていた地球最後の恐竜が、仲間の声に似た灯台の霧笛に呼ばれてやって来て、霧の中、灯台に向かって、もうどこにもいない仲間を求めて鳴く話。

ブラッドベリが書くSFって、いつもなにかポエジーがあると思う。

(→萩尾望都の漫画版もあったので読んでみた。こちらも原作の詩情そのままで面白かった。)


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by macchi73 | 2016-10-09 22:20 | 書籍・CD | Comments(5)
Commented by avocado2015 at 2016-10-10 15:44
このブラッドペリの小説は読んだことないのですが、設定を聞くだけで物悲しいですね。読んでみたくなりました。
Commented by 薪の炎 at 2016-10-10 18:30 x
金木犀、我が家の庭にはありません。少し出歩いていればたいがいどこからともなく漂うその香りで季節の進みがわかるはずですが、今年も気づかぬまま花期は過ぎてしまいました。庭木全般に言えることですが金木犀もほどほどに剪定しないと大きくなりすぎますし、常緑樹なので冬の日当たりの妨げにもなります。ところで金木犀は雄樹しかないので実は結ばないとのことですがそう聞くと知りたくなりますよね、雌樹はあるのか、あるとすればどんな実がなるんだと。ネットってすごいです。「金木犀の雌樹」で検索するとありました。雌樹とその実の写真。ただ中国でもごく一部の地域にしかないようですし、花の数や食用に適さない地味な実姿等園芸価値がないので流通しなかったみたいです。さらに園芸価値高い雄樹はなんといっても挿し木繁殖が容易なので結局雌樹は不要だったのでしょう。話がらりと変わって、コンサート録音は1980年代製のポータブルステレオカセットデンスケをいまだに使っています。録音で大切なのはS/N比、つまり信号(音楽)とノイズ(ざわつき等)の比が大きければノイズは気にならなくなります。なるべくステージに近い位置で録音します。ただしラジカセにせよ最近のICレコーダーにせよ録音レベルが自動の物は使いにくいかも知れません。機材の新旧はあまり関係ありません。クラッシック演奏等で小音量時に咳払いなどをされるとそれがはっきり録音されてしまって悔しい思いをします。実は昨日(10/9)もある地域の中学と高校の吹奏楽部、音楽部のコンサートに行ってきました。ただコンサート録音はプロはもちろんアマチュア演奏でも厳密には禁じられています。従って基本的にはお勧めできません。自己責任で。それにしても最近の中学、高校生の演奏レベルはとても高く感心しました。それではまた。


Commented by macchi73 at 2016-10-11 01:18
avocado2015さん>
霧笛は切ない話ですが、同じ短編集の中には、不思議な話や怖い話、色々あってオススメです。
うちの子どもは、ハロウィンに集まる不思議な一族の話が気に入ってたなー。
本屋さんにも、古本屋や図書館なんかにも絶対ある定番本だと思うので、見かけたら是非!

薪の炎さん>
そっかー、うちのまわりはどこいっても金木犀!って感じなんですが、あまり無いところもあるんですね。
うちの金木犀、たいへんな大木ですよ。それで庭が真っ暗です。今年こそは花後に大きく選定しようかと思ってはいるんですが。
80'sデンスケ、画像検索したら色々出てきました。
そういえば、こういうの使ってた!ガチャガチャ、ってボタンを押す感覚!懐かしいです。
Commented by 絵の具 at 2016-10-12 16:01 x
はじめまして。だいぶ前から(…。)写真と文章を楽しませていただいていました。
もういない つながりだとアリスン・アトリーの「時の旅人」あたりどうでしょう。

金木犀、子供の頃は何とも思わなかったのですが、大人になってからいい匂いだなぁと楽しみに待つようになりました。
我が家ではサルスベリの開花が年々早まっています。
暖冬の年までは9月下旬に咲いていたのに、徐々に時期がずれて今年は8月頭の開花でした。
今年も唐突に寒い冬が来るのかなと思ってます。
Commented by macchi73 at 2016-10-13 21:37
絵の具さん>
うわっ!すごくびっくりしました!!

私、「トムは真夜中の庭で」って児童書が好きなんですよ。
それで知り合いの子にその本をプレゼントしようと思ってネットみてたら、「時の旅人」が一緒にレビューされてるページがあって、そっちも面白そうだなーって思って、図書館予約入れるところだったので……。

こういうの、なんて言うんでしたっけ、共時性とかシンクロニシティってやつ思っちゃいましたね。なんか、読むの楽しみになってしまいました(でも期待値はあまり高くしないようにしないと)

開花時期、風物詩、季語とか、ながーい目でみれば、それもだんだん移り変わって行くんでしょうかねえ。
すごく遠い未来、氷河期だったりして、未来人が今の記録を読んで「昔はこうだったのか……」とかいうこともあるかもなって想像すると、ちょっとおかしいですね。


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