ヒイラギナンテン(柊南天)の匂い
2016年 03月 22日
知らない街の公園を散策中、微かな芳香が漂って来て立ち止まる。
いまの季節だと沈丁花か?でもちょっと違う……もっと甘ったるくてカラタネオガタマみたいな……でもそれより草っぽくって爽やかな……知らない花の香りっぽい……と、犬みたいに鼻をフガフガさせて藪の方へと入って行く。
香りの主は、公園の縁にぐるりと植えられた黄色の地味な花だった。
近づくにつれて香りが濃厚になって、あ、この花かと、もっとよく嗅ごうとして顔を寄せたら、鋭いトゲのある葉で「イテッ!」となった。
この花は、メギ科の常緑低木、ヒイラギナンテン。
名前の由来は、チクチクした肉厚の葉がヒイラギにそっくりで、実の付き方がナンテンに似てるから。
でも画像検索してみると、6月に実る果実は青くて重そうなブルーベリーっぽい見た目で、あんまりナンテンには似ていないような……。果実はヨーロッパでは食用にするらしい。また、枝で草木染めをすると、花と同じ綺麗な黄色に染まる。
春の夕方に似合う、少し独特の、素晴らしい香り。
でも備忘に匂いを記録・保存しておきたいと思っても、それって無理なんだよなあ。
視覚情報は写真や動画である程度は保存できるし、音も録音できるのに、匂いは電子的に記録する方法がない。言い換えると、匂いは波形に直せないものってことか。脳での受け止め方も、五感の中で嗅覚だけは、唯一新皮質を経由しないでダイレクトに海馬に届く特殊な感じ方をされるらしい。
動画や音楽をインターネットで配信できるみたいに、匂いも届けられたら面白いだろうけどなー。どう考えても専用の装置や薬品が必要そうだし、まだそれは難しいか。
ぼんやりと宿題をしながら この花に集まってくる
スズメバチをながめていました
永遠に続くかと思えたそんな夏も すでに遠い記憶の片隅にしかなく
思い出だけが甘く切ない
柊南天の実が食用と聞いて驚きました。
子供の頃実家の玄関の両脇に植えてあって、春はラジオを持ち出し香りに包まれながらじっとうずくまって音楽を聴いている時間が幸せでした。後からお尻が冷えているのに気付くのですが…
実も沢山生っていましたが食べようとは思わず。
悔しいので調べてみましたが、あまり美味しいものではないようでひと安心(笑)
それにしてもmacchiさんのブログは毎回面白いことが載ってますね。
これからも楽しみにしています。
好きなことがあるのって、良いですよね。
あと、音楽も、昔よく聞いてた曲を聴いたりすると、いきなり昔の感触がグワーって迫って来ますね。思い出トリガーとして、嗅覚と聴覚は、強力なのかもしれない。
いやいや、柊南天の果実、私はちょっと期待しています。
今回の場所を覚えといて、時期が来たらI'll be back, 摘み食いに来るぜ……なんて考え中ですよ。