2015年 08月 26日
【夏休み読書感想】野ねずみハツラツ 六つのぼうけん
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夏休みの読書感想文のために図書館で借りてきた本がとても面白かったから、お母さんも夜に読んでみて、と子供に言われた。

で、帰宅してさっき読んだ(夜更かし)。なんとなくシーンとして幸せな気分になった。
好奇心旺盛な野ねずみのハツラツが、『ハネノヨウニ』という名前のいかだを作って、旅に出る話。


風がやみました。
船べりをたたいていたゆるやかな波の音も、とまりました。
おこっていたカモの声も、しずかになりました。
やがてハツラツは、音のない夢の世界をただよっている気分になりました。きこえてくるのは、水の中でゆれうごくじぶんのしっぽの音ばかり−−。

この幸せな気分の原因は何かな?と考えるに、登場人物(動物だけど)がそれぞれの性質のままで暮らしてるからだと思う。好奇心に満ちたハツラツは勿論魅力的なんだけど、それ以外の動物たちも、心配性は心配性のまま、意地悪は意地悪のまま、内向的は内向的のまま、それもアリの描かれ方をしている。あと、文章が淡々としていて詩的だ。ピーター・パーナルのモノクロの挿絵も文章に似合っている。

なんか、真善美を目指して努力して一路に自分を磨くような話より、こういう散漫な物語の中には美とポエジーがあると感じた。バリエーションがある世界って綺麗だ。(ま、真善美を目指す話には、その代わり力強いストーリーがあるけど)

良い性質でも悪い性質でも、自分の素質のまま生きるということの中には一つの美があると思う。
やっぱ、躾とか自己研鑽とかいう行動の中には、生来のものを撓めるとか損なうって面は、どうしても含まれてきてしまうからかな。
ついつい子供には「こうあるべき」っていう道徳的なことを言ってしまったりもするけど、本当はそのまま任せておいて、自分の性質に沿った在り方を開拓するままにしとくので良いのかもしれない。

わたしはサミシガリヤが好きかな、と娘が言ったので:
ハツラツは、病人のベッドのそばにすわりました。そしてふたりして、何時間もおしゃべりをしました。とてもいい話し合いでした。
おたがいに、じぶんの意見をのべました。
ハツラツは、世の中へぼうけんの旅に出て、いろいろ見てまわるのはすばらしいことだよ、と主張しました。
サミシガリヤは、そんなこと、しないほうが安全だよ、と主張しました。
そんなある朝のことです。
ベッドの中からサミシガリヤは、ノネズミがやぶれた上着にブラシをかけ、ひげをみがいているのを見かけました。
それでサミシガリヤは、ハツラツが出ていきたがっていることを、はっきりと感じとりました。だれが見たって、そう思ったでしょう。
サミシガリヤは、からだに毛布をまきつけました。そして、ハツラツが不幸になるのをおそれながら、あとを追って外に出てきました。
ジャコウネズミはノネズミに、出かけたがっているように見えるけど、ほんとうかい、とたずねました。
「百パーセント、あたってるよ。」
ジャコウネズミは、ハツラツのいかだに、ユリやヒシの実など、おいしい食料をつみこみました。そして、ハツラツがいかだのつなをほどいているとき、こうさけびました。
「世の中とやらに、ぼくからよろしくってつたえておくれ!」

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読書ノルマは5冊で、あとの4冊はこちら。
ポーやシェイクスピアは、もうちょっと大人っぽい版(?)を読んで欲しかった気もするが、なかなか良いセレクトだと思う。

問題は、今週だけで全部読んで感想文まで書けるのか?という点だけど……うるさく言うまい。計画性の無さもそのまま温存して育つが良い(ダメか?)。


『おとうさんがいっぱい』(三田村 信行)


⚫︎選んだ理由:
夏だから怖い本を一冊。お姉ちゃんとお兄ちゃんがお母さんに読まされてトラウマになったって言ってたから。




『にあんちゃん』(安本 末子)


⚫︎選んだ理由:
同じ年の女の子の日記だから。あと、昔の夏の戦後の記録として良い本だから読めとお母さんに言われた(←強制。でもお母さん間違った。戦後10年くらいの話で戦争とは直接は関係ない……。でも良い本)。



『夏の夜の夢』(シェイクスピア)


⚫︎選んだ理由:
夏休みだから夏の本にした。目次にほとんど全部「恋」っていう字が入っているのはおかしい。




『黒猫・黄金虫』(エドガー・アラン・ポー)


⚫︎選んだ理由:
江戸川コナンの元の、江戸川乱歩の元の、エドガー・アラン・ポーは、いつかは読まないといけないと思っていたから。


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by macchi73 | 2015-08-26 02:38 | 【こども】自然学習、自由研究 | Comments(2)
Commented by たまやっこ at 2015-08-26 09:02 x
「野ねずみハツラツ~」良さそうですね。
読んでみます!
大人は深い所まで考え読み進めるけど、子供はサラッと読みながら
けれど、深部はきっちり捉える事ができるんですね~
やわらかい頭、やわらかい心だからですね・・・

前に紹介されていた、「かのこちゃんとマドーレヌ夫人」
我が家のベスト3に入りました(笑)
娘も私も お気に入りです。
Commented by macchi73 at 2015-08-27 21:11
おっ!気に入って良かった、マドレーヌ夫人。
面白いし、いい本ですよね。

野ねずみハツラツも面白いと思います!
なんか、善悪なしに出来事をただ描写してるだけ……って感じが、ちょっとムーミンとかに似た雰囲気の気がします。多分、翻訳がすごい上手い気が。

あと、おとうさんがいっぱいは、子供みんなに読んでほしいなー。怖いから(←意地悪)。


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