「ほっ」と。キャンペーン
2015年 02月 08日
夜と梅(と煙)
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仕事が終わったのが深夜2時近く。外に出たら、どこからか微かにいい匂いがする。
どうせ急いで帰宅してもみんな眠ってる時間だしなーと、同僚とちょっと話しながら匂いの方へとぶらぶら歩きした。

そしたら梅が咲いてた。街灯もない場所で、月光に白い花が浮き上がってて綺麗。
この冬は暖かかったね、もう春だね(←気が早い)と、ホット缶飲んで暖まる。湯気の向こうに梅の花。早春の匂い。

それで家についたら、予想に反して居間には煌々とあかりが灯り、ドアを開けたとたん濃厚な肉の匂いに襲われる。奥から夫が厳かに登場し、今日はみんなで焼肉をしたんだ、美味しいので食べるが良いと宣言されて、夜と朝の間の時間にジューシーな肉を食べた。煙の向こうに夫。強烈な肉の香り。

胃薬飲んで、窓を開け放して眠る。(寒っ!)

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夜つながりで。

『夜と霧』(ヴィクトール・E・フランクル 著、池田 香代子 訳)

ユダヤ人精神科医フランクルの収容所体験記。また、そこから考えた生きる意味についての本。だいぶ昔に読んだ旧約は難解な印象だったが、長女に「面白かったよ」と言われて新訳を読んでみたら、とても読みやすくなっていた。

収容所では多くの人が、「ここを生き延びさえすればこの苦しみにも意味がある」「こんな生に意味はあるのか?」などということを考えた。となれば、生き延びられない生には意味がないのか?我々の生の意味は結果によって左右されるのか?

著者のフランクルは、そうではないはず、と考えた。
人が生に対して生きることの意味を問うのではなく、生きることが人に意味を問いかけているのだと。どんな状況でも人間には少なくとも一つの自由は残されている、それは自分の態度を決める自由だと。

そこから人としてその自由をどう行使するかという話に発展していくところは倫理的な話になってしまうので、もしかしたら文化や性格によってだいぶ共感度が違うかなーと思ったけど、生の経験自体に意味があるというのは納得。それは私は、倫理抜きの虫とか花とかの生を見てもそう思う。収容所から見える風景に、自然はなんて美しいんだ!と人々が震える場面は印象的だった。
「あなたが経験したことは、この世のどんな力も奪えない」

私たちが過去の充実した生活のなか、豊かな経験のなかで実現し、心の宝物としていることは、なにもだれも奪えないのだ。そして、わたしたちが経験したことだけでなく、わたしたちがなしたことも、わたしたちが苦しんだことも、すべてはいつでも現実のなかで、永遠に保存されるのだ。なぜなら、過去で「ある」ことも、一種の「ある」ことであり、おそらくはもっとも確実な「ある」ことなのだ。

生きるって、自分の中にいろんな経験や感触が溜まっていくことだと思う。それと同時に、世界の方にもいろんな生の痕跡が溜まっていくんだろう。誰でも生きてるだけで世界の記憶装置としての意味は果たしているし、周囲の誰かの経験の登場人物になったりもしている。

そういう自分の中の記憶や愛着が生き延びる力になるのは、もしかしたら人だけでなく他の動物もそうかもしれないけど、倫理的なものが力になり得る(個体がしばしばいる)ってのは生物として珍しい気がする。多分、時間や死の概念があるかどうかが関係するのかもな、なんてことを考えた。
本の趣旨とは、ズレた感想かもしれない。


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by macchi73 | 2015-02-08 23:30 | 書籍・CD | Comments(2)
Commented by しの at 2015-02-10 21:48 x
こんにちは。最初はベリー類を検索してこちらにたどりついたのですが、
なんだか普通にエッセイとして楽しませて頂いてます。

初期の長野まゆみさんの小説をちょっと思い出してみたり。
末っ子ちゃんとか、「鉱石倶楽部」とか好きそう。
庭がひどい粘土質だったり、手入れしてなくて中途半端な和風の庭を
結婚してから8年、あきらめて雑草ジャングルにしてみないことにして
たのですが、ちょっとずつ好きなベリーとか育ててみたいなと、つつじ
引っこ抜いたりしてます笑
Commented by macchi73 at 2015-02-14 09:06
あーでも、和風の庭がちょっと自然に侵食されて、野菊とか夕顔とかススキとか、野草っぽい草花がちらほら加わった風景とかも良いですね。

長野まゆみ、十代にかなり面白く読みました。少年アリスとか、野ばらとか。そのころ林海象の『夢みるように眠りたい』見たりで、レトロな感じに一時期慣れ親しんだかも……。
そっから外国かぶれで、日本の同時代作家をしばらく読まなくなったんですが、10年くらい前に『箪笥の中』を本屋で見かけて、この人の本結構読んだなあって懐かしく手にとったら、かなりコンスタントに色んな本を出してたんですね。

鉱物倶楽部、なんか聞き覚えあると思って本棚を探したら、ありました。
ちゃんと読んでなかったけど、再読してみます!


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