2012年 11月 19日
園芸愛好家たち
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リビングの出窓の外で、バレリーナが咲き始めた。
「外はいま秋の花の時期だよー。ねえねえ出て来て見ないのー?」と問いかけるように、チラチラとピンクの花を揺らしている。

週末も出勤などしてバタバタしている最近だが、せっかくの秋を庭仕事無しに無駄に過ごしてしまうのか……と庭心がちょっと刺激されて焦る。

そんな夜、帰宅したら園芸仲間のAmeliaさんから荷物が届いていた。
美味しいケーキと園芸本、その他良いもの色々だった。

e0134713_23273177.jpg早速、翌朝にみんなでケーキをいただいた。

紅玉のみりん煮が入っていて、爽やかな甘酸っぱさ、リンゴの良い匂いで美味しい。

取り分けて食べ始めてから、あ、最初の綺麗な写真をとっておけば良かったなと思う。


もう絶版だからと郵送までして貸してくれたのは、『ベランダの庭 12ヶ月』という本。
ベランダマンと自称する著者の、ベランダガーデニング奮闘記&TIPS披露の内容だった。
「園芸にハマる者はみんな同じようなことで一喜一憂してるのか……」とふんふん頷きながら、フフと笑いながら、もぐもぐ食べながら、一気に読んでしまった。

前に読んですっごい笑ったカレル・チャペックの『園芸家 12ヶ月』の日本版といった趣き。
または、いとうせいこうの『ボタニカル・ライフ』の方にもっと近いか。
庶民度は、小野口>いとう>チャペックだな。
日本の二人は、狭いスペースや忙しくて放置気味になる世話に頭を悩ませながら、そして数々の失敗をしながら、それでも植物に心奪われて仕方がない模様。

春に次ぐ園芸適期である秋晴れの空の下、自分と同様に、きっとあちこちに気を揉む園芸家たちがいるんだと思うと、なんだか笑える。

* * * * * * * * * * * * * * * * *

同志よ!と言いたくなる園芸記録。

『ベランダの庭 12ヶ月』(小野口広子)

チャペック、せいこうが園芸家の悲喜交々をエッセイ風に描いているとすると、小野口はHOW TO本風に紹介している。

こんな庭道具買ったのよー、こんな害虫対策してみたのよーってなご近所さんとの会話のようで、なんとも身近で役立つ内容だった。


『ボタニカル・ライフ』(いとうせいこう)

風邪で寝込んでいる娘に添寝して読み返していたら、「あれ、それってセイコウ?」と言う。

小学1年生が何故そんなことを……!?と思ったら、いまお気に入りのBIT WORLDという子供番組に、いとうせいこうが出ているのであった。



以下、ボタニカル・ライフの中から、あちこちを適当に抜粋。
それぞれ別の植物についての言及個所の引用だが、全体の流れとしてこんな感じの雰囲気。

彼らの園芸姿勢は、枯らしては後悔し、かと言って増え過ぎても持て余し、基本的にいい加減で、深い愛情よりは好奇心に基づいており褒められたもんではないが、「そうそう、そうなんだよなー」とかなり共感する。私もブログには載せない後ろめたい園芸処置が幾つあることか……。

そして三年目。俺は自分をだましてわざと水やりを控えた。捨てられないのなら死ぬのを待とうという恐ろしい計略である。オレはベランダ上の家康そのものであった。優柔不断な植物好きなら、このオレの所業を責めることが出来ないだろう。誰でも一度はそういう悪魔的なことをしたことがあるはずである。

……(何十ページも中略)……

いわば、やつは王をいさめたのである。領民の嘆きを無視し、はびこった悪をいい加減に潰してみせるばかりで外に新たな移民を求めていた俺に、やつはこう言っているに等しかった。
「王よ、我が花を見て何を思うのだ。このように我らには力があり、それを引き出すべきは貴方であるというのに、王よ。一体貴方は今まで何をなさっていたというのか」
おっしゃる通りであった。というか、おっしゃっているのは俺なのだが、要するに反省しきりだった。

……(何十ページも中略)……

クーロンコエが増える速度以上に俺は頭脳を駆使し、アイデアを生み出し続けてみせる。それがボタニカル・ライフのもう一つの魅力であったことを俺は再確認したのである。

……(何十ページも中略)……

鉢を次々に買い足しながらも、俺はその植物独自の強さを見たいのだなと感じる。
化ける力。
毎日が昨日と違うこと。
自分を繰り返さぬこと。
だが、一年を経てまたその差異を保ち、繰り返すこと。
俺は植物から啓示を受けたような気分になる。そして、その気分がいまや日常的であることに少し驚く。都会で植物と暮らすことは、つまりその啓示を日々感じ取ることに他ならないのだ。
繰り返しながら、繰り返さぬこと。
植物はそんな見事な矛盾を生きている。

なんか分かるなー。私も植物に手間と愛情を注いでいるとは言い難いが、でもその日々の啓示には、いつも小さな活力をもらい、淡い親近感を感じていると思う(つい擬人化してしまう程に!)。
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by macchi73 | 2012-11-19 00:19 | 面白かった本など | Comments(6)
Commented by school-t3 at 2012-11-19 11:16
こんにちは
はじめまして。。

「世話要らずの庭で」はなく、「世話しきれない庭」をもてあましつつ
楽しんでいるシニアです。
以前から拝見していましたが今日の記事にそそられて
ついご挨拶したくなりました。

自然が支配する庭、見栄えはとにかく、楽しみですよね。
Commented by macchi at 2012-11-20 18:44 x
はじめまして。園芸愛好家同志としてこちらもご挨拶申し上げます!

世話しきれない庭、私もです。
でも確かに、自分以外の支配があるからこそ「おおっ!」ていう驚きと喜び(とガッカリも)があって楽しいってとこ、ありますね。

今の時期の作業が、また来年の春以降の驚きに反映されるから、なんとか時間をとって、色々やっておきたいところです……
Commented by pammichi at 2012-11-21 22:05
こんばんは(^-^)
先回は幾つものコメントにお返事くださってありがとうございました 自分の仕業に反省しかりです
私も、恥かしながらベランダ園芸愛好家です
ボタニカル・ライフの抜粋
のっけから、爆笑してしまいました!
私もある〜 ごめんなさい! (爆) 同じ人いたぁ って懺悔しやすくなったというか、更に罪深さを感じたというか 複雑
この本、読みます!

やっと、マンションの大規模修繕も終わりに近づき
諦めていた秋植えの花たちの植え付けに意欲を燃やしています
さっぱりと綺麗になったバルコニーやベランダを、さて、どうしてやろうか と策を練っています 早くしないと乗り遅れるタイミングですね でも、美しいベランダとしまってあった古いプランターがかなり不釣り合いで それらをどうするかで まず悩んでます
今月中には何とかしなきゃ
macchiさんのお庭、私も探検したいなぁ~
Commented by Amelia42 at 2012-11-22 07:53
おはようございます。
ちょっと気落ちしているときでも、気軽に眺められる本かなと思いまして、送った次第です^^
ただ不思議と、これを読んでもガーデニング熱が上がる!ってことはなかったんです。macchiさんはどうでしたか?
いとうせいこうの本も興味深いですね。個人が、あれこれ思い連ねていることを その人なりの表現で面白可笑しく、そして あ~ あるあると納得しちゃう読み物って好きです。
Commented by macchi at 2012-11-23 11:25 x
ぱむさん、
ボタニカル・ライフ、ありますよね〜。
その時の苦々しいような後ろめたいような気分!
可愛いヤツと思っていたはずなのに、自分はなんて勝手なんだ……植えるとこはブログの記事にできても、処分するとこはちょっとアップしにくいぜ……そっと闇に葬ろう……なんてコソコソしたの、1度や2度ではありません。

でも地植えだと水やりが不要なのでかなりズボラ園芸OKですが、ベランダは大変そうですね。紹介した日本のベランダー2人の本を読んで、「私よりずっっっっっっとマメじゃん!」って思ったことも、ここに懺悔します。

ぱむさんのベランダからの景色、綺麗ですね。良いお庭になりますよう!
Commented by macchi at 2012-11-23 11:39 x
Ameliaさん、
本ありがとうございました!
『ベランダの庭 12ヶ月』、おっしゃる通り気軽に読めました。
気落ちしてる訳ではないんですが、忙しくて臨戦態勢というか、ゆったりした気分になれないでいたところなので、軽くサクサク読める趣味の本って良かったです。

ガーデニング熱は上がるというより、そろそろ私もやらないとな〜って重い腰を上げる効能がありましたよ。なんか今回紹介した日本の2冊は、身近で親しくて世間話っぽいですよね。憧れ成分は含まない。だから、熱が上がる感じでは無いかもですね。

ガーデニング熱を上げるのは、私にとっては、前に紹介したFamily Gardensとかの大判写真本や、ガンピーさんとかの絵本が多いです。視覚効果に弱いのかな。


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