「ほっ」と。キャンペーン
2012年 09月 10日
子供を脅かす(東京芸術劇場)
誕生日が近い末っ子が、あれが欲しいこれが欲しいとプレゼントの話ばかりして浮かれている。
大きくなるんだから、立派なお姉ちゃんになるようにも頑張ろうね……とか言っても、フフーンとどこ吹く風で、ちびっこギャングな今日この頃。

で、読み聞かせたのはこの本。

『ぼうぼうあたま』(ハインリッヒ・ホフマン)

大人の言うことを聞かない子が次々と恐ろしい目にあっていく。救いはない。ウヒヒ。

どう?良い子にならないとヤバいね?と探りを入れたが、「えー?べつにー」と全然びびっていない様子。まあ絵本だからね。余裕だよねえ。

じゃ、2Dでダメなら3Dはどうだ!とばかりに、リニューアルした東京芸術劇場に、同絵本を原作としたジャンクオペラ『ショックヘッド・ピーター』を観に連れて行った。

e0134713_1892265.jpg
絵本ではそれぞれ関連性は無かった悪い子たちのエピソードだったが、オペラでは全部同じ夫婦の下に生まれた子供たちという設定になっていた。

どの子も自分の不品行が原因で悲劇的な最後を遂げるが、一人が死ぬとすぐに次の子が生まれ……というストーリー(絵本では痛い治療を受けるだけだった子なんかも、オペラでは死んじゃう)。

死亡の直後はちょっと悼んだりもする夫婦だが、すぐに「まあ、悪い子は死ぬよねー」的なノリに落ち着く。怖い。

最後は「もう一人産めば良いじゃない」の陽気な大合唱で、幕。がーん。


うわ、思ってたよりショッキング。
冒頭の子供死亡シーンでは、一緒に行った高校生たちも「ええっ!?」と固まっていた。
笑うとこもあるけど、何というか、全編を覆うスプラッタな雰囲気。
私や上の子はまあまあ笑ったけど……下の子には、ちょっとブラック過ぎか。
終幕後、恐る恐る「どうだった?」と聞いたら、「うん……ちょっと良い子にしようって思った……かも……」とやや弱気になっていた。

(とか言いつつ、繰り返された楽しい歌を鼻歌して帰ったりして。生演奏の音楽は、楽しくて良かったね。Tiger Liliesというパンクバンドが担当したらしい。→ バンド紹介 & 試聴できるサイト




……子供を怖がらすのって、ちょっと楽しいことってないか? 私はある。
大人は躾の名の下に、こどもを脅かして楽しんでることって、たまにあると思う。ごめんなさい。

ということで、お詫びの気持ちも込めて誕生日のお祝いは娘の要望通りのものを用意した。喜ぶ娘。
「ナルニア国の魔女がお菓子を出した魔法薬の小瓶が欲しい!」って、すっごい難しいリクエストだったよ!

『ナルニア国ものがたり』

こちらは子どもたちが正しく成長していく、ハラハラドキドキのとても良いお話し。全7巻だけど、一巻ずつでも読み切りとして楽しめる。

映画も凄く良い出来で、DVDを購入して何度も観ていたせいで、魔女の小瓶に憧れたらしい……(魔女、悪者側だけど?)。



* * * * * * * * * * * *

子どもを脅かす絵本つながり。でも別にお勧めはしない。

『もじゃもじゃペーター』(絵:飯野和好、訳:生野幸吉)

『ぼうぼうあたま』と同じ内容だけど、挿絵と翻訳が違う。
こっちの方が現代語訳で、イラストも児童書常連の飯野和好だから、『ぼうぼうあたま』に比べて、ちょっと読みやすい。



『ギャシュリークラムのちびっ子たち―または遠出のあとで』(エドワード・ゴーリー)

子どもが次々酷い目に遭うというお話しと言えば、こちらの絵本が有名かも。

ただし『もじゃもじゃペーター』の場合は、不品行の報いとして怖い目にあうという訓話的要素がまだ辛うじてあるが、ゴーリーの絵本では理由もなく、ただただ子どもが酷い目に遭うだけ。

ただ、マザーグースとかもそうだけど、あんまり酷くて笑っちゃうっていう感覚、あるよなー。反復という形式に宿るおかしさ。

形式ばった感じの進行で、そんなに怖くはないけど、「お母さん、この本の意図するところはなに?」とか子供に聞かれると答えにくくはある。


『うろんな客』(エドワード・ゴーリー)

エドワード・ゴーリー繋がりで、もう一冊。こちらは私がかなり好きな絵本。

「うろんな客」と呼ばれるヘンテコな生き物が家族に闖入し、突飛な行動を繰り返していくお話し。

このヘンテコな生き物は、実は子どもの隠喩ではないかと思われる。
そう考えると、「そうそう、子どもって変な生き物だよなあ!」ってしっくり来るエピソードばっかりだ。

この本を読むと、ゴーリーは結構この変な生き物を面白く観察してるんじゃないかな、好きなんじゃないかなって感じがする(可愛がらないにしても)。

そうなると『ギャシュリークラムのちびっ子たち』の方も、子どもが好きな悪ふざけを狙ったのかな?って感じがしてきて、そんなに悪くないかなって気がしてくる。

[PR]

by macchi73 | 2012-09-10 21:39 | 書籍・CD | Comments(5)
Commented by mu at 2012-09-12 13:06 x
幼児だった頃、はしかに罹り顔及び体中に赤い湿疹が出来たとき、父に「もう一生治らない」というような事を言われ、布団に突っ伏して号泣した記憶があります。

躾じゃなくただ単に反応をおもしろがってただけだと思ってましたが、もしかすると『言う事聞かない悪い子は…』ってのがくっついていたのかもしれないな、と、ふと思いました。
Commented by macchi at 2012-09-12 20:24 x
うわーそれは悲しかったでしょう……。それはお父さん、子供を脅かす楽しみに負けましたね。
思えば子供の頃って、色々初めてでグサッと来るのも今とは全然違う衝撃度でした。

私も「うちの親は喫煙者だなー」てなことを他の子と話していた最中に親が闖入してきて、「macchiは昨日おねしょしたんだよ」とか突然言われ(してないし記憶にある限りしたことない)、驚愕&傷ついたことがあります。
何でウソつくのよう!!と混乱し、泣いて怒ったら、他の子が帰った後、「macchiだって親の話してたでしょ。本当のことなら言っていいの?」とか説かれ、子供心にそれは物凄い言いがかり理論ではないかと……傷ついた余り、忘れられない思い出ですね……。親にしてみたら、出来心だったのかもしれませんが。

自分はそういうことはしないようにしようと強く思った子供のワタシですが、もしかしたら今、子供たちには同じように恨まれている出来事が無いと言い切る自信がありません。大人の心は鈍感だからなー。

あと、「可愛い!」から「慈しむ」に繋がるのが正しい大人ですが、
「可愛い!」から「からかいたい!」への回路に繋がる悪い大人心も、今ではちょっと分かります……。気をつけます。
Commented by Amelia42 at 2012-09-13 15:05
こんにちは!

↓ 麹を元に発酵種おこしてパン焼きしてるのに、甘酒って一度も作ったことなかったー!
そうそう 冷やした甘酒も美味しいって聞くけど、これはもう作ってみないとなりませぬ。今夜早速!!

丁度今朝、読み聞かせの日だったんです。
また知らない本をこうやって紹介してもらうと、読み聞かせ云々より、まず自分が読んでみたくて仕方なくなってしまう 笑
ぼうぼうあたま・・ これで指しゃぶりが治った子がいたとか?!
ツインズの弟がいまだに治らない指しゃぶり。これでいけるかも!!
って、実はちょっと本気で思ってたりして ははっ

他の方へのコメント拝見して、「可愛い!」から「からかいたい!」への回路に繋がるってのは、子供ながらの心が残っているんですねー。
長男、旦那が我が家ではこれに当てはまります。
私は正しい大人だったってわけ? うー 笑える。
Commented by Amelia42 at 2012-09-13 15:07
そうそう! 今朝は、「ぜつぼうの濁点」っていうのを読んだんです。
せ についた濁点の話なんですが、私は結構感動してね。
でも長男の反応が今ひとつ。でも思い切って今朝読んだら!(長男のクラスでした) やはり反応今ひとつ。
不完全燃焼です。機会があったら読んでみておくんなまし。
Commented by macchi at 2012-09-14 06:37 x
おはようございます。
今朝起きたら、メインのおかずになりそうな食材が無くて、絶望中!

ぜつぼうの濁点って、面白いタイトルですね。
点々さえなければ、俺たちみんなに「せつぼう」されるはずなのに、この点々のせいで「ぜつぼう」されてしまうんだぜ……点々捨てたいぜ……という絶望に陥った文字たちの話でしょうか。うーん。違うだろうな。
気になるので、探して読んでみますね〜

あ、そうだ。ぼうぼうあたまはオススメ絵本ではありません。
悪くも無いけど。変わった本ではあったけど、すごく面白いとか、そういうんではなかったな。
むしろ、下の記事の『ウェズレーの国』は絵も内容も面白かったですよ。オススメします。


<< ヘビウリ(蛇瓜)      冷やし甘酒とウェズレーの国と夏... >>