北欧色々:リネアの12ヶ月、誠実な詐欺師(トーベ・ヤンソン)、『真夜中の虹/浮き雲』(カウリスマキ)、レイ・ワンダー
2012年 07月 13日
北欧の街(たぶんストックホルム)に住んでる自然が好きな女の子リネアの12ヶ月を綴った絵本。
絵本と言っても、文字が沢山なので読み応えがある。
『リネアの12ヶ月』
リネアは隣人の園芸好きなおじいさんと仲良しで、一緒に庭作りしたりする。
どのページにもぎっしりと、毎月のリネアの園芸仕事や身近な野鳥、自然のものを使った遊び等が描かれている。自然科学系の遊びのアイデアがとっても楽しそうに説明されていて面白い。
こういう、アイデアと好奇心に満ちあふれたちょっとオシャマな女の子って、ある意味大人のドリームだよな。それとも、良い環境に恵まれれば、こんな利発で伸び伸びした少女も具現化するのか。
この夏休みの自由研究にもピッタリなものが幾つかあったので、末っ子とやってみようと思う。
コンクリートジャングルでもなく、かと言って田舎でもない環境が、うちの周りとも通じる雰囲気。
なんだけど、似てる中にも野鳥なんかに地域差を感じて面白かったりして。
全身まっくろなカラスがいるそうですが、まだ見たことがありません。「ええっ!?」と思ったら、ストックホルムのカラスは白黒のツートンカラーらしい……。
で、そう言えば北欧ガーデニングの本あったよなーと思って、引っぱり出してみる。
当時は「北欧オシャレだなー。人々の色が薄いから、家具や洋服や家のポップなカラーが映えるよなあー」くらいにしか思ってなかったが、リネアの本に続けて読むと、なんだか景色が物語性をおびてきて、俄然面白い。
『北欧ストックホルムのガーデニング』
リネアの住んでるとこの近所っぽい!
絵本に出て来たヴィクトリア温室も写真で載っていて、絵本とそっくりな風景で、なんか「おおお!」と思う。
子どもたちの写真もあり、リネアが混じっててもおかしくなさそう。
こんな暮らししたいよなあ。
……なんて、蒸し蒸しした夏の夜の気配を強く感じつつ、爽やかな庭の写真集を見たりして。
冬には南の国に憧れたくせに、夏には北の国に思いを馳せる。
(ということを毎年やってる。)
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以下、北欧つながり。
見た事も無いフィヨルドとか想像して、少し気分がスーッとする。
『誠実な詐欺師』(トーベ・ヤンソン)
ムーミンの作者が、たぶん子ども向けでなく書いた小説。辛く変てこな人々。
自然も人も何ともぶっきらぼうで、殺伐としていて、でもそれがなんだか動物的で美しい。
重苦しいような、逆にヒラヒラ軽いような、盛り上がりのない変な雰囲気はカリウスマキの映画の風景を彷彿とさせる。そういえば、カリウスマキもフィンランド出身だったよな。
これは、今流行りのポップなオシャレ北欧とはまたちがう一面なのか?
それともリネアのスウェーデンはオシャレで、ムーミンとカリウスマキのフィンランドは暗いのか?
北欧各国のカラーの違いがよく分かっていない……。
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『真夜中の虹/浮き雲』(アキ・カウリスマキ) [DVD]
カウリスマキの映画はどれも好きだけど、『真夜中の虹』が特に好き。
理由は、演技も変だし風景もすごく遠い異国の空気を感じる一方で、それでも自分もこれは知ってるという感じを呼び起こす日常感が妙にたっぷりで、世界って広いよなあ・でもどこにも人って普通に暮らしてるんだよなあって感じがしみじみするから。
有名なレニングラード・カウボーイのシリーズも好きで、特に「ギニワッチ」(という歌を熱唱する場面がある)のシーンは何十回となく観た。観ると元気が出た。私のパワーソングだった。これはポップな方の北欧か。違うか?
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ハーレイ(レイ・ワンダー)
ヘロヘロした音が大好きで聴き倒したHurray(Ray Wonder) 。これも北欧。
多分、ローファイってのが好きな人にはグッとくるアルバムだと思う。
よく分からないけど、これが巷で言う(?)スウェディッシュ・ポップってヤツなのかなあ、なんて思ってた。
で、次のアルバム『A New Kind of Love』が出たのでウキウキして買った。
そしたら、あれ?なんか雰囲気変わってないか?ヘロヘロというより、これは朗々マッチョ……!?
もしかして最初のアルバムは単に下手だっただけで、練習して上手になったらこういうことがやりたかったのか?
関係あるかどうか分からないが、フィンランドって世界一ヘヴィメタ好きな国らしい。
ヘヴィメタってオシャレ北欧のイメージと違うくないか……と思ったが、Ray Wonderの変貌を考えると何となく納得。ま、Ray Wonderはスウェーデンだけど。