アリジゴク(蟻地獄)
2011年 08月 15日
夫の実家にお盆帰省中、納屋の後ろにアリジゴクの巣が沢山あるのを見つけた。
繰り返し模様のような、小さなすり鉢状のものが並ぶ地表。
うへー。なんか怖い。
アリジゴクは、ウスバカゲロウの幼虫。
すり鉢状の巣を構えて、その中に落ちて来たアリなどを捕食する。
後ろ歩きしかできない。また、食べるだけで排泄しない。おかしな虫だ。
アリジゴクの巣を見つけて、蝉の抜け殻で掘り返す子ども。
そして、アリジゴクを捕獲(蝉の抜け殻で)!!
大きさはこれくらい。チビだ。
しかし体の割にアゴが大きく目立っていて怖い。
捉えた虫の体液を吸い取った後、この大アゴで死骸を巣の外まで放り投げるらしい。
そうして夜には皆で(?)花火。
田舎の夜は真っ暗だ。
流れ星が見えたと息子が喜ぶ。
……しかしなんでみんな、てんでばらばらに無言でやってるのか。それは楽しいのか?
お盆ということもあり終戦記念日ということもあり、実家の人たちに昔の話など聞いてみる。
代々大きな農家だったという夫実家では、戦時中もヤミ米を出す側だし、けっこう悪くない暮らしで泥棒に狙われたりしていたそうだ。
一方その頃、自分の母方の実家なんかは町暮らしで米を買わんとする側の生活だったし、父実家は異国の病院でロシアの脱走兵に人質にされたりしていた……などなど色んな話を思い合わせて、なんか色んな場所で色んな事が起きていたんだなと不思議な感じがする。
『この世界の片隅に』(こうの史代)
そんなタイミングで、夫が田舎の夜のためにコンビニで買って来た漫画本。「コンビニ漫画かあ」と、全然期待せずに読んだら、面白かった。
戦争の話だけど、世界の中心で叫ぶ物語じゃなくて、世界の片隅の記憶って感じで淡々とした雰囲気で描かれている。普通におっとりした女の子が所帯を持った大人になって行く様子は、どこでも見かけそうな風景。ただそれがたまたま戦時下の広島だった、という話。
……って、これは戦争の時だけじゃなく、今でも、世界中どこでも誰にでも、そういう大小の「たまたま」は満ちているんだろうと思う。渦中からでは俯瞰は難しいが。
漫画の中では、その「たまたま」が沢山の伏線の形で綺麗に回収されていて読み応えがあった。現実の世界では関連性はもっと拡散されていて、なかなかこう、密に紡がれた意味を見出すのは難しいけど。
多分こういう生の意味って、「振り返る」っていう視点で見出されるもんなんだろうと思う。そのせいか、この漫画にも郷愁というか懐かしい感じが漂ってる。