四十歳前夜祭
2011年 04月 16日
庭の木戸で、今年は白木香が沢山のつぼみを付けている。
植えてから4年半。やっと株が充実して、今年からが見せ場って感じかな。
明日は夫40才の誕生日でもある。
心身共に充実して、今年からが見せ場って感じになって欲しいもんだね。
庭を一周してみると、色んなものが芽吹いてる。良い季節だ。
年々太くなる百合の芽吹き。
去年の茎を残しておいたら、古い体を割るようにして新芽が出て来た。
パワフル。
が、ちょっと山田風太郎の『魔界転生』(エロ&グロ&B級スメル)を思い出したりして……不適切なイマジネーション。
これは何だっけ、エビネの芽かな。
あちこちから出て来てる。楽しみだ。
菜園に沢山生えて来ているこのフワフワした芽は、カモミール。
良い匂いがする。
むかし夫と旅行先で買った行者ニンニク。
毎年芽吹くが「葉を収穫すると翌年芽吹かなくなるんだって」という夫の主張で、一度も食べたことは無い……。うーん。
チューリップは我が家では長女の花。
何年も埋めっぱなしなのでそんなに立派には咲かないが、細々と毎年咲いている。
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夜。
誕生祝いに、久しぶりに夫と二人で観劇と食事に行った。
しかしいつものことだが会話がありませんな、ちょっと我ら文化的な趣味が合わないかもですね、なんてしけた話で盛り下がる。まあ、だから芝居とか普段一緒に行かない訳だけど。いいよ、別に生活に支障ないから。
そんな感じで帰る道すがら、友達と落ち合って、もう一回飲み屋で乾杯。
おめでとー!と祝われつつ、別にめでたそうでもない顔の夫。
ポーカーフェイスは彼の美点と言われている。
まあ毎日、庭を見たり家族の顔を見たり仕事したり、その都度色々感じながら暮らしてるとは思うが、はっきりと喜怒哀楽に分類できるような感覚って割に少ないしな。
ただ、「お」とか「あ」とか、なんというか、瞬間的に何かは感じながら暮らしていて、それが積もり積もって、気付けばお互いに人生で一番長く暮らした相手になってしまっただけという感じもする。
でも、そういう小さな「お」とか「あ」が、時空における私的マーキングだったら面白いなと思う。
最後の最後の瞬間には、全マーキングが一気に押し寄せたら壮観だろうな。
脈絡なく全てが同列で――私はこれを見た、のパレード。(走馬灯ってやつ?)
その時浮かび上がって来る色んな風景の中に、もう自分でも忘れてしまっているような若く可愛い20才の夫、中年太りの40夫、白髪(あるいは……)の60夫などなどが並んで見えたら、ちょっと面白いかもなんて思ったりする。今、何も感じなく退屈な日々に思えててもね。そんな一日でした。